計測工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 計測工学Ⅱ
科目番号 5M018 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 適宜資料を配布する。<参考書>計測工学(第2版):谷口修,堀込泰雄:森北出版:4-627-61161-7
担当教員 小川 侑一

到達目標

この講義における受講者の到達目標は、
縦波、横波、表面波など波の種類や周波数、振幅、波長などの基本量ならびにうなり、干渉、反射、回折などの波動に特有な現象を理解できること。
正弦波および非正弦波(三角波,台形波など)の実効値が計算できること。
音圧や基準音圧を理解し、音圧レベルや音の強さのレベルおよび複数の音源による音圧レベル、音の強さのレベルが計算できること。
音の大きさの等感曲線(ISO 226)、騒音レベルを理解し、騒音計の聴覚補正(A 特,C 特性,FLAT)、指示の動特性(FAST とSLOW) など騒音計の構造を理解できること。
暗騒音を理解し、JIS の規定に基づく暗騒音補正ができること。
環境基準と規制基準の違いを理解すること。
等価騒音レベルや単発騒音暴露レベルの計算および単発騒音暴露レベルから等価騒音レベルが計算できること。
航空機騒音の環境基準評価量であるWECPNL(weighted equivalent continuous perceived noise level) が計算できること。
時間率騒音レベル( 中央値、90 パーセントレンジの上端値、80 パーセントレンジの上端値) が計算できること 。
騒音測定結果を環境基準値や規制基準値と比較できること。
振動レベルが計算できること。
振動・騒音の防止方法や具体的な対策について理解できること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1音圧レベル、音の強さレベルの計算が十分にできる。音圧レベル、音の強さレベルを計算可能である。音圧レベル、音の強さレベルを計算できない。
評価項目2騒音計の構造や騒音レベルについて十分に理解できる。騒音計の構造や騒音レベルの基礎的な事項を理解できる。騒音計の構造や騒音レベルの基礎的な事項を理解できない。
評価項目3騒音の種類と騒音評価量を十分に理解できる。騒音の種類と騒音評価量の基礎的事項を理解できる。騒音の種類と騒音評価量を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 国民の健康保護と生活環境保全に寄与するため平成5年に環境基本法が施行され、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、 騒音について環境基準が定められた。また、騒音・振動に関して騒音規制法、振動規制法により、道路交通、自動車、著しい騒音や振動を発する建設作業や工場などに対する規制基準が定められている。一般に騒音・振動問題は人間の身体に及ぼす心理的、生理的な影響、振動や騒音の伝播経路、発生源の特定など関連する要因が多く対策が困難な 場合が多い。
 この講義の後半では、交通騒音や航空機騒音など各種の発生源からの振動・騒音を環境基準、規制基準と比較する ため法律に基づいた振動・騒音の測定方法・測定条件、さらに基準値と比較するための騒音、振動の評価量の算出方法について学ぶ。最後に、振動・騒音の防止や対策について学習する。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。演習を適宜行い、理解を深める。
注意点:
講義に出席し、ノートをとる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 波・波動(1) 波の種類(縦波,横波,表面波)、音の3要素、 地震波の伝播速度(P 波,S 波)、大森公式(P-S 時間,震源距離)について理解できる。
2週 波・波動(2) 音の伝播について、流体中の圧力伝播速度,音速,音速の近似式を求めることができる。
うなり現象,音圧,音圧の実効値 実効値:実効値の定義式, 各種波形の実効値(正弦波,三角波)
3週 波・波動(3) 粒子の運動と音圧:時間的・空間的な波動伝播について理解できる。
4週 波・波動(4) 平面波の波動方程式およびその解を理解できる。
5週 音圧レベルと音の強さのレベル 最小可聴音、基準となる音圧実効値、音圧レベルの定義式、 音の強さ,音の強さのレベルについて理解できる。
6週 n音源からの音の強さのレベルと音響パワーレベル 2音源からの音の強さのレベル,暗騒音,n 音源からの音の強さのレベル,点音源,自由音場,音響パワー ,音響パワーレベル について理解できる。
7週 音の大きさのレベルと騒音レベル 音の大きさの等感曲線,phon,周波数補正(聴覚補正)、
A 特性音圧,騒音レベルdB(A)について理解できる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 騒音計騒音計の構成 コンデンサマイクロホン,周波数補正回路(A, C, FLA T)、指示の動特性(FAST, SLOW)、など騒音計の構造を理解できる。
10週 環境基準と規制基準 環境基本法と環境基準,騒音規制法と規制基準,騒音 の種類・分類(定常騒音,変動騒音,間欠騒音)について理解できる。
11週 騒音の種類と騒音評価量(1) 等価騒音レベルの定義式、サンプリングによる場合の等価騒音レベルLAeq,T dB(A)が計算できる。
12週 騒音の種類と騒音評価量(2) 時間率騒音レベル(90% レンジの上端値,下端値,中 央値),騒音暴露レベル,単発騒音暴露レベルが計算できる。
13週 自動車騒音、建設作業、工場の騒音 (1) 自動車騒音の要請限度( 道路交通騒音)
(2) 自動車騒音の許容限度( 自動車単体):定常走行 騒音,近接排気騒音,加速走行騒音
(1) 特定建設作業の例,騒音の測定方法,規制基準値 騒音
(2) 特定工場の例,騒音の測定方法,規制基準値について理解できる。
14週 航空機騒音、新幹線騒音 (3)航空機騒音 a) 航空機騒音に係る環境基準および基準値(WECPNL)、b) 小規模飛行場環境保全暫定指針および指針値(Lden)について理解できる。
15週 振動・騒音の防止と対策 振動・騒音の伝達経路,防止と対策について理解できる。
16週 後期定期試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。4
横波と縦波の違いについて説明できる。4
波の重ね合わせの原理について説明できる。4
波の独立性について説明できる。4
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。4
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力2000002040
専門的能力500000050
分野横断的能力100000010