応用化学・生物実験Ⅰ

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 応用化学・生物実験Ⅰ
科目番号 0007 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 創造工学科(応用化学・生物系共通科目) 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 教科書:自作プリント,津波古充朝他著「わかりやすい化学実験-基本操作とチェックポイント-」廣川書店/参考書:化学同人編集部編「正・続 実験を安全に行うために」化学同人,泉他監修「化学のレポートと論文の書き方」化学同人,高木誠司著「定性分析化学(中巻)」南江堂,松浦他著「無機半微量分析~第2版~」東京化学同人,林・段共著「基礎分析化学実験」共立出版
担当教員 大島 和浩,奥田 弥生,甲野 裕之,佐藤 森,橋本 久穂,平野 博人,古崎 毅,長尾 昌紀

到達目標

1.硫化水素発生装置を正しく使用してガスを発生させることができる。
2.第1属陽イオンおよび第2属A類陽イオンと各種試薬との反応性の違いによって分離・検出することができる。
3.実験書記載の手順や指導者の指示に従って重量分析及び容量分析を正確かつ安全に行うことができる。
4.試料の種類や実験操作の目的に合う器具・装置を適切に選択し,それらを正しく用いて実験を遂行し,正確な実験結果を得ることができる。
5.得られた測定値を理論に従って解析し,結果を表やグラフにまとめ,適切な日本語で説明することができる。
6.使用する化学薬品の物性,危険性を理解して正しく取り扱うことができる。
7.
7.蒸留,濾過,再結晶など有機合成に必要な基本操作の方法を理解し,遂行することができる。
8.沸点測定,融点測定及び薄層クロマトグラフィー分析による試料同定の考え方を理解し,これを実践できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1硫化水素発生装置を正しく使用してガスを発生させることができる。硫化水素発生装置を正しく使用してガスを発生させることが概ねできる。硫化水素発生装置を正しく使用してガスを発生させることができない。
評価項目2第1属陽イオンおよび第2属A類陽イオンと各種試薬との反応性の違いによって分離・検出することができる。第1属陽イオンおよび第2属A類陽イオンと各種試薬との反応性の違いによって分離・検出することが概ねできる。第1属陽イオンおよび第2属A類陽イオンと各種試薬との反応性の違いによって分離・検出することができない。
評価項目3実験書記載の手順や指導者の指示に従って重量分析及び容量分析を正確かつ安全に行うことができる。実験書記載の手順や指導者の指示に従って重量分析及び容量分析を正確かつ安全に行うことが概ねできる。実験書記載の手順や指導者の指示に従って重量分析及び容量分析を正確かつ安全に行うことができない。
評価項目4試料の種類や実験操作の目的に合う器具・装置を適切に選択し,それらを正しく用いて実験を遂行し,正確な実験結果を得ることができる。試料の種類や実験操作の目的に合う器具・装置を適切に選択し,それらを正しく用いて実験を遂行し,正確な実験結果を得ることが概ねできる。試料の種類や実験操作の目的に合う器具・装置を適切に選択し,それらを正しく用いて実験を遂行し,正確な実験結果を得ることができない。
評価項目5得られた測定値を理論に従って解析し,結果を表やグラフにまとめ,適切な日本語で説明することができる。得られた測定値を理論に従って解析し,結果を表やグラフにまとめ,適切な日本語で説明することが概ねできる。得られた測定値を理論に従って解析し,結果を表やグラフにまとめ,適切な日本語で説明することができない。
評価項目6使用する化学薬品の物性,危険性を理解して正しく取り扱うことができる。使用する化学薬品の物性,危険性を理解して正しく取り扱うことが概ねできる。使用する化学薬品の物性,危険性を理解して正しく取り扱うことができない。
評価項目7蒸留,濾過,再結晶など有機合成に必要な基本操作の方法を理解し,遂行することができる。蒸留,濾過,再結晶など有機合成に必要な基本操作の方法を理解し,遂行することが概ねできる。蒸留,濾過,再結晶など有機合成に必要な基本操作の方法を理解し,遂行することができる。

学科の到達目標項目との関係

Ⅰ 人間性
Ⅱ 実践性
Ⅲ 国際性
CP2 各系の工学的専門基盤知識,および実験・実習および演習・実技を通してその知識を社会実装に応用・実践できる力
CP4 他者を理解・尊重し,協働できるコミュニケーション能力と人間力

教育方法等

概要:
分析実験及び有機実験を遂行するための基本的な方法を習得し,実験結果をレポートとして適切にまとめる能力を養成する。
授業の進め方・方法:
1/4~2/4期で分析化学(定性分析),3/4期で分析化学(定量分析),4/4期で有機化学に関する基礎的な実験を行う。 実験に関わる理論等は実験の始めに解説する他,関連科目でも学習するでの,内容の十分な理解のためには,予習・復習が肝要である。正確かつ安全に実験を進めるために,使用する薬品の物性を実験開始前に十分に理解していなければならない。 実験姿勢及び実験操作方法の修得度は実験中に各担当教員が,実験の理論と得られた結果の解釈は提出されるレポートの内容からそれぞれ100点法にて採点評価する。成績評価はレポート評価(ノート評価を含む場合がある)70%,実技評価30%として行う。合格点は60点である。ただし,正当な理由なくレポートが提出されない場合には成績評価を60点未満とする。また,他者のレポートを写したものは評価しない。
注意点:
実験室では,安全確保のため白衣と(保護)メガネを必ず着用すること。また,サンダル・スカート・半ズボンなどは危険なので,実験の際は着用してはならない。実験中は携帯電話の使用を禁止する。実験書・ノート(ルーズリーフ不可)は毎回持参すること。実験内容に応じて,電卓・定規・グラフ用紙を各自用意すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・ガスバーナーの取扱い ガスバーナーを正しく取扱うことができる。
2週 硫化水素ガスの発生 硫化水素発生装置を正しく使用して硫化水素ガスを発生させることができる。
3週 硫化物法による陽イオンの分属1 硫化水素法を用いて,陽イオンを第1属から第6属までグループ分けできる。
4週 硫化物法による陽イオンの分属2 同上
5週 第1属陽イオンの各個反応1 第1属陽イオンと各試薬との反応性の違いにより,分離・検出できる。
6週 第1属陽イオンの各個反応2 同上
7週 第1属陽イオンの系統反応1 同上
8週 第1属陽イオンの系統反応2 同上
2ndQ
9週 第2属A類陽イオンの各個反応1 第1属A類陽イオンと各試薬との反応性の違いによって分離・検出できる。
10週 第2属A類陽イオンの各個反応2 同上
11週 未知イオンの検出 第1属陽イオンおよび第2属A類陽イオンと各試薬との反応性の違いによって分離・検出できる。
12週 容量分析法の基礎 実験書記載の手順や指導者の指示に従って重量分析及び容量分析を正確かつ安全に行うことができる。
13週 混合塩基溶液の逐次滴定1
試料の種類や実験操作の目的に合う器具・装置を適切に選択し,それらを正しく用いて実験を遂行し,正確な実験結果を得ることができる。
14週 混合塩基溶液の逐次滴定2 同上
15週 レポート作成指導 得られた測定値を理論に従って解析し,結果を表やグラフにまとめ,適切な日本語で説明することができる。
16週
後期
3rdQ
1週 さらし粉中の有効塩素の定量1 試料の種類や実験操作の目的に合う器具・装置を適切に選択し,それらを正しく用いて実験を遂行し,正確な実験結果を得ることができる。
2週 さらし粉中の有効塩素の定量2 実験書記載の手順や指導者の指示に従って重量分析及び容量分析を正確かつ安全に行うことができる。
試料の種類や実験操作の目的に合う器具・装置を適切に選択し,それらを正しく用いて実験を遂行し,正確な実験結果を得ることができる。
得られた測定値を理論に従って解析し,結果を表やグラフにまとめ,適切な日本語で説明することができる。
3週 銀滴定による海水・温泉水中の塩化物イオンの定量1 同上
4週 銀滴定による海水・温泉水中の塩化物イオンの定量2 同上
5週 キレート滴定法による河川水の硬度測定 同上
6週 ルツボの恒量 同上
7週 硫酸根の重量分析 同上
8週 レポート作成指導 得られた測定値を理論に従って解析し,結果を表やグラフにまとめ,適切な日本語で説明することができる。
4thQ
9週 p-Red合成の実験理論の説明 使用する化学薬品の物性,危険性を理解して正しく取り扱うことができる。
蒸留・濾過・再結晶など有機合成に必要な基本操作の方法を理解し,遂行することができる。
10週 アニリンの蒸留とアセトアニリドの合成 同上
11週 基礎同定操作1
沸点測定,融点測定および薄層クロマトグラフィー分析による試料同定の考え方を理解し,これを実践できる。
12週 アセトアニリドのニトロ化 使用する化学薬品の物性,危険性を理解して正しく取り扱うことができる。
蒸留・濾過・再結晶など有機合成に必要な基本操作の方法を理解し,遂行することができる。
13週 異性体分離 同上
14週 基礎同定操作2 沸点測定,融点測定および薄層クロマトグラフィー分析による試料同定の考え方を理解し,これを実践できる。
15週 p-Redの合成 使用する化学薬品の物性,危険性を理解して正しく取り扱うことができる。
蒸留・濾過・再結晶など有機合成に必要な基本操作の方法を理解し,遂行することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前1,前2,後1,後8
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前1,前2,後1,後8
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前1,前2,後1,後8
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前1,前2,後1,後8
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前1,前2,後1,後8
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前1,前2,後1,後8
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前1,前2,後1,後8
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前1,前2,後1,後8
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3前1,前2,後1,後8
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3前1,前2,後1,後8
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前1,前2,後1,後8
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4後9,後12
蒸留による精製ができる。4後9,後10
吸引ろ過ができる。4後9,後10,後15
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4後11,後13,後14
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4後11,後12,後13,後14
収率の計算ができる。4後10,後12
分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4前12,前13,前14
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。4後1,後2
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4後5
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前14
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4前13,前15,後1,後2,後8

評価割合

レポート実技評価合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100
専門的能力000