機械工作法Ⅱ

科目基礎情報

学校 宇部工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 機械工作法Ⅱ
科目番号 13021 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 非除去加工:「機械工作法Ⅰ」朝倉・橋本著(共立出版)*機械工作法Ⅰで使用したもの/除去加工:「機械工作法」 佐久間・斉藤・松尾著 (朝倉書店)
担当教員 後藤 実

到達目標

械工作法は加工素材を固体として扱い、大別すると(Ⅰ)材料非除去加工と(Ⅱ)材料除去加工に分類できる。非除去加工の分野では、塑性加工(圧延加工、押出し加工、引抜き加工、せん断・曲げ加工、絞り加工、転造加工)と溶接法(溶接の概要、アーク溶接、ガス溶接、特殊溶接法、抵抗溶接法、圧接とろう付、ガスおよびアーク切断)について理解し説明できることを目標とする。除去加工の分野では、除去加工(機械加工の目的と金属の切削機構、切削工具、と石およびと粒による加工)について理解し説明できることを目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1塑性加工技術に関する専門用語やプロセスおよび得失を理解した上で、製品や目的に合わせた適切な塑性加工の行程が立案できる。塑性加工技術に関する専門用語やプロセスおよび得失を理解した上で、製品や目的に合わせた工作法の選択ができる。塑性加工技術に関する基礎的な専門用語やプロセスおよび得失を理解し説明できる。塑性加工技術に関する基礎的な専門用語やプロセスおよび得失が理解できず説明できない。
評価項目2溶接技術に関する専門用語やプロセスおよび得失を理解した上で、製品や目的に合わせた適切な溶接法の行程が立案できる。溶接技術に関する専門用語やプロセスおよび得失を理解した上で、製品や目的に合わせた溶接法の選択ができる。溶接技術に関する基礎的な専門用語やプロセスおよび得失を理解して説明できる。溶接技術に関する基礎的な専門用語やプロセスおよび得失が理解できず説明できない。
評価項目3切削加工技術に関する専門用語やプロセスおよび得失を理解した上で、製品や目的に合わせた適切な機械加工の行程が立案できる。切削加工技術に関する専門用語やプロセスおよび得失を理解した上で、製品や目的に合わせた切削条件の選択ができる。切削加工技術に関する基礎的な専門用語やプロセスおよび得失を理解して説明できる。切削加工技術に関する基礎的な専門用語やプロセスおよび得失が理解できず説明できない。
評価項目4と粒加工技術に関する専門用語やプロセスおよび得失を理解した上で、製品や目的に合わせた適切なと粒加工の行程が立案できる。と粒加工技術に関する専門用語やプロセスおよび得失を理解した上で、製品や目的に合わせたと粒加工法の選択ができる。と粒加工技術に関する基礎的な専門用語やプロセスおよび得失を理解して説明できる。と粒加工技術に関する基礎的な専門用語やプロセスおよび得失が理解できず説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
機械工作法Ⅱは非除去加工と除去加工について学びます。
一般に切削加工やと粒加工などの除去加工は材料のムダが多く製造コストが高くなる反面、工作精度は高いことが理解でき、非除去加工と除去加工のそれぞれの長所をバランス良く組み合わせた工程を実現することで、安くて高性能な製品を早く大量に作ることが可能になることを学ぶ。
授業の進め方・方法:
初めに、機械工作法Ⅰで網羅されていない各種の塑性加工や溶接法について学習を深める。続いて、切削加工の概要と各種加工条件の役割について理解すると共に、実際の切削機構を二次元切削模型を使用して解析的に理解することで、工学的なモデルを使った理論解析の方法を学ぶ。また、と粒加工も解析モデルを用いて研削機構を理解する。各授業毎の予習・復習レポートをまとめ、指定の表紙を付けておくこと。授業の後期に科目のまとめとして課題レポートを課す。成績評価は、各授業毎の予習・復習レポートが40%と課題レポート60%で行う。
注意点:
授業を受ける前にシラバスで講義内容を確認し、教科書の該当する箇所を予め予習しておくこと。授業中はなぜそのような工法や材料を用いるのか自分の頭で考えること。
授業中に生じた疑問点はその時間のうちに質問し、解決すること。また、講義を受けた後の復習は教科書だけではなく、参考書等も用いること。
不明な点は教科担当に積極的に質問すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1回 圧延加工と管材加工
    (塑性加工1)
圧延加工の概要と加工原理、および工業的応用事例としての管材加工の概要と加工原理を理解して説明できる。
2週 第2回 押出し加工と引抜き加工
    (塑性加工2)
引抜き加工と押出し加工の概要と加工原理、および工業的応用事例を理解して説明できる。
3週 第3回 転造加工
    (塑性加工3)
転造加工の概要と加工原理、および工業的応用事例を理解して説明できる。
4週 第4回 せん断・曲げ加工・絞り加工
    (塑性加工4)

せん断・曲げ・絞り加工の概要と加工原理、および工業的応用事例を理解し説明できる。
5週 第5回 溶接の概要とガス溶接法
     (溶接1)
溶接の概要と加工原理を理解し、ガス溶接法の概要と加工原理、および工業的応用事例を理解して説明できる。
6週 第6回 アーク溶接法と抵抗溶接法
    (溶接2)
アーク溶接法と抵抗溶接法の概要と加工原理、および工業的応用事例を理解して説明できる。
7週 第7回 特殊融接法とその他の接合法
    (溶接3)
特殊融接法(テルミット溶接、エレクトロスラグ溶接、電子ビーム溶接、レーザービーム溶接、プラズマアーク溶接)と圧接・ろう接の概要と加工原理、および工業的応用事例を理解して説明できる。
8週 第8回 切削加工の概要と構成刃先
    (機械加工1)
切削加工の概要と加工原理について理解して説明でき、構成刃先の生成・消滅と切削温度の関係について説明できる。
2ndQ
9週 第9回 工具形状と切りくず生成およびせん断領域のモデル化
    (機械加工2)
二次元切削模型を用いて切削比および工具形状とせん断角、せん断速度および切りくず速度の関係を理解して説明できる。
10週 第10回 切削抵抗と切削力の測定および切削方程式
    (機械加工3)
二次元切削模型を使って、せん断抵抗および摩擦力と主切削抵抗および背分力との関係を解析し、切削力の測定と切削方程式について理解して説明できる。
11週 第11回 切削油剤と工具摩耗および仕上面粗さ
    (機械加工4)
切削油剤の種類および作用と効果について説明でき、切削方程式を用いて切削油剤の作用機構を説明できる。また、工具摩耗の要因について理解して説明でき、仕上面粗さの概要について説明できる。
12週 第12回 切削工具の形状と切削工具材料
    (機械加工5)
実際の切削工具形状と工具材料について理解して説明できる。
13週 第13回 と粒加工の概要と研削加工の基礎
    (と粒加工1)
と粒加工の概要と加工原理およびと粒とと石の基礎を理解し、円筒プランジ研削と石周速とと粒切込み深さの関係を説明できる。
14週 第14回 研削加工の精度と表面損傷および精密表面仕上げ加工
    (と粒加工2)
研削条件および研削液の種類と寸法精度の関係および、研削面の表面損傷について理解して説明できる。また、精密表面仕上げ加工について理解して説明できる。
15週 第15回 課題レポート 機械工作法Ⅱで学習した内容の理解度を確認する。
16週 第16回 課題レポート解説と授業改善アンケートの実施 課題レポート解説により,間違った箇所を理解する。
学習事項の総まとめを行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野工作溶接法を分類できる。4
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。4
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。4
サブマージアーク溶接、イナートガスアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接で用いられる装置と溶接のしくみを説明できる。4
塑性加工の各加工法の特徴を説明できる。4
降伏、加工硬化、降伏条件式、相当応力、及び体積一定則の塑性力学の基本概念が説明できる。4
切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。4
切削工具材料の条件と種類を説明できる。4
切削速度、送り量、切込みなどの切削条件を選定できる。4
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。4
研削加工の原理、円筒研削と平面研削の研削方式を説明できる。4
砥石の三要素、構成、選定、修正のしかたを説明できる。4
ホーニング、超仕上げ、ラッピングなどの研削加工を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合00000100100
知識の基本的な理解000005050
思考・推論・創造への適用力000005050