熱力学

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 熱力学
科目番号 2018-41 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 工業熱力学,丸茂榮佑,木本恭司著,コロナ社
担当教員 新冨 雅仁

到達目標


1. 温度と熱、圧力と仕事について理解し、計算ができる。
2. 熱力学の第一法則を理解し、熱量、仕事、内部エネルギー、エンタルピーなどの計算ができる。
3. 完全ガスの性質や状態変化を理解し、熱量、仕事などの計算ができる。
4. カルノーサイクルの特性を理解し、効率などの計算ができる。
5. 熱力学の第二法則やエントロピーについて理解し、完全ガスなどのエントロピー変化が計算できる。
6. 各種ガスサイクルについて理解し、効率などの計算ができる。
7. 蒸気の性質を理解し、蒸気表や蒸気線図を用いて各種計算ができる。
8. 蒸気サイクルについて理解し、効率などの計算ができる。
9. 空気調和の手法を理解し、空気線図を用いて湿度などの値を読み取ることができる。
10. 環境エネルギー工学、新機能材料工学、医療福祉機器開発工学等の分野において熱力学が係わる事象を説明できる。(B1-3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.温度と熱、圧力と仕事について理解し、計算ができる。 □温度と熱、圧力と仕事を理解し、熱量、仕事などをほぼ正しく計算できる。 □温度と熱、圧力と仕事を理解し、大きな誤りなく計算できる。□温度と熱、圧力と仕事を理解しておらず、計算ができない。
2.熱力学の第一法則を理解し、熱量、仕事、内部エネルギー、エンタルピーなどの計算ができる。□熱力学の第一法則を理解し、熱量、仕事、内部エネルギー、エンタルピーなどをほぼ正しく計算ができる。□熱力学の第一法則を理解し、熱量、仕事、内部エネルギー、エンタルピーなどを大きな誤りなく計算ができる。□熱力学の第一法則を理解しておらす、熱量、仕事、内部エネルギー、エンタルピーなどの計算ができない。
3.完全ガスの性質や状態変化を理解し、熱量、仕事などの計算ができる。□完全ガスの性質や状態変化を理解し、熱量、仕事などをほぼ正しく計算できる。□完全ガスの性質や状態変化を理解し、熱量、仕事などを大きな誤りなく計算できる。□完全ガスの性質や状態変化を理解しておらず、熱量、仕事などの計算ができない。
4.カルノーサイクルの特性を理解し、効率などの計算ができる。□カルノーサイクルの特性を理解し、効率などをほぼ正しく計算できる。□カルノーサイクルの特性を理解し、効率などを大きな誤りなく計算できる。□カルノーサイクルの特性を理解しておらず、効率などの計算ができない。
5.エントロピーについて理解し、完全ガスのエントロピー変化が計算できる。□エントロピーについて理解し、完全ガスのエントロピー変化をほぼ正しく計算できる。□エントロピーについて理解し、完全ガスのエントロピー変化を大きな誤りなく計算できる。□エントロピーについて理解しておらず、完全ガスのエントロピー変化が計算できない。
6.各種ガスサイクルについて理解し、効率などの計算ができる。□各種ガスサイクルについて理解し、効率などをほぼ正しく計算できる。□各種ガスサイクルについて理解し、効率などを大きな誤りなく計算できる。□各種ガスサイクルについて理解しておらず、効率などの計算ができない。
7.蒸気の性質を理解し、蒸気表や蒸気線図を用いて各種計算ができる。□蒸気の性質を理解し、蒸気表や蒸気線図を用いてほぼ正しく各種の計算ができる。□蒸気の性質を理解し、蒸気表や蒸気線図を用いて大きな誤りなく各種の計算ができる。□蒸気の性質を理解しておらず、蒸気表や蒸気線図を用いての各種計算ができない。
8.蒸気サイクルについて理解し、効率などの計算ができる。□蒸気サイクルについて理解し、効率などをほぼ正しく計算できる。□蒸気サイクルについて理解し、効率などを大きな誤りなく計算できる。□蒸気サイクルについて理解しておらず、効率などの計算ができない。
9.空気調和の手法を理解し、空気線図を用いて湿度などの値を読み取ることができる。□空気調和の手法を理解し、空気線図を用いて湿度などの値をほぼ正しく読み取ることができる。□空気調和の手法を理解し、空気線図を用いて湿度などの値を大きな誤りなく読み取ることができる。□空気調和の手法を理解しておらず、空気線図を用いて湿度などの値を読み取ることができない。
10.環境エネルギー工学、新機能材料工学、医療福祉機器開発工学等の分野において熱力学が係わる事象を説明できる。(B1-3)□環境エネルギー工学、新機能材料工学、医療福祉機器開発工学等の分野において熱力学が係わる事象を具体的かつ詳細に説明できる。□環境エネルギー工学、新機能材料工学、医療福祉機器開発工学等の分野において熱力学が係わる事象を説明できる。□環境エネルギー工学、新機能材料工学、医療福祉機器開発工学等の分野において熱力学が係わる事象を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (B1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (B1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:

熱力学は、熱の授受によって引き起こされる物質の諸変化を考える学問である。18世紀後半の産業革命以降後,各種熱機関が考案され、現在、これらの熱機関が我々の生活を支えている。一方で、熱機関を動作させるために我々は大量の化石燃料を消費しており、地球温暖化に代表される種々の環境問題を引き起こしている。これらの問題を解決する環境負荷の少ないシステムを開発するには、熱力学を学ぶことが必要不可欠である。

本講義では、工学や工業への応用に主眼を置くこととし、エネルギー保存則(熱力学の第一法則)およびエネルギーの価値、変化の方向性(熱力学の第二法則)を学んだ後、各種熱機関の原理と実際について学ぶ。
授業の進め方・方法:

授業は講義を中心に、演習を混ぜつつ行う。
適宜レポート課題を課すので、期限を守って提出すること。
注意点:

1.試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。
2.4回の試験を70%、課題レポートを30%の重みとして評価する。
授業目標10(B1-3)が標準基準(6割)以上で、かつ科目全体で60点以上の場合に合格とする。
評価基準については、成績評価基準表による。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、背景 熱力学を学ぶ必要性や背景を理解できる。
2週 温度と熱 温度や温度目盛について説明できる。
比熱や熱容量を理解し、熱量の計算ができる。
3週 圧力と仕事 ゲージ圧と絶対圧を理解し、換算ができる。
仕事の定義について説明できる。
4週 熱力学の第一法則 (1) 閉じた系のエネルギー式、内部エネルギーを理解し、仕事量などの計算ができる。
5週 熱力学の第一法則 (2) 開いた系のエネルギー式、エンタルピーを理解し、仕事量などの計算ができる。
6週 完全ガス (1) 完全ガスの状態方程式ならびに比熱について説明できる。
7週 完全ガス (2) 完全ガスの分子運動論について説明できる。
8週 完全ガスの状態変化 (1) 等温変化、等容変化、等圧変化を理解し、熱量や仕事量などの計算ができる。
2ndQ
9週 完全ガスの状態変化 (2) 断熱変化、ポリとロープ化を理解し、熱量や仕事量などの計算ができる。
10週 サイクルと熱機関および冷凍機 熱機関の熱効率、冷凍機の成績係数について説明できる。
11週 熱力学の第二法則 熱力学の第二法則と可逆変化・不可逆変化について説明できる。
12週 カルノーサイクル(1) カルノーサイクルの熱効率を計算できる。
13週 カルノーサイクル(2) 熱力学的温度目盛について説明できる。
14週 エントロピー(1) クラウジウスの積分、エントロピーの定義、エントロピー生成について説明できる。
15週 エントロピー(2) 完全ガスのエントロピー変化を計算できる。
サイクルをT-s線図上に描くことができる。
16週
後期
3rdQ
1週 ガスサイクルの基礎 空気標準サイクルを理解し、実サイクルとの違いを説明できる。
2週 ガスサイクル(1) オットーサイクルの熱効率などを計算できる。
3週 ガスサイクル(2) ディーゼルサイクル、サバテサイクルの熱効率などを計算できる。
4週 ガスサイクル(3) ブレイトンサイクルの熱効率などを計算できる。
5週 ガスサイクル(4) スターリングサイクルの熱効率などを計算できる。
6週 蒸気の性質 蒸気の性質を理解し、比容積や比エンタルピーなどを計算することができる。
7週 蒸気表と蒸気線図 蒸気表と蒸気線図を用いて蒸気の状態量を求めることができる。
8週 蒸気の状態変化 蒸気の状態変化に伴う熱量や仕事量などを計算できる。
4thQ
9週 蒸気サイクル(1) ランキンサイクルの熱効率などを計算できる。
10週 蒸気サイクル(2) 再熱サイクルの熱効率などを計算できる。
11週 蒸気サイクル(3) 再生サイクル、複合サイクルの熱効率などを計算できる。
12週 冷凍サイクル(1) 蒸気圧縮式冷凍サイクルの成績係数などを計算できる。
13週 冷凍サイクル(2) 吸収式冷凍サイクルについて説明できる。
14週 空気調和(1) 湿り空気の性質を理解し、湿度などを計算できる。
15週 空気調和(2) 湿り空気線図を用いて調湿時などの状態変化について説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。2
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。2
物体に作用する力を図示することができる。2
力の合成と分解をすることができる。2
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。2
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。2
慣性の法則について説明できる。2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。2
運動の法則について説明できる。2
運動方程式を用いた計算ができる。2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。2
最大摩擦力に関する計算ができる。2
動摩擦力に関する計算ができる。2
仕事と仕事率に関する計算ができる。2
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。2
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。2
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。2
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。2
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。2
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。2
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。2
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。2
気体の内部エネルギーについて説明できる。2
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。2
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。2
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。2
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。2
横波と縦波の違いについて説明できる。2
波の重ね合わせの原理について説明できる。2
波の独立性について説明できる。2
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。2
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。2
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。2
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。2
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。2
クーロンの法則が説明できる。2
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。2
電場・電位について説明できる。2
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。2
安全を確保して、実験を行うことができる。2
実験報告書を決められた形式で作成できる。2
有効数字を考慮して、データを集計することができる。2
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。2
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。2
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。2
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。2
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。2

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力7020000090
分野横断的能力010000010