基礎電子回路

科目基礎情報

学校 旭川工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 基礎電子回路
科目番号 0002 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 アナログ電子回路
担当教員 土橋 剛

到達目標

1. トランジスタ、FET の動作原理を理解し、それらの等価回路について説明できる。
2. トランジスタ、FET の等価回路を用いて、各種動作量が計算できる。
3. トランジスタ、FET のバイアス回路を理解し、バイアス回路の計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1トランジスタ、FET の動作を正しく説 明でき、それらの等価回路を導くこと ができる。トランジスタ、FET の動作を説明で き、それらの等価回路を示すこと ができる。トランジスタ、FET の動作を説明で きず、それらの等価回路を示すこと ができない。
評価項目2トランジスタ、FET の等価回路を用 いて、各種動作量を正しく計算でき る。トランジスタ、FETの等価回路を用 いて、各種動作量を計算できる。トランジスタ、FET の等価回路を用 いて、各種動作量を計算できない。
評価項目3トランジスタ、FET のバイアス回路を 正しく理解し、バイアス回路の計算が できる。トランジスタ、FET のバイアス回路 を理解し、バイアス回路の計算が できる。トランジスタ、FET のバイアス回路が 理解できず、バイアス回路の計算が できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
ダイオード、トランジスタ、FET あるいはIC を使った電子回路機器を作るための学問である。3 年の電子回路の到達目標は、
基本的なトランジスタとFET のバイアス回路の設計と増幅回路の動作量(増幅度、入・出力インピーダンス等)の計算ができる
ようになることである。
授業の進め方・方法:
前半は、トランジスタ・FET の動作の概要と等価回路、並びに増幅回路として用いるためのバイアス設計について学ぶ。
後半は、前半で学んだ等価回路を用いて各種動作量の計算方法を学ぶ。
注意点:
電子回路は、直流バイアスの考え方を理解すれば、後は能動素子を等価回路に置き換えることで、電気回路の知識で取り
扱うことができる。ただ、どの程度の近似をどこで取り入れるかに経験的要素がいるから演習問題をこなして馴れることが大切
である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1.電子回路に必要な基礎
― 電源 -
電圧源・電流源と制御電源について説明することができる。
2週 1.電子回路に必要な基礎
 - 電気回路の定理 -
電気回路で使う定理や解析法を使うことができる。
3週 1.電子回路に必要な基礎
 - 電力比、電圧比、電流比の表し方と周波数特性 -
デシベル単位で電力比、電圧比などを表現できる。
回路の周波数特性を求めることができる。
4週 2.トランジスタの動作と等価回路
 - 真正半導体と不純物半導体 -
半導体の基礎を説明できる。
5週 2.トランジスタの動作と等価回路
 - pn接合ダイオード -
ダイオードの動作を説明できる。
6週 2.トランジスタの動作と等価回路
-パイポーラトランジスタの動作と特性 -
トランジスタの動作が説明でき、その特性曲線について理解することができる。
7週 2.トランジスタの動作と等価回路
- FETの動作と特性 -
FETの動作と特性について説明できる。
8週 前期中間試験 学んだ知識の確認ができる。
2ndQ
9週 2.トランジスタの動作と等価回路
- トランジスタの等価回路 -
トランジスタの動作原理から、トランジスタの等価回路が理解できる。
10週 2.トランジスタの動作と等価回路
- トランジスタの等価回路 -
トランジスタの各接地形式の等価回路に変換できる。
11週 2.トランジスタの動作と等価回路
- トランジスタの等価回路 -
トランジスタの等価回路を用いて増幅度を計算できる。
12週 2.トランジスタの動作と等価回路
- hパラメータ等価回路 -
hパラメータの定義とhパラメータ等価回路が理解でき、トランジスタ特性とhパラメータの関係が説明できる。
13週 2.トランジスタの動作と等価回路
- hパラメータ等価回路 -
トランジスタT形等価回路とhパラメータ等価回路の変換ができる。また、トランジスタを含む回路のhパラメータを求めることができる。
14週 2.トランジスタの動作と等価回路
- FET等価回路 -
FETの各種接地形式の等価回路について説明ができる。
15週 前期末試験 学んだ知識の確認ができる。
16週 答案返却と解説 学んだ知識の再確認と修正ができる。
後期
3rdQ
1週 3.小信号基本増幅回路
 - 直流と交流の分離 -
直流に重畳した小信号の考え方が理解でき、バイアスの概念が理解できる。
2週 3.小信号基本増幅回路
- トランジスタのバイアス回路 -
基本的バイアス回路の計算ができるようになる。
3週 3.小信号基本増幅回路
- トランジスタのバイアス回路 -
演習を通して各種バイアス回路の計算ができる。
4週 3.小信号基本増幅回路
- トランジスタのバイアス回路 -
演習を通して各種バイアス回路の計算ができる。
5週 3.小信号基本増幅回路
- FETのバイアス回路 -
各種FETバイアス回路の計算ができる。
6週 3.小信号基本増幅回路
- トランジスタ増幅回路の動作量の計算 -
基本増幅回路を等価回路に書き換え、動作量の計算ができる。
7週 後期中間試験 学んだ知識の確認ができる。
8週 3.小信号基本増幅回路
- FET基本増幅回路 -
FET増幅回路の動作量を求めることができる。
4thQ
9週 3.小信号基本増幅回路
- 基本増幅回路の従続接続 -
増幅回路を従続接続したときの動作量を計算できる。
10週 4.高周波等価回路と周波数特性
- 高周波T形等価回路とハイブリッドΠ形等価回路 -
トランジスタの高周波での動作を理解し、高周波等価回路との対応が理解できる。
11週 4.高周波等価回路と周波数特性
- ミラー効果を考慮した小信号増幅器の周波数特性 -
ミラー効果を理解し、ハイブリッドΠ形等価回路をミラー効果で書き換え周波数特性を導出できる。
12週 4.高周波等価回路と周波数特性
- 多段増幅器の周波数特性 -
増幅器を多段接続したときの周波数特性を計算できる。
13週 4.高周波等価回路と周波数特性
- 広帯域増幅回路 -
広帯域化するためのピーキング回路について計算できる。
14週 トランジスタ高周波等価回路に関する演習 各種演習問題を計算できる。
15週 学年末試験 学んだ知識の確認ができる。
16週 答案返却と解説 学んだ知識の再確認と修正ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。2
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。2
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。2
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。2
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。2
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。2
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。2
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。2
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3前1
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。3前1,前2
FETの特徴と等価回路を説明できる。3前3
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。3
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。3
演算増幅器の特性を説明できる。4
反転増幅器や非反転増幅器等の回路を説明できる。4
計測計測方法の分類(偏位法/零位法、直接測定/間接測定、アナログ計測/ディジタル計測)を説明できる。3
精度と誤差を理解し、有効数字・誤差の伝搬を考慮した計測値の処理が行える。3
SI単位系における基本単位と組立単位について説明できる。3
計測標準とトレーサビリティの関係について説明できる。3
指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。3
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。3
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。3
電圧降下法による抵抗測定の原理を説明できる。4
ブリッジ回路を用いたインピーダンスの測定原理を説明できる。4
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。4
電力量の測定原理を説明できる。4
オシロスコープの動作原理を説明できる。4
オシロスコープを用いた波形観測(振幅、周期、周波数)の方法を説明できる。4

評価割合

試験小テスト相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力2010000030
専門的能力6010000070
分野横断的能力0000000