材料学

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 材料学
科目番号 5M023 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 機械材料学:荘司郁夫他:丸善:978-4621088401
担当教員 山内 啓

到達目標

機械工学科で学習する材料学は,主として金属材料に現れる巨視的性質を内部構造などの微視的な視点を通じて理解し,これらの知識に基づいて金属材料の最適な選択法を修得しようとするものです.このために金属材料に関して原子レベルから最終製品の応用レベルまで幅広く取り扱います.
〇材料学は4年生からの内容から継続している.5年生の授業では,4年で既習した内容をベースとして4章7章8章を中心に扱い、9-11章についても学習する.
〇材料学の基礎を学習するばかりでなく専門科目を学ぶための導入教育を兼ねているので,講義中にときどき機械工学全般に関連した話題を取り上げる.興味を持って取り組んで欲しい.
〇近年の社会的要請を踏まえて、金属材料を主とした各種材料の化学的、電気的特性について学習する。高度化された機械設計・製作に必要・最適な材料や処理法の選択能力を養う。

○4年までの学習内容から残った内容
 □材料の拡散について説明できる
 □回復機構及び回復に伴う特性変化について説明できる
 □加工硬化と再結晶について説明できる
○鉄鋼材料
 □鉄鋼の製法について説明できる。
 □炭素鋼の性質を理解し、分類することができる
 □炭素鋼の状態図を理解し、組織と機械的性質が説明できる
 □各種鉄鋼材料の特性について説明できる
○非鉄金属材料
 □Al合金について性質と用途、製造法などを説明できる
 □Ti合金について性質と用途、製造法などを説明できる
 □Cu合金について性質と用途、製造法などを説明できる
 □各種非鉄金属材料の特性を説明できる
○無機材料・複合材料
 □セラミックス・炭素材料・複合材料の用途・製法・構造などについて説明できる
○有機材料 
 □高分子材料について、熱可塑性・熱硬化性高分子の構造・性質の違いにより高分子材料を分類できる
○金属材料の化学的性質(腐食防食)
 □金属の腐食反応、電池について説明できる
 □電位-pH図を理解できる
 □熱力学的平衡やギブスの自由エネルギーについて説明できる
 □エリンガム図を読める

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1CCT線図やTTT線図、炭素鋼の熱処理の方法を理解し、各方法の目的と操作について説明できる。炭素鋼の熱処理の方法を理解し、各方法の目的と操作について説明できる。炭素鋼の熱処理の方法を理解し、各方法の目的と操作について説明できない。
評価項目2実用鉄鋼材料および実用非鉄金属材料の性質と用途を説明できる鉄鋼材料の性質と用途を説明できる鉄鋼材料の性質と用途を説明できない
評価項目3各種工程を含む鉄鋼の製法と炭素鋼の状態図を理解して、炭素鋼の性質を詳細に説明できる。鉄鋼の製法と炭素鋼の状態図を理解して、炭素鋼の性質を説明できる。鉄鋼の製法と炭素鋼の状態図を理解して、炭素鋼の性質を説明できない。
評価項目4電位-pH図を読め、金属の腐食反応、電池について説明できる金属の腐食反応、電池について説明できる金属の腐食反応、電池について説明できない
評価項目5各種濃度比や酸素分圧を計算することができ、エリンガム図を使うことができるエリンガム図を読めるエリンガム図を読めない
評価項目6無機材料・有機材料・複合材料の性質と用途を詳しく説明できる無機材料・有機材料・複合材料の性質と用途を説明できる無機材料・有機材料・複合材料の性質と用途を説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
昨年度の復習から入り、拡散、鉄鋼材料、非鉄金属材料、無機材料・有機材料・複合材料について学び、
金属材料の化学的性質を理解し、腐食に関する知識を学び、電位-pH図やエリンガムズを読み取れるようにする。
鉄鋼材料は状態図や熱処理を理解していることを前提に、各種材料の名称や用途などを学ぶ。さらに、非鉄金属材料(Al、Cu、Tiなど)についても詳細に学ぶ。
無機材料・有機材料・複合材料については概論的に取り扱う.
授業の進め方・方法:
座学形式でおこなう。パワーポイントを使って授業を進めるので、レジュメを前もって配布する。
必要に応じてレポート課題を出すので、試験までに必ず解いてから試験に臨むこと。
機械系の学生にとって、材料学は化学的なイメージがつきまとい、苦手意識を持ちやすい。
そこで、なるべく図やグラフなどを中心に視覚的イメージから本質を理解しやすいように授業を進める。
これまでの化学・物質科学基礎や4年生での物質科学総論の学習を踏まえて、金属材料を中心として、
材料のミクロレベルからマクロレベル、基礎的な知識から最終製品の応用レベルまで幅広く取り扱う。
材料学は物理的な側面と化学的な側面から構成されているので、それらをバランス良く学習し、
今後の卒業研究などへの導入学習とする.
注意点:
本科目は学修単位科目であり,授業時間30 時間に加えて,自学自習時間60 時間が必要である.
授業時間は授業に出席して学習を行うことであり,授業以外の自学自習時間は授業以外の学習時間である.
自学自習には教科書の事前通読,事後学習には課題を課すことで対応する.
材料学に関する専門用語に慣れるように教科書を教科書をよく読んで授業に取り組むことが重要である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 4年の復習 これまでに学んだ内容について確認し、抜けている知識については学び直しをすること。
2週 拡散 拡散・Fickの法則について説明できる
誤差関数や微分方程式などを用いて計算することができる。
3週 鉄鋼材料 鉄鋼の製法を説明できる。
Fe-C系平衡状態図の見方を理解できる。
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。
4週 鉄鋼材料2 焼きなましの目的と操作を説明できる.焼きならしの目的と操作を説明できる.焼入れの目的と操作を説明できる。
二元系状態図の見方を理解できる。
5週 鉄鋼材料3 炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。
各種のステンレス鋼の組成,熱処理,特性を説明できる。
6週 非鉄金属材料 アルミニウムの製造プロセスと特徴について説明できる.
Alの溶体化処理・時効について説明できる
7週 非鉄金属材料2 CuとTiについて製法・用途などを説明できる
銅および銅合金について説明できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 無機材料 無機材料の性質と用途を説明できる。
10週 有機材料 有機材料の性質と用途を説明できる。
11週 複合材料 複合材料の性質と用途を説明できる。
12週 材料の化学的性質 湿食について説明できる
ネルンストの式を理解し、電位-pH図を読める
13週 材料の化学的性質 熱力学的平衡について説明できる
エリンガム図を読める
14週 材料の化学的性質 エリンガム図を読める
15週 期末試験
16週 試験返却 間違った所を理解する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野材料機械材料に求められる性質を説明できる。4
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。4
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。4
金属と合金の結晶構造を説明できる。4
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。4
合金の状態図の見方を説明できる。4
エリンガム図を読める4
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。4
鉄鋼の製法を説明できる。4
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。4
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。4
焼きなましの目的と操作を説明できる。4
焼きならしの目的と操作を説明できる。4
焼入れの目的と操作を説明できる。4
焼戻しの目的と操作を説明できる。4
材料系分野材料組織製銑および製鋼工程について、原料ならびに主設備、主な炉内反応を説明できる。3
純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。3
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。3
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。3
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。3
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。3
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。3
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。3
金属材料拡散係数の物理的意味を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力100000010
専門的能力700000070
分野横断的能力200000020