概要:
初回にガイダンスと安全教育を行う。実習では1年生の時に使用法を学んだ工作機械(旋盤、立フライス盤、横フライス盤)を用いて、より複雑な形状の機械部品の加工ができるようにする。さらに、研削盤による精密加工、歯車加工、ひずみ温度計測、溶接、マシニングセンタによる自動加工、メカトロニクス関連の加工を習得する。
授業の進め方・方法:
2Mクラスを5班に分け、各班は1テーマを5~6週で行い、1年間で全5テーマを実習する。実習の理解度を確認するため、各テーマごとにレポートの提出を必須とする。
5テーマの内容と目的を以下に示す。
(1) メカトロ加工・計測:各種センサ(レゴマインドストーム)を実装した環境認識による移動ロボットのプログラムを作成を行い、パラメータチューニングを実施しながら走行実験を行う。また、オシロスコープを用いた各種電気信号の波形観測や熱電対による温度計測の方法について学ぶ。
(2) 溶接:ガス切断およびガス溶接、3種類のアーク溶接の基礎を学ぶ。ガス切断およびガス溶接、アークの発生、ビード置き、角溶接、突合わせ溶接、曲げ試験を行う。
(3) 旋盤:段付き丸棒および、引張り試験棒の外径切削。丸棒中心の穴開けと内径切削。内径テーパ切削。外径テーパ切削。加工寸法のマイクロメータによる精密測定。
(4) 平面研削盤/NCフライス盤:1年生の時に学んだ工作機械(旋盤、立フライス盤、横フライス盤)を用いてより複雑な形状の加工を行う。さらに平面研削盤による精密加工法を習得する。
(5) マシニングセンタ:コンピュータ制御による自動加工法を学ぶ。自動加工プログラムの作り方、マシニングセンタの操作方法、各自が作成したプログラムにより自動加工の実習。
注意点:
・安全確保のため工場内では、「作業服、帽子、安全靴、安全保護メガネの着用」、「担当者の注意をよく聞く」、「ふざけない」、「走らない」を厳守すること。
・長いシャツはズボンの中に入れ、長い髪はたばね、指輪、ピアス、イヤリング等は外すこと。
・機械や装置は正しく使用しないと大変危険なため、常に気を引き締めて真剣に行動すること。
・実習ノートやメモ帳を準備して必要事項を書き留めること。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
実習ガイダンスおよび安全教育班分け |
・実験・実習の目標と、心構えがわかる。 ・災害防止と安全確保のためにすべきことがわかる。
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2週 |
旋盤(1) |
・段付丸棒の切削 ・150 mmに位置決め ・6.5キリ深さ15mm が行なえる。
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3週 |
旋盤(2) |
段付丸棒の切削で、10.6 キリ深さ30 mmが行なえる。
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4週 |
旋盤(3) |
・引張試験棒の仕上げ加工 ・マイクロメータによる外径精密測定 が行なえる。
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5週 |
旋盤(4) |
20 mmキリによる穴開け、内径切削が行なえる。
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6週 |
旋盤(5) |
・内径テーパ切削、外径テーパ切削 ・半自動旋盤による仕上げ切削 が行なえる。
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7週 |
提出したレポートについてのガイダンス |
レポートの作成の仕方がわかる。
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8週 |
平面研削盤/NCフライス盤(1) |
平面研削盤の操作、NCフライス盤の操作ができる。
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2ndQ |
9週 |
平面研削盤/NCフライス盤(2) |
NCフライス盤を用いて、ガイダンス加工ができる。
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10週 |
平面研削盤/NCフライス盤(3) |
・平面研削盤を用いて、文鎮の研削ができる。 ・表面粗さの測定ができる。
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11週 |
平面研削盤/NCフライス盤(4) |
エンドミルによる直溝加工、段付け削りができる。
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12週 |
平面研削盤/NCフライス盤(5) |
スターリングエンジンの台座の製作ができる。
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13週 |
メカトロ加工計測(1) |
オシロスコープを用いた波形観測、周波数応答実験、熱電対による温度計測ができる。
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14週 |
メカトロ加工計測(2) |
周波数応答実験が行なえる。
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15週 |
メカトロ加工計測(3) |
発光ダイオードを使用した正弦波応答実験熱電対による温度計測ができる。
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16週 |
前期まとめ |
各テーマの進捗状況の確認
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後期 |
3rdQ |
1週 |
メカトロ加工計測(4) |
各種センサ(レゴマインドストーム)の機能を理解し、計測制御系を構成することができる。
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2週 |
メカトロ加工計測(5) |
環境認識による移動ロボットの走行プログラムを作成することができる。
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3週 |
メカトロ加工計測(6) |
環境認識による移動ロボットの走行プログラムを作成することができる。
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4週 |
マシニングセンタ(1) |
・マシニングセンタ及びNC工作機械の概要及びプログラミングを理解する。 ・Gコードによる基本的なプログラムの作成ができる。
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5週 |
マシニングセンタ(2) |
・CAD/CAMによる加工プログラムの作成及びマシニングセンタによる加工の流れを理解する。 ・Mastercamの基本機能を理解し、基礎的な図形入力・編集ができる。
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6週 |
マシニングセンタ(3) |
・Mastercamによる応用的な図形編集機能を理解する。 ・課題(オリジナルデザイン)作成の過程で発生する様々な問題を解決できる。
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7週 |
マシニングセンタ(4) |
・Mastercamによる加工プログラムの作成・修正方法を理解する。 ・シミュレーション機能により課題作品加工時に発生しうる問題を発見し、パラメータの変更等により解決できる。
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8週 |
マシニングセンタ(5) |
・マシニングセンター加工に必要な作業手順を理解する。 ・Mastercamで作成したプログラムにより課題作品の加工ができる。
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4thQ |
9週 |
提出したレポートについてのガイダンス |
レポートの作成の仕方がわかる。
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10週 |
溶接(1) |
・ガス溶接/溶断の基本原理及び特性を理解し、関連作業で用いるガス、装置、防具を安全に扱うことができる。 ・ガス溶接による角溶接ができる。
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11週 |
溶接(2) |
・半自動MAG溶接、TIG溶接の基本原理を理解し、作業で用いる装置、防具を安全に扱うことができる。 ・半自動MAG溶接による角溶接ができる。
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12週 |
溶接(3) |
・TIG溶接の基本原理を理解し、作業で用いる装置、防具を安全に扱うことができる。 ・TIG溶接による角溶接ができる。
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13週 |
溶接(4) |
・被覆アーク溶接の基本原理を理解し、作業で用いる装置、防具を安全に扱うことができる。 ・アークを安定的に発生させ、薄板で隅肉溶接ができる。
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14週 |
溶接(5) |
・被覆アーク溶接による中板突合せ溶接ができる。 ・半自動MAG溶接による突合せ溶接試験片による目視検査/曲げ試験を通して溶接工程の品質管理を理解する。
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15週 |
実習のまとめ |
・実験・実習の目標と、心構えがわかる。 ・災害防止と安全確保のためにすべきことがわかる。 ・レポートの作成の仕方がわかる。
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16週 |
アンケート |
各人の技能習熟度(到達レベル)の確認
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術 | 工学実験技術 | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 工作 | 溶接法を分類できる。 | 3 | |
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。 | 3 | |
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。 | 3 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 機械系分野(実験・実習能力) | 機械系分野(実験・実習能力) | 実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。 | 3 | |
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。 | 3 | |
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。 | 3 | |
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。 | 3 | |
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。 | 3 | |
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。 | 3 | |
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。 | 3 | |
やすりを用いて平面仕上げができる。 | 3 | |
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。 | 3 | |
アーク溶接の原理を理解し、アーク溶接機、アーク溶接器具、アーク溶接棒の扱い方を理解し、実践できる。 | 3 | |
アーク溶接の基本作業ができる。 | 3 | |
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。 | 3 | |
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。 | 3 | |
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。 | 3 | |
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。 | 3 | |
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。 | 3 | |
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。 | 3 | |
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。 | 3 | |