半導体工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 半導体工学Ⅰ
科目番号 0040 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 「改訂半導体素」 著者:石田 哲郎,清水 東  出版社:コロナ社
担当教員 奥 高洋

到達目標

半導体や半導体デバイスの基本的事項を習得することを目標とする.電子や原子等の基本的性質を理解し,金属や半導体の物性の理解に役立てるとともに,半導体の基本的性質を理解し,pn 接合の特性やトランジスタの動作原理等を説明できることを目指す.具体的には,以下に掲げる5つを目標とする.
1.電子の性質に関する各種物理量やエレクトロンボルト等の定義を説明でき,単位換算等の計算ができる.
2.パウリの排他律を理解した上での原子の電子配置やボーアモデルに基づく原子構造を説明できる.
3.固体構造等に関して,結晶やエネルギーバンドの形成を説明できる.半導体においては,フェルミ・ディラック分布と状態密度に基づいてキャリア密度を算出することができる.
4.真性半導体と不純物半導体をエネルギーバンド図で説明でき,半導体中のキャリアの振舞に関する特徴的なパラメータについて算出できる.
5.pn接合ダイオード(半導体デバイス)の構造を理解し,その動作原理をエネルギーバンド図を用いて説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電子の性質に関して,エネルギーを波長や温度等に換算できる.電子の性質に関する各種物理量やエレクトロンボルトの定義等を説明できる.電子の性質に関する各種物理量やエレクトロンボルトの定義等を説明できない.
評価項目2ボーアモデルを理解し,原子構造における量子的なエネルギーや軌道半径等を求めることができる.パウリの排他律 及び 4つの量子数を理解し,原子の電子配置を説明できる.原子の電子配置を説明できない.
評価項目3フェルミ・ディラック分布と状態密度に基づいて,半導体のキャリア密度等を算出することができる.結晶やエネルギーバンドの形成を説明できる.結晶やエネルギーバンドの形成を説明できない.
評価項目4少数キャリア注入時におけるキャリアの振舞(少数キャリア連続の式)について理解し,注入キャリアの平均寿命や拡散距離等を算出できる.真性半導体と不純物半導体をエネルギーバンド図で説明でき,移動度やドリフト速度等を算出できる.真性半導体と不純物半導体をエネルギーバンド図で説明できず,移動度等についても算出できない.
評価項目5pn接合ダイオードにおける内蔵電界の形成過程を理解し,拡散電位を算出できる.pn接合ダイオード(バイアスなし時)をエネルギーバンド図で説明できる.pn接合ダイオードをエネルギーバンド図で説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
低学年次の電子基礎系科目での履修内容についての理解を,バンド図や数式を用いて深く掘り下げる.
授業の進め方・方法:
講義形式を基本とする.常に結晶内の電子のエネルギー状態を念頭において電子の振る舞いをイメージ的に掴み,電子の性質,原子や固体の構造,金属や半導体ならびに半導体デバイスを理解する.
注意点:
授業項目についての予習・復習はもちろん,レポート等の課題に取り組むなどして,毎回60分以上の自学自習必要である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子の性質 電子の電荷量や質量,エレクトロンボルトの定義等を説明でき,単位換算等の計算ができる.
2週 原子の構造① 原子の構造を説明できる.
3週 原子の構造② パウリの排他律を理解し,原子の電子配置を説明できる.
4週 原子の構造③ パウリの排他律を理解し,原子の電子配置を説明できる.
5週 固体の構造と,金属と半導体の違い① 結晶やエネルギーバンドの形成を説明できる.
金属と絶縁体の違いを,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
6週 固体の構造と,金属と半導体の違い② フェルミ・ディラック分布と状態密度を理解し,キャリア密度等を算出することができる.
7週 固体の構造と,金属と半導体の違い③ フェルミ・ディラック分布と状態密度を理解し,キャリア密度等を算出することができる.
8週 半導体① 真性半導体と不純物半導体を理解し,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
2ndQ
9週 半導体② 真性半導体と不純物半導体を理解し,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
10週 半導体③ 半導体中のキャリアの振舞について,ドリフト(移動度等)や拡散(平均寿命,拡散距離等),再結合について説明できる.
11週 半導体④ 半導体中のキャリアの振舞について,ドリフト(移動度等)や拡散(平均寿命,拡散距離等),再結合について説明できる.
12週 半導体⑤ 半導体中のキャリアの振舞について,ドリフト(移動度等)や拡散(平均寿命,拡散距離等),再結合について説明できる.
13週 pn接合ダイオード(半導体デバイス)① pn接合の構造を理解し,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
14週 pn接合ダイオード(半導体デバイス)② pn接合の構造を理解し,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
15週 試験答案の返却・解説 試験において間違った部分を自分の課題として把握する(非評価項目).
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
波の独立性について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3
ホイヘンスの原理について説明できる。3
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
クーロンの法則が説明できる。3
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3
電場・電位について説明できる。3
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3
ジュール熱や電力を求めることができる。3
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3
安全を確保して、実験を行うことができる。3
実験報告書を決められた形式で作成できる。3
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3
化学(一般)化学(一般)物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3
水の状態変化が説明できる。3
物質の三態とその状態変化を説明できる。3
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。3
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3

評価割合

試験レポート / 演習等合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000