工作実習

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 工作実習
科目番号 3M016 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 実験実習安全必携:独立行政法人 国立高等専門学校機構 安全衛生委員会 ( 編 )
担当教員 山内 啓,小川 侑一

到達目標

・ 工作実習における安全確保の重要性を理解し,作業時の注意すべき点について説明できる.

1年,2年のメカトロニクスの知識を基本として
・ 各種センサを応用したロボット(TETRIX)を理解し、作製することができる。
・ LabVIEWによる移動ロボットの走行プログラムを理解し、作成することができる。
・ 自己保持回路などリレーシーケンス制御の基本回路の作成方法や原則を理解できる.
・ 光電センサ,近接センサなどセンサの仕組みや使用方法を理解し,配線できる.
・ 自己保持回路やインターロック回路などPLCシーケンス制御の基本回路を理解し,ラダー図を作成できる.

2年のときに学んだ溶接の基礎を基本として
・ より複雑な形状の溶接を行うことができる.
・ 溶接後の水漏れ検査,不具合箇所の修正溶接ができる.

1年,2年の工作実習で学んだ旋盤,フライス盤による機械加工を基本として
・ 複合加工機の操作手順を習得し、NCプログラムを作成できる.
・ 加工シミュレーションを行い実加工ができる.

1年,2年の工作実習で学んだ旋盤,フライス盤による機械加工を基本として
・ レーザー加工機におけるCAMを用いたオリジナルデザインの作製ができる.
・ レーザー加工機を用いてオリジナルデザインの加工ができる.

スターリングエンジン製作では
・ エンジン部品のシリンダ,ピストンなどの加工ができる.
・ 製作した部品を組付け , スターリングエンジンを完成させることができる.
・ 試運転および調整ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1機械の応用的な使い方を理解している.基本的な機械の使い方を理解している。基本的な機械の使い方を理解できていない.
評価項目2レポートが標準以上の優れた水準にあり,独創性にも優れている.レポートが標準的な水準にあり、内容を十分理解している.レポートが標準的な水準に達せず,内容の理解もできていない.
評価項目3CAMソフトを応用して様々な設計を行うことができる.CAMソフトの基本的な使用方法を理解している.CAMソフトの基本的な使用方法も理解できていない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
実習工場において、実習形式にて授業を行う.今後座学の専門科目でも必要となる機械工作技術を理解し,技術を体得する.
授業の進め方・方法:
1クラスを5班に分け,各班は1テーマを5週もしくは6週実施し,1年間で5テーマを実習する.5テーマの目的と内容を以下に示す.

(1) メカトロニクス実習
メカトロニクスの基礎知識や技術を養うため,センサ回路・電気・電子回路の作製に必要な技能を習得する.TETRIXを用いて付加機能をもつ高度なロボットの製作およびLabVIEWによる制御プログラムの作成方法について学習する。
さらに,リレーシーケンス制御およびPLCシーケンス制御の基礎について学習する.

(2) 溶接
鋼板を溶接して鋼板の箱を製作・検査する.箱を構成する5枚の鋼板の加工.端面加工,開先加工.箱の仮溶接.本溶接.水漏れ検査.不具合箇所の修正溶接.

(3) 複合加工機
複合加工機の旋削加工およびミーリング加工の特性を理解し,最適な加工手順でNCプログラムを作成し,複合加工機での加工シミュレーションを行った上で,複合加工機による実加工を行う.また,汎用旋盤によるねじきり加工等を行い汎用の機械との相違点を理解する.

(4) スターリングエンジン製作
シリンダの製作(ドリル加工,リーマ加工,加熱部の圧入).動力ピストン,送気ピストン.スターリングエンジンの組立および試運転・調整.

(5) レーザー加工機
CAM を用いたオリジナルデザインおよび課題図面の NC プログラム作成後、レーザ-加工機によるオリジナルデザインおよび課題図面の加工.
注意点:
・実習担当者の説明や注意をよく聞くこと。長いシャツはズボンの中に入れる。長い髪は束ねる。安全確保のため工場内では「実習作業服の着用」「担当者の注意をよく聞く」「ふざけない」「走らない」を厳守すること。携帯電話は担当者の許可を得た上で写真・動画機能のみ使用可とする。溶接では安全のために長めの靴下を必ず着用すること。

・スターリングエンジンなど、テーマによっては予習が必要となる。担当者の指示に従って適宜予習を行うこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス ・実習ガイダンス
・班分け
・日程と実習内容の説明
・安全教育
について理解できる.
2週 メカトロニクス実習 (1) ・TETRIXによるロボットの製作
・各種センサの機能についての説明
について理解できる.
3週 メカトロニクス実習 (2) ・LabVIEWによるロボット制御プログラムの作成
・動作試験およびパラメータチューニング
について理解できる.
4週 メカトロニクス実習 (3) ・リレーシーケンス制御の基本
・スイッチ
・シーケンス回路の作成方法
・自己保持回路によるコンベアの制御
について理解できる.
5週 メカトロニクス実習 (4) ・PLCシーケンス制御の基礎
・ラダー図の作成方法、I/Oアドレス
・光電センサ,近接センサなどの各種センサ
について理解できる.
6週 メカトロニクス実習 (5) ・PLCシーケンス制御の基本回路
・タイマー回路,カウンター回路
・自己保持回路、インターロック回路
について理解できる.
7週 提出したレポートについてのガイダンス 提出したレポートについての講評を受け,レポートの書き方や諸注意を理解できる.
8週 溶接(1) ・アーク溶接の種類:被覆アーク、TIG、MAGの特徴
・材料について(SS材)
・TIG溶接の説明、シールドガスの役割
について理解し,TIG溶接を行えるとともに安全教育についても理解できている.
2ndQ
9週 溶接(2) ・MAG溶接の説明
について理解し,MAG溶接が行える.
10週 溶接(3) ・溶接欠陥
・被覆アーク溶接
・被覆材
・電撃防止装置
について理解し,被覆アーク溶接が行える.
11週 溶接(4) TIG,MAG、アーク溶接、溶接条件の決定について理解できる.
12週 溶接(5) シャーリンを使用して材料取りや仮付けが行える.
13週 溶接(6) 作業手順、検定試験について理解し、不良個所の修正行える.
14週 複合加工機(1) 複合加工機のNCプログラム説明および機械付属の対話型プログラムの説明.
15週 複合加工機(2) 加工品の図面作成(豆ジャッキ).
16週
後期
3rdQ
1週 複合加工機(3) 複合加工機の操作説明(旋削加工、ミーリング加工)
2週 複合加工機(4) 複合加工機による実加工(旋削加工、外径ねじきり加工、ミーリング加工)
3週 複合加工機(5) 汎用旋盤による内径ねじきり加工(M14)、加工品の手仕上げ.
4週 スターリングエンジンの製作(1) 部品の製作 (1):加熱側シリンダの加工ができる.
5週 スターリングエンジンの製作(2) 部品の製作 (2):冷却側シリンダの加工ができる.
6週 スターリングエンジンの製作(3) 部品の製作 (3):送気ピストンの加工ができる.
7週 スターリングエンジンの製作(4) 部品の製作 (4):動力ピストンの加工ができる.
8週 スターリングエンジンの製作(5) 組立て,試運転および調整:部品の製作 (1) ~ (4) で製作した部品を組立て、スターリングエンジンを完成させ、試運転および調整を行うことができる.
4thQ
9週 提出したレポートについてのガイダンス 提出したレポートについての講評を受け,レポートの書き方や諸注意を理解できる.
10週 レーザー加工機(1) レーザー加工機の概要及びレーザー加工機特有のGコード等について理解できる
11週 レーザー加工機(2) レーザー加工機の基本操作及び径補正に関する編集ができる
12週 レーザー加工機(3) Mastercamを用いてオリジナルデザインの作図・設計ができる
13週 レーザー加工機(4) Mastercamを用いてオリジナルデザインのレーザー加工プログラムが作成できる
14週 レーザー加工機(5) Mastercamを用いて安全で効率の良いレーザー加工プログラムを作成・修正できる
15週 実習のまとめ 1年間の実習を振り返り,実習内容等を再確認できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4
専門的能力分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。4
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。4
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。4
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。4
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。4
やすりを用いて平面仕上げができる。4
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。4
アーク溶接の原理を理解し、アーク溶接機、アーク溶接器具、アーク溶接棒の扱い方を理解し、実践できる。4
アーク溶接の基本作業ができる。4
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。4
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。4
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。4
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。4
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。4
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。4
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。4

評価割合

技能習熟度レポート合計
総合評価割合60400000100
基礎的能力2030000050
専門的能力4010000050
分野横断的能力0000000