知的財産権概論

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 知的財産権概論
科目番号 5M015 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 独自教材
担当教員 黒瀬 雅詞,下茂 力

到達目標

□知的財産権の基本的事項を理解できること(MMC)
□特許権の申請から取得までの流れを理解できること(MMC)
□知的財産権を特許検索サイトJ-Plat-Patを用いて情報リテラシを活用できること(GNCT)
□企業入社後に技術者として必要な知的財産権に関する知識が理解できること(MMC)
□TBLを活用し、技術者として必要な汎用的技能を認識して行動できること(MMC)
□コミュニケーションスキル、倫理観をもとに創成能力を養い、パテントコンテスト等に応募する資料を作成する(GNCT)
□エンジニアリングデザイン能力を発揮し、工学的に課題解決方法を明示できる(MMC)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1知的財産法の役割、制度が存在する意味を知り、知的財産の重要性を認識できる知的財産法の役割、制度、知的財産を理解できる知的財産法の役割、制度、知的財産の重要性を認識できない
評価項目2知的財産法の各法体系を知り、その制度の概要を理解できる知的財産法の各法体系の概要を理解できる知的財産法の各法体系や制度の概要を理解できない
評価項目3特許出願から登録までとその対応の方法を理解できる特許出願から登録までの流れを理解できる特許出願から登録までの流れを理解できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
(1)起業のためのアントレプレナーシップと各知的財産権の概要を学ぶ
(2)起業化のための特許調査の方法・パテントマップの作成方法を学ぶ
(3)特許明細書の書き方及び中間処理並びに登録後の権利行使について理解する
(4)起業化のため、職務発明等企業における知財の役割について理解する
授業の進め方・方法:
本授業は第1回~第7回の下茂教員の担当授業においては知的財産教育に関する実務経験のある弁理士であるため、その経験を活かし、起業化へ必要な特許などの産業財産権について講義形式で授業を行うものである。
授業は機械工学科3F設計支援室で行う。教材はモニタに提示しながら行う.また,数回の授業でパソコン端末を利用する.
前半は弁理士の非常勤講師の先生から知的財産権の概要を学び,後半は知財の創造実践教育を進める.
後半の授業では起業化のため、1対1あるいはグループ毎にディベート型の討論会を実施する.他者のディベート時には,オーディエンスとして討論会に参加する形式や他の端末を利用して企画を作成したりする.
提案品は3DCADで製作する、あるいは3Dプリンタ等で試作する.
コース①はパテントコンテストへの出願を目指して、試作又は実験を行う。コース②は従来技術の改良を目指し、公開特許の試作を行う
注意点:
本科目は学修単位科目であり,授業時間30 時間に加えて,自学自習時間60 時間が必要である.
授業時間は授業に出席して学習を行うことであり,授業以外の自学自習時間は授業以外の学習時間である.自学自習に60時間以上の学習時間を行った履歴を求めるため,ノートのチェックを毎週行う.
時間外において,パテントコンテスト出願様式演習およびプレゼンテーションの課題を課す.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
知的財産について概論を説明する。
ラボノートの意義を解説し、ラボノートの付け方、使い方を学修する。
知的財産法の全体像を説明し、同時に各法の目的と役割について発明品等の現物を用いながら説明する。
知的財産権の種類について、ヒット商品を例示しながら説明するとともに、法目的を解説する。
アントレプレナーシップについて説明する。
演習として,①パテントコンテストと②ビジネスコンテストに向けた応募について説明する。
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を理解し、社会における技術者の役割と責任を説明できる。
2週 起業調査として4年時の設計製図課題を基に,特許検索・分析を行う。
他のグループの情報を活用したり,ニーズを調べる.
特許検索方法のデモンストレーションを説明を加えながら実習する。
①新たな製品開発の企画書作成のため、各自で特許検索する。
②新たなビジネスの企画書作成のため、各自で業界検索する。
技術者を目指す者として、社会と地域について配慮することができる。
3週 起業のための発明やビジネスを具体化する。
卒研等のグループ毎に分かれて学生同志によるブレーンストーミングを行う。提案テーマから、
①パテントコンテストに応募できそうなものを選定していく。
②ビジネスコンテストに応募できそうなものを選定していく。
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、及び個人情報保護法、著作権などの法律との関連について理解できる。
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを理解できる。
技術者を目指す者として、環境問題について配慮することができる。
4週 起業化への提案書案を作成する。
①絞り込んだテーマ内容に関し、問題点を抽出し、解決策を考えるとともに、発明を展開させて、提案書の草案を箇条書きする。
②ビジネスコンテストへの応募に向けて問題点を抽出し、解決策を考えるとともに、発明を展開させて、提案書の草案を箇条書きする。
社会性、社会的責任、コンプライアンスが強く求められている時代の変化の中で、技術者として信用失墜の禁止と公益の確保が考慮することができる。
5週 起業化のため、発明やビジネスの展開をディベートする。
①②ともに、従来例と比較し、同一か、新しい要素が加わったものかを検討し、コンテストに応募できるか内容を検討する
技術者を目指す者として、環境問題について配慮することができる。
技術者を目指す者として、知的財産に関する知識(関連法案を含む)、技能、態度を身につける。
知的財産の社会的意義や重要性を技術者として理解し、知的創造サイクルを支えることができる。
6週 起業化のための提案書を完成させる
①企画案に基づき,3DCADで作成する
②ビジネス内容に基づき,イメージを3DCADで作成する
社会性、社会的責任、コンプライアンスが強く求められている時代の変化の中で、技術者として信用失墜の禁止と公益の確保が考慮することができる。
7週 起業化プレゼンテーションを作成する。
①②ともに、作成した明細書をパワーポイントまたは動画を用いて1分程度にまとめる。
知的財産の社会的意義や重要性を技術者として理解し、知的創造サイクルを支えることができる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 特許要件(1)
作成したプレゼンテーションを報告する.
お互いに評価し合い、産業上の効果について検討し,弁理士にコメントを求める.
弁理士から、発明とは何か、産業上の利用可能性とは何かについて説明してもらい,起業において、知的財産権および産業財産権の重要性を説明する。
技術者を目指す者として、知的財産に関する知識(関連法案を含む)、技能、態度を身につける。
10週 特許要件(2)
知的財産権の要件となる、新規性・進歩性とは何か、新規性喪失の例外について説明する。
企業において、知的財産権を活用するための新規性の重要性について説明する。
技術者を目指す者として、知的財産を意識した創造性を発揮できる。
技術者を目指す者として各国・各地域での活動において、各国・各地域の文化、慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令などを守ることができる。
11週 特許要件(3)
企業や起業のための実施権、職務発明等の問題に関する知識を得る。
技術者を目指す者として、知的財産を意識した創造性を発揮できる。
技術者を目指す者として各国・各地域での活動において、各国・各地域の文化、慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令などを守ることができる。
12週 起業に必要とされる意匠権・商標権の役割、登録要件等の活用方法を説明する。 技術者を目指す者として、知的財産を意識した創造性を発揮できる。
技術者を目指す者として各国・各地域での活動において、各国・各地域の文化、慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令などを守ることができる。
13週 プレゼンテーションを修正し,特許名称,ロゴデザイン,ビジネス商標など,周辺情報を検討する。 技術者を目指す者として、知的財産を意識した創造性を発揮できる。
技術者を目指す者として各国・各地域での活動において、各国・各地域の文化、慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令などを守ることができる。
14週 起業に際し、保護、共同出願、侵害時の対応等、就職後に遭遇し得る問題に関する知識を得る。 説明責任、内部告発、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的事項を理解し、説明できる。
技術者を目指す者として、社会での行動規範としての技術者倫理を理解し、問題への適切な対応力(どうのように問題を捉え、考え、行動するか)を身に付けて、課題解決のプロセスを実践できる。
15週 定期試験
16週 テスト返却 知的財産の社会的意義や重要性を技術者として理解し、知的創造サイクルを支えることができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。4前7
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。4前1
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。4前1,前2
社会における技術者の役割と責任を説明できる。4前1,前2,前3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。4前9
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。4前9
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。4前10,前11
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。4前4,前10,前11
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。4前1,前10
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。4前10,前11
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。5前10,前11
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。4前12
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。4前12
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。4前12
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。4前12
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。4前11
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。4前11
情報リテラシー情報リテラシー情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。4前2
情報伝達システムやインターネットの基本的な仕組みを把握している。3
情報セキュリティの必要性および守るべき情報を認識している。3
個人情報とプライバシー保護の考え方についての基本的な配慮ができる。3
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威を認識している3
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威に対して実践すべき対策を説明できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者の意見を聞き合意形成することができる。4前3,前4,前5,前6,前7,前9
合意形成のために会話を成立させることができる。4前3,前4,前9
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。4前4,前5
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。4前2,前3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。4前2,前3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。4前2,前3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。4前2,前3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。4前2,前3,前4
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。4前7,前9,前14
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる4前4,前5
複数の情報を整理・構造化できる。4前6,前7
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。4前2,前3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。4前3,前4,前5,前6,前7
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。4前10,前11,前12,前13,前14
事実をもとに論理や考察を展開できる。4前10,前11,前12,前13,前14
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。4前7,前9,前14
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。4前2
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。4前3,前4
目標の実現に向けて計画ができる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。4前6,前7
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。4前10,前11
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。4前2,前3,前4,前5
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。4前2,前3,前4,前5,前6
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている4前2,前3,前4,前5,前6,前7
法令やルールを遵守した行動をとれる。4前9,前10,前11,前12,前13,前14
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。4前9,前10,前11,前12,前13,前14
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。4前10,前11,前12,前13,前14
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。1
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。1
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。2
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。2
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3前10,前11,前12,前13,前14
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3前10,前11,前12,前13,前14
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3前10,前11,前12,前13,前14
企業には社会的責任があることを認識している。4前10,前11,前12,前13,前14
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。4前10,前11,前12,前13,前14
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。4前10,前11,前12,前13,前14
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。4前10,前11,前12,前13,前14
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。4前10,前11,前12,前13,前14
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。4前10,前11,前12,前13,前14
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。4前10,前11,前12,前13,前14
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。4前10,前11,前12,前13,前14
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。4前10,前11,前12,前13,前14
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。4前10,前11,前12,前13,前14
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。4前10,前11,前12,前13,前14
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。4前10,前11,前12,前13,前14
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3前10,前11,前12,前13,前14
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。4前10,前11,前12,前13,前14

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合602000020100
基礎的能力0000000
専門的能力6000001070
分野横断的能力0200001030