工業力学

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 工業力学
科目番号 3M018 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 工学系の力学:金原粲(監修)、末松博志ほか6名共著:実教出版:978-4-407-33127-1
担当教員 小川 侑一

到達目標

力や力のモーメント、偶力、偶力のモーメントの概念を理解でき、力の合成や分解ができること。
静力学的つり合い条件を理解し、この条件を用いて未知の反力などを求めることができること。
静定トラスの支点反力や切断法により部材の内力を求めることができること。
連結体、連続体、対称な物体、結合体の重心位置を求めることができること。
穴のあいている物体の重心位置を求めることができること。
等加速度および加速度が時間の関数で与えられた場合の物体の速度と変位を求めることができること。
平面運動の速度と速度成分、加速度、ホドグラフについて理解できること。
変位、速度、加速度を極座標に変換して示すことができること。
等速円運動の周速度、角速度、向心加速度の関係を示すことができること。
ニュートンの運動の第一法則、第二法則、第三法則を理解し、物体の運動方程式を求めることができること。
運動方程式から物体の速度、変位を求めることができること。
等加速度で平行移動する座標系から見た物体の運動を理解できること。
等角速度で回転する座標系から見た物体の運動を理解し、コリオリの力を理解できること。
慣性モーメントや回転半径を理解し、棒や円板の慣性モーメントを求めることができること。
慣性モーメントに関する平行軸の定理や直交軸の定理を理解し、これらの定理を利用できること。
剛体の角運動方程式を理解し、外力を受ける剛体の運動を計算できること。
力積と運動量の関係や角運動量と力積のモーメントの関係を理解できること。
衝突物体の運動量保存の法則を理解し、反発係数を用いて衝突前と衝突後の物体の速度を求めることができること。
力や力のモーメントによる仕事や動力を理解できること。
位置エネルギ、弾性エネルギ、運動エネルギおよびエネルギ保存の法則を理解できること。
静止摩擦力、運動摩擦力について理解し、摩擦力と摩擦係数および垂直抗力の関係を理解できること。
摩擦に関するクーロンの法則について理解できること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1複雑な静力学の問題を解くことができる。静力学の基礎問題を解くことができる。静力学の基礎問題を解くことができない。
評価項目2質点や剛体に関する複雑な問題を解くことができる。質点や剛体に関する基礎問題を解くことができる。質点や剛体に関する基礎問題を解くことができない。
評価項目3運動量保存の法則やエネルキ保存の法則に関する複雑な問題を解くことができる。運動量保存の法則やエネルキ保存の法則に関する基礎問題を解くことができる。運動量保存の法則やエネルキ保存の法則に関する基礎問題を解くことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 工業力学は材料力学、流体力学、熱力学、機械力学など機械工学の専門科目を学習する際の基礎科目である。 機械の動きや運動などを解析するには工業力学の知識が不可欠である。 この講義ではより身近で機械に関する題材を取り上げ、力の性質、物体の運動仕事とエネルギ、仕事の原理や機械の効率 などについて学習する。
【前期】
[前期開始~前期中間試験]  力とモーメント、フリーボディダイアグラム、静力学的つり合い条件や力のつり合いについて学習する。
[前期中間試験~前期期末試験]  重心、直線運動について学習する。
【後期】
[後期開始~後期中間試験]  平面運動、ニュートンの運動の3つの法則、運動方程式について学習する。
[後期中間試験~後期期末試験]  剛体の運動、力積と運動量、仕事・エネルギ・動力、摩擦について学習する。


授業の進め方・方法:
講義形式で実施する。演習を適宜行い、理解を深める。
注意点:
講義に出席し、ノートをとる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 力と力のモーメント(1)
力の定義、力の3要素、力の表示方法、力の向きと符号を説明できる。
2週 力と力のモーメント(2)
力の記号による表示方法、2力のつり合い、2力の合 成と分解を説明できる。
3週 力と力のモーメント(3)
3力以上の力の合成、力のモーメント、偶力と偶力のモーメント着力点の異なる力の合成、3力以上の力 の合成を説明できる。
4週 力のつり合い(1) 1点に作用する3力のつり合い、フリーボディダイアグラム、物体に作用する力のつり合いの条件(静力学的つり合い条件)を説明できる。
5週 力のつり合い(2) 接触点に作用する力を説明できる. 力のつり合いに関する問題を解くことができる。
6週 力のつり合い(3) 切断法による静定トラスの軸力を求めることができる。
7週 力のつり合い(4) 静定トラスに関する問題を解くことができる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 重心(1) 物体の重心を説明できる。
(1)線材の重心、(2)板の重心、(3)立体の重心を説明できる。
10週 重心(2) 各種形状の物体の重心を計算できる。 (1)長方形板.(2)三角形板.(3)円板.(4)半円板 の重心が計算できる。
11週 重心(3) 対称な物体の重心を計算できる。 (1)対象軸をもつ板.(2)対象面をもつ物体.(3)回転軸をもつ物体の重心を計算できる。
12週 重心(4) 結合体の重心を計算できる。(1)線材を結合した物体、(2)板材を結合した物体、(3)立体を結合した物体 、の重心を計算できる。
穴の開いた物体の重心を計算できる。
13週 直線運動(1) 変位・速度・加速度、等加速度運動、落体の運動を説明できる。
14週 直線運動(2) 等加速度で移動する物体の運動。加速度が時間の関数 で与えられた物体の運動。
15週 直線運動(3) 直線運動についての問題を計算できる
16週 前期定期試験
後期
3rdQ
1週 平面運動(1) 平面運動の速度と速度の成分。平面運動の加速度、加速度、ホドグラフを説明できる。
2週 平面運動(2) 接線方向加速度と法線方向加速度、速度と加速度の極座標表示が説明できる。等速円運動における角速度,周速度,向心加速度の関係を説明できる。
3週 運動方程式(1) ニュートンの第一法則(慣性の法則)、ニュートンの 第二法則、質量.運動方程式、ニュートンの第三法則(作用・反作 用の法則)について説明できる。
4週 運動方程式(2) フリーボディダイアグラムを描くことができる。運動方程式を求めることができる。運動方程式から速度、変位を求めることができる。
5週 運動方程式(3) 非慣性座標系における運動、等加速度で平行移動する座標系から見た物体の運動を説明できる。
6週 運動方程式(4) 等角速度で回転する座標系から見た物体の運動を説明できる。 コリオリの加速度、コリオリ力について説明できる。
7週 後期中間試験
8週 剛体の運動(1) 慣性モーメントと回転半径を説明できる。(1)棒および(2)円板の慣性モーメントおよび回転半径を計算できる。
4thQ
9週 剛体の運動(2) 慣性モーメントに関する定理(1)平行軸の定理.(2)直交軸の定理を説明できる。 (1)薄い長方形板、( 2)直方体など各種形状の物体の慣性モーメントを求めることができる。
10週 剛体の運動(3) (1)外力が剛体の重心を通る場合および (2)外力が剛体の重心を通らない場合について、フリーボディダイアグラムが描け、運動方程式、角運動方程式を求めることができる。
11週 剛体の運動(4) 糸でつるされた円板や斜面を転がる円筒などの各種条件における剛体問題について、並進運動の方程式.回転運動の方程式を求め、速度、変位を求めることができる。
12週 力積と運動量 力積と運動量、角運動量と力積のモーメント、衝突物体の運動量保存の法則、反発係数と衝突後の物体の速度を説明できる。 打撃の中心について説明できる。
13週 仕事、エネルギー、動力(1) 力による仕事や力のモーメントによる仕事を説明できる。位置エネルギ、運動エネルギおよび弾性エネルギを説明できる。エネルギ保存の法則を説明できる。動力を説明できる。
14週 仕事、エネルギー、動力(2) エネルギ保存の法則を利用して剛体問題を解くことができる。
15週 摩擦 静止摩擦力と運動摩擦力、静(止)摩擦係数と(運) 動摩擦係数、摩擦力と垂直抗力および摩擦係数の関係 、摩擦に関するクーロンの法則を説明できる。
16週 後期定期試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。4
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。4
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。4
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。4
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。4
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。4
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。4
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。4
物体に作用する力を図示することができる。4
力の合成と分解をすることができる。4
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。4
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。4
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。4
慣性の法則について説明できる。4
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。4
運動方程式を用いた計算ができる。4
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。4
運動の法則について説明できる。4
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。4
最大摩擦力に関する計算ができる。4
動摩擦力に関する計算ができる。4
仕事と仕事率に関する計算ができる。4
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。4
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。4
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。4
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。4
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。4
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。4
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.4
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
力のモーメントを求めることができる。4
角運動量を求めることができる。4
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。4
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。4
重心に関する計算ができる。4
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。4
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。4
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。4
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。4
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。4
仕事の意味を理解し、計算できる。4
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。4
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4
動力の意味を理解し、計算できる。4
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。4
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。4
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力80000020100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000