概要:
本科目は、本校教育目標の「基礎力」を養う科目である。インターネットに代表されるコンピュータネットワークに関する基礎知識を習得するものである。今日、コンピュータや携帯電話のみならず、温度センサのような単純な計測センサもセンサデバイスとしてネットワークに接続されている。また、工場で使われるロボットアームや倉庫で運用されている搬送用協調ロボット等の機械系システムもネットワークに接続され運用されており、コンピュータネットワークに関する知識は電子制御工学を修める者にとって必須の知識となっている。本科目では、具体的にはネットワークトポロジー、伝送路の特性、プロトコル、通信方式、物理層とデータリンク層の標準化、LAN、最終的にはインターネットを支えるTCP/IPを理解することをねらいとする。また、ネットワークの構成と利用に必要とされるセキュリティ技術についても理解する。また、情報処理技術者試験の受験のために必要となる知識の習得も目指す。
授業の進め方・方法:
(1) 座学を中心に、必要に応じて小テスト・演習および課題(レポート)を実施する。講義中に課す課題は、講義で学んだ内容に関して理解を確認し、演習する機会であるため、必ず問題を解き、提出すること。
(2) 本科目は学修単位であるので、次のような自学自習を30時間以上行うこと。
(a) 講義受講の準備のために予習や、理解の確認のために復習する。
(b) 課題(レポート)の作成を行う。
(c) 演習問題の解答作成を行う。
(d) 定期試験の準備をする。
(3) 前期半ばには、コンピュータネットワークの理解を深めると同時にプレゼンテーションの練習を兼ねて、市販されている機器の通信方式等に関して班別にテーマを設定し、調査・報告会を行う。
(4) 試験は、前期中間、前期々末、後期中間、学年末の4回実施する。積極的に授業に参加することが肝要である。
(5) 講義の内容に関して質問等がある場合は、合同教員室の徳光のところまで質問に来ること。
(6) 本科目に関する諸連絡、課題、補足資料等についてMoodleに掲載するので、必要に応じて参照すること。
(7) 毎週の演習課題ではレポート用紙に解答を記入するため、A4レポート用紙を持参すること。
注意点:
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンスとコンピュータネットワークの概要 |
ネットワークの役割、機能を説明できる。
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2週 |
ネットワークトポロジー |
インターネット、LANの大局的/局所的なネットワーク構造を説明できる。
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3週 |
データ伝送技術 ISOのOSI基本参照モデル |
プロトコルの階層化、階層ごとの役割を説明できる。
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4週 |
データ伝送技術 サービスアーキテクチャ |
データ伝送の概念と機能を説明できる。
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5週 |
データ伝送技術 優先制御 輻輳制御 順序制御 誤り制御 フロー制御 |
データ伝送の概念と機能を説明できる。
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6週 |
伝送線路の特性 同軸ケーブル 光ファイバ 無線通信 |
代表的な伝送線路の特徴を説明できる。
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7週 |
データ伝送技術に関する実習 |
用途に応じた伝送線路を選び、その理由を説明できる。
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8週 |
前期中間試験 |
プロトコル、伝送線路、デー伝送技術に関する理解度の評価をする。
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2ndQ |
9週 |
試験返却と講評 物理層の技術 アナログデータとディジタルデータの伝送 |
物理層の役割、機能を説明できる。
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10週 |
物理層の技術 各種変調方式 |
各種の変調方式を説明できる。
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11週 |
物理層の技術 ベースバンド方式と帯域伝送方式 |
デジタル信号を伝送するためのベースバンド方式、帯域伝送方式の違いを説明できる。
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12週 |
データリンク層の技術 誤り検出方法 CRC符号 誤り検出方法 水平・垂直パリティ |
データの誤りの検出、訂正の技法の概念を理解し、説明できる。
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13週 |
データリンク層の技術 データリンクプロトコル |
データリンク層のプロトコルの役割、機能を説明できる。
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14週 |
データリンク層の技術 データリンクプロトコルの実際 |
実際のデータリンク層のプロトコルの例を理解し、説明できる。
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15週 |
グループ調査・発表会 |
実際の製品に使われている各種変調方式を調べ、説明できる。
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16週 |
前期期末試験 |
物理層、データリンク層に関する技術に関して理解度を評価する。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
試験返却と講評 LANの技術(イーサネット) |
LAN技術の概要を説明できる。
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2週 |
ネットワーク層の技術 IP |
IPの役割、プロトコルの詳細を説明できる。
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3週 |
ネットワーク層の技術 ARP DHCP ICMP |
ネットワーク層に使われる各種プロトコルの必要性と役割を説明できる。
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4週 |
ネットワーク層の技術 ルーティング |
ルーティングの必要性と考え方を説明できる。
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5週 |
トランスポート層の技術 TCPとUDP |
TCPとUDPの機能、役割を説明できる。
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6週 |
トランスポート層の技術 輻輳制御 |
データ伝送における輻輳制御について説明できる。
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7週 |
TCP/IPに関する実習 |
TCP/IPに関する実際の操作と設定ができる。
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8週 |
後期中間試験 |
データリンク層、ネットワーク層に関する理解を評価する。
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4thQ |
9週 |
試験返却と講評 アプリケーション層の技術 ドメイン管理 電子メール WWW後期中間試験 |
アプリケーション層のプロトコルの役割、機能と実際のサービスを説明できる。
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10週 |
アプリケーション層の技術 マルチメディア配信 |
マルチメディア配信の技術を説明できる。
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11週 |
ワイヤレスネットワーク |
ワイヤレスネットワークの物理層、データリンク層、セキュリティについて説明できる。
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12週 |
ワイヤレスネットワーク |
ワイヤレスネットワークの物理層、データリンク層、セキュリティについて説明できる。
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13週 |
ネットワークセキュリティ ネットワーク上の脅威とその対策 |
ネットワークを利用、構築するために必要なネットワーク上の脅威と対策技術について説明できる。
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14週 |
ネットワークセキュリティ 暗号方式、認証とディジタル署名 |
ネットワークを利用、構築するために必要なネットワーク上の脅威と対策技術について説明できる。
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15週 |
ネットワークセキュリティに関する実習 |
ネットワークを利用、構築するために必要なネットワーク上の脅威と対策技術について実習する。
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16週 |
学年末試験 |
ネットワーク層、トランスポート層、アプリケーション層のプロトコル、実際のサービス、ネットワークセキュリティ、ワイヤレスネットワークの理解を評価する。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | 情報通信ネットワーク | プロトコルの概念を説明できる。 | 3 | 前3,前4,前5,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15 |
プロトコルの階層化の概念や利点を説明できる。 | 3 | 前3,前4,前5,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後11,後12 |
ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。 | 3 | 前1,前2,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後11,後13 |
インターネットの概念を説明できる。 | 3 | 前1,前2,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後12,後13 |
TCP/IPの4階層について、各層の役割を説明でき、各層に関係する具体的かつ標準的な規約や技術を説明できる。 | 3 | 前5,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10 |
主要なサーバの構築方法を説明できる。 | 2 | 後2,後3 |
情報通信ネットワークを利用したアプリケーションの作成方法を説明できる。 | 2 | 後3,後5,後6 |
ネットワークを構成するコンポーネントの基本的な設定内容について説明できる。 | 2 | 後5,後9,後10 |
無線通信の仕組みと規格について説明できる。 | 3 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後11,後12 |
有線通信の仕組みと規格について説明できる。 | 3 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15 |
SSH等のリモートアクセスの接続形態と仕組みについて説明できる。 | 2 | 後13,後14,後15 |
基本的なルーティング技術について説明できる。 | 2 | |
基本的なフィルタリング技術について説明できる。 | 2 | 後13,後14,後15 |