電子回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 電子回路Ⅰ
科目番号 0069 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産システム工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 高木茂孝・鈴木憲次 監修「電子回路概論」(実教出版)/ 雨宮好文著「基礎電子回路演習」(オーム社)
担当教員 高田 明雄

到達目標

1. 半導体素子の動作を理解し,その電気的特性(特に,電流-電圧特性)を回路動作解析に応用できる.
2. トランジスタ等の半導体素子を電気回路モデル(小信号等価回路)に置き換える方法について説明でき,なおかつ,このモデルを回路解析に応用できる.
3. 回路に組み込まれたトランジスタのバイアス意味を説明でき,かつ,バイアス量をトランジスタの電気的特性およびキルヒホッフの法則に基づいて導出できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1半導体素子の動作を理解し,その電気的特性(特に,電流-電圧特性)を回路動作解析に応用できる.半導体素子の電流-電圧特性を回路動作解析に応用できる.半導体素子の電流-電圧特性を回路動作解析に応用できない.
評価項目2トランジスタ等の半導体素子を電気回路モデル(小信号等価回路)に置き換える方法について説明でき,なおかつ,このモデルを回路解析に応用できる.トランジスタ等の半導体素子を電気回路モデル(小信号等価回路)に置き換えたものを回路解析に応用できる.トランジスタ等の半導体素子を電気回路モデル(小信号等価回路)に置き換えたものを回路解析に応用できない.
評価項目3回路に組み込まれたトランジスタのバイアス意味を説明でき,かつ,バイアス量をトランジスタの電気的特性およびキルヒホッフの法則に基づいて導出できる回路に組み込まれたトランジスタのバイアス量をトランジスタの電気的特性およびキルヒホッフの法則に基づいて導出できる回路に組み込まれたトランジスタのバイアス量を導出できない

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
ダイオードやトランジスタはスマートフォン,自動車,パソコン,ロボットあるいは家電製品を含むあらゆる電子機器・通信機器・計測機器・制御機器等に組み込まれている。また、これらの半導体素子を使った電気回路は電子回路と呼ばれ、抵抗、コイルあるいはコンデンサという受動部品からなる回路では達成できない様々な便利な機能を発揮する。本科目では、これらの半導体素子の内部構造・電気的な特性について学び、電気回路モデルを使った素子の等価回路表現について説明できるようになり、さらには、それらの素子を組み込んだ電子回路全体の動作を説明できることを目標とする。

電子回路という授業の大きなテーマの一つは『増幅(小さな信号を拡大,すなわち大きな信号に変換すること)』にある.これについては,電子回路Ⅱで詳しく学ぶ.
また,デジタル回路で使われるデジタル信号(パルス信号)については,電子回路Ⅲで扱う.
授業の進め方・方法:
教科書を基本として授業を進める.黒板への板書もしくは電子ホワイトボードへの板書に加え,図はスライドをスクリーンに映して示す.学ぶ単元によっては追加資料は練習問題を配布する.

半導体の基礎(真性半導体,不純物半導体,pn接合,空乏層)を知っておけば素子の動作理解が深まるが,別の科目「電子工学」で詳しく学ぶところであるため,本授業では概観する程度にとどめたい.利得の計算に使う単にデシベル(dB)では,常用対数を使う.

キルヒホッフの法則(電圧法則・電流法則)を正しく使えるように十分に復習しておく.
注意点:
本科目は履修単位(1単位)の授業であるため、履修時間は授業時間30時間と授業時間以外の学修(予習・復習、課題・テスト等のための学修)を併せて45時間である。自学自習の成果は定期試験によって評価する。

勉強の仕方で注意すべきことは,『暗記』ではなく回路動作の『理解』を優先すべきという点に尽きる.つまり,『なぜそうなるのか』という意識で,受講し,疑問は放置すべきではない.

授業内容について質問・疑問がある場合には,直接研究室等に授業ノート等を持参できてください.オンライン対応は,ビデオ会議が可能な場合にのみ可とします.ただし,日程の事前調整はチャット等で行ってください.なお,教員の休日や勤務時間外はその対象外とします.

過去テストの問題は,出題傾向・形式を参考にしてほしいために共有することがある.ただし,模範解答は原則的に共有・その解説(解答)は行わない.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス(0.5h)
1.半導体素子
◇pn接合・ダイオード(コア)
・授業計画および電子回路の特徴や応用範囲の説明
・pn接合とダイオードの性質,種類について説明できる
・ダイオードの電流-電圧特性や使用方法について説明できる
2週 2.トランジスタ・FET
◇バイポーラ・トランジスタ(BJT)(コア)
 
・トランジスタ(BJT)の基本構造を説明できる
・トランジスタの電流増幅機能について説明できる
3週 ◇バイポーラ・トランジスタ(コア)
 
・トランジスタの各部の電圧および電流の関係を表す静特性について説明できる
4週 ◇電界効果トランジスタ(FET)(コア)  ・接合形FETの基本構造および電流増幅機能・電流-電圧特性について説明できる
5週 ◇電界効果トランジスタ(FET)(コア) ・MOSFETの基本構造および電流増幅機能・電流-電圧特性について説明できる
6週 ◇インバータ
・CMOSインバータについて説明できる
・NMOS,BJTインターバーについて比較た,CMOSの省電力の由来いについて説明できる
7週 3.増幅回路の基礎
◇増幅回路の基礎
・BJTやFETを使った増幅回路の基本構成と基本動作について説明できる
8週 中間試験
4thQ
9週 ◇小信号等価回路(コア)
 ・FET
FETの小信号等価回路について,素子の特性から求められる三定数を用いて説明できる
10週 ◇小信号等価回路(コア)
 ・バイポーラトランジスタ・hパラメータ
・hパラメータを使ったバイポーラ・トランジスタの小信号等価回路を描くことができる
・hパラメータの意味を説明できる
11週 ◇バイポーラトランジスタの小信号等価回路
 ・hパラメータの導出方法・バイアス依存
・BJTを使った各種接地方式の小信号等価回路を求めることができる
・hパラメータのバイアス電流・バイアス電圧依存性について説明できる
・hパラメータの互換性について説明できる
12週 4.電圧,電流,および電力の増幅度
◇増幅の度合いを表す指数
・増幅度および利得(単位dB)について説明できる
・電圧利得,電流利得,電力利得を計算で求められる
13週 5.バイアス回路
◇FET増幅回路(コア)
FETの固定されたバイアス方式,あるいは帰還型のバイアス方式ついて,回路内各部の電流および電圧を求めることができる。
14週 ◇BJT増幅回路(コア) BJTの固定されたバイアス方式,あるいは帰還型のバイアス方式ついて,回路内各部の電流および電圧を求めることができる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 誤解答部分や未解答部分の正当な解法を確認できる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4後1
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4後2,後3,後10
FETの特徴と等価回路を説明できる。4後4,後5,後6,後9
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4後13,後14
電子工学電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4後4,後5

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000