概要:
西洋哲学史や諸地域の宗教・文化の歴史において、「身体」がどのように論じられてきたのか、できるだけ多角的な視点や話題を紹介しつつ講義する。「内と外」「個人と社会」「包摂と排除」の境界に現れ、現代社会の様々な問題が焦点を結ぶ「身体」という主題に着目することによって、受講者には、生命、動物、視覚、機械、経済、医療、間文化性などのさまざまな事柄について各自の観点から考察してもらう。
次のことができるようになるよう、真剣に受講することを望む。
・西洋哲学史や諸地域の宗教・文化の歴史において、「身体」がどのように論じられてきたのか、多面的に認識できる。
・「内と外」「個人と社会」の境界、人間社会への「包摂と排除」の境界に現れる様々な事柄(生命、動物、視覚、機械、経済、医療、間文化性、科学技術の発達、国際的な移民の増加、マスメディアの発達など)について各自の観点から考察し、文章にまとめることができる。
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で、教科書は用いず、レジュメおよびテキストは授業ごとに適宜配布する。また、講義の理解や思索の深化を促すために、毎講義ごとにコミュニケーションペーパーを用いる。コミュニケーションペーパーでは、講義内容と関連する哲学的な問題に関して論述し、各自の思索を深める。中間には講義内容をまとめる小レポートを課す。期末には講義内容を前提として、各自の哲学的思考を求めるレポートを課す。
注意点:
テストは行わず、コミュニケーションペーパーとレポートにて評価するため、提出物が滞らないように注意すること。また、本講義は身体を主題として哲学史に関する知識を伝授するとともに、受講者に現代的な諸問題について考えるヒントを与えることを目指している。そのため、授業には積極的に参加し、コミュニケーションペーパーに何を書くか、簡単にでも頭に浮かべて講義に臨む必要がある。コミュニケーションペーパーの内容があまりに不足している場合は評価しないので注意すること。また、レポートでは(コミュニケーションペーパーも同様であるが)、自分の意見と他人の意見を明確に区別し、引用や参考文献については明記するなどの最低限の形式を厳守する必要がある。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
導入講義 (哲学思想と身体) Ⅰ生・動物の包摂と排除 シラバスの説明 身体という根本現象 知の逆説 極限状況 ホモ・サケルなどについて理解し、人間とはどのような存在か考察できる。 Ⅰ生・動物の包摂と排除 ゾーエ ビオス 人権などについて理解し、国際平和の推進について考察できる。 Ⅰ生・動物の包摂と排除 アリストテレスにおける心身関係 人間学機械 人間の定義について理解し、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。 Ⅰ生・動物の包摂と排除 Ⅱ牢獄としての身体と精神 エピステーメー 動物 野生児 デカルトにおける狂気と身体 狂人の解放などを理解し、諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方について、好ましくないかかわり方から理解できる。 Ⅱ牢獄としての身体と精神 パノプティコン ソーマ・セーマ理論 プラトンにおける心身関係などを理解し、諸思想や諸宗教において、人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて批判的に理解できる。 Ⅲ視覚の幾何学化 精神の眼の伝統 反視覚中心主義などを理解し、身体に注目して哲学者やその他の思想を用いて社会と個人のかかわり方について理解できる Ⅲ視覚の幾何学化 Ⅳ身体の機械論 デカルトの心身の実在的区別、人間機械論などを理解し、科学技術のあり方についてのさまざまな考え方について理解できる 中間まとめ Ⅳ身体の機械論 心身の実体的合一 医学と道徳 機械と環境 物神崇拝 消費社会などについて理解し、現代の特質について理解できる。 Ⅳ身体の機械論 Ⅴ集合体としての身体 速度 意志なき身体 無頭人 政治的身体 栄光の身体 サルクスなどを理解し、集合体としての身体に注目して社会と個人のかかわり方についてどのように考えられてきたか考察できる Ⅴ集合体としての身体 Ⅵ医療化における身体と社会 生権力 人口 医療化 医原病 清潔 衛生などを理解し、諸思想や諸宗教において、社会と個人のかかわり方についてどのように考えられてきたか理解できる Ⅵ医療化における身体と社会 Ⅶ病人の包摂と排除 病人の役割理論 健康 生き抜く体験 などを理解し、病人をめぐって社会と個人のかかわり方について、のぞましい技術のあり方について理解できる Ⅶ病人の包摂と排除 現象学的還元 キネステーゼ 生活世界 世界への手がかり ゲシュタルト 自然的判断などについて理解し、社会に調和した技術のあり方について、医療を例にして理解できる。 Ⅷ身体の比喩と文化 隠喩としての病 疾病体質 侵入者などを理解し、文化の多様性を認識し、互いの文化を尊重することの大切さを理解できる Ⅶ身体の比喩と文化 身体と言語 白い仮面 オリエンタリズムなどについて理解し、国際協力の課題について理解できる。 Ⅸ身体と自他の区別 まとめ ヴェール スカーフ事件 移民などについて理解し、身体を中心に社会と個人の関係について考察できる 導入講義 (哲学思想と身体) Ⅰ生・動物の包摂と排除 |
シラバスの説明 身体という根本現象 知の逆説 極限状況 ホモ・サケルなどについて理解し、人間とはどのような存在か考察できる。
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2週 |
Ⅰ生・動物の包摂と排除 |
ゾーエ ビオス 人権などについて理解し、国際平和の推進について考察できる。
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3週 |
Ⅰ生・動物の包摂と排除 |
アリストテレスにおける心身関係 人間学機械 人間の定義について理解し、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。
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4週 |
Ⅰ生・動物の包摂と排除 Ⅱ牢獄としての身体と精神 |
エピステーメー 動物 野生児 デカルトにおける狂気と身体 狂人の解放などを理解し、諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方について、好ましくないかかわり方から理解できる。
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5週 |
Ⅱ牢獄としての身体と精神 |
パノプティコン ソーマ・セーマ理論 プラトンにおける心身関係などを理解し、諸思想や諸宗教において、人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて批判的に理解できる。
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6週 |
Ⅲ視覚の幾何学化 |
精神の眼の伝統 反視覚中心主義などを理解し、身体に注目して哲学者やその他の思想を用いて社会と個人のかかわり方について理解できる
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7週 |
Ⅲ視覚の幾何学化 Ⅳ身体の機械論 |
デカルトの心身の実在的区別、人間機械論などを理解し、科学技術のあり方についてのさまざまな考え方について理解できる
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8週 |
中間まとめ Ⅳ身体の機械論 |
心身の実体的合一 医学と道徳 機械と環境 物神崇拝 消費社会などについて理解し、現代の特質について理解できる。
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2ndQ |
9週 |
Ⅳ身体の機械論 Ⅴ集合体としての身体 |
速度 意志なき身体 無頭人 政治的身体 栄光の身体 サルクスなどを理解し、集合体としての身体に注目して社会と個人のかかわり方についてどのように考えられてきたか考察できる
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10週 |
Ⅴ集合体としての身体 Ⅵ医療化における身体と社会 |
生権力 人口 医療化 医原病 清潔 衛生などを理解し、諸思想や諸宗教において、社会と個人のかかわり方についてどのように考えられてきたか理解できる
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11週 |
Ⅵ医療化における身体と社会 Ⅶ病人の包摂と排除 |
病人の役割理論 健康 生き抜く体験 などを理解し、病人をめぐって社会と個人のかかわり方について、のぞましい技術のあり方について理解できる
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12週 |
Ⅶ病人の包摂と排除 |
現象学的還元 キネステーゼ 生活世界 世界への手がかり ゲシュタルト 自然的判断などについて理解し、社会に調和した技術のあり方について、医療を例にして理解できる。
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13週 |
Ⅷ身体の比喩と文化 |
隠喩としての病 疾病体質 侵入者などを理解し、文化の多様性を認識し、互いの文化を尊重することの大切さを理解できる
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14週 |
Ⅶ身体の比喩と文化 |
身体と言語 白い仮面 オリエンタリズムなどについて理解し、国際協力の課題について理解できる。
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15週 |
Ⅸ身体と自他の区別 まとめ |
ヴェール スカーフ事件 移民などについて理解し、身体を中心に社会と個人の関係について考察できる
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 地歴 | 文化の多様性を認識し、互いの文化を尊重することの大切さを理解できる。 | 4 | 前9,前10,前13,前14,前15,後9,後10,後13,後14,後15 |
公民 | 哲学者の思想に触れ、人間とはどのような存在と考えられてきたかについて理解できる。 | 4 | 前1,前3,前10,前11,前12,前13,前15,後1,後3,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
諸思想や諸宗教において、自分が人としていかに生きるべきと考えられてきたかについて理解できる。 | 4 | 前6,前11,前12,前13,前14,前15,後5,後11,後12,後15 |
諸思想や諸宗教において、好ましい社会と人間のかかわり方についてどのように考えられてきたかを理解できる。 | 4 | 前4,前5,前9,前11,前12,前13,前14,後4,後6,後9,後11,後12,後13,後14 |
地歴・公民 | 現代科学の考え方や科学技術の特質、科学技術が社会や自然環境に与える影響について理解できる。 | 4 | 前7,前8,前11,前12,前13,前14,後7,後8,後11,後12,後13,後14 |
社会や自然環境に調和し、人類にとって必要な科学技術のあり方についての様々な考え方について理解できる。 | 4 | 前7,前11,前12,後7,後11,後12 |
国際平和・国際協力の推進、地球的諸課題の解決に向けた現在までの取り組みついて理解できる。 | 4 | 前1,前2,前9,前13,前14,前15,後1,後2,後9,後13,後14,後15 |