到達目標
1.複素関数に関する基本的事項を理解し,それらの値を計算できる.
2.複素関数の微分の概念を理解し,関数の微分を計算できる.
3.複素関数の積分を理解し,曲線に応じた方法で積分値を計算できる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 主値の概念まで含めた関数の理解ができる. | 複素関数に関する基本的事項を理解し,それらの値が計算できる. | 複素関数の値が計算できない. |
評価項目2 | コーシー・リーマンの定理を用い,正則関数の判定を行うことができる. | 複素関数の微分の概念を理解し,正則関数の微分が計算できる. | 正則関数の微分が計算できない. |
評価項目3 | 単純閉曲線内部に高位特異点が複数存在するときの複素積分を留数定理を用いて計算できる. | 複素関数の積分を理解し,曲線に応じた方法で積分値が計算できる. | 複素関数の積分を理解し,曲線に応じた方法で積分値が計算できない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
この科目の内容は,まず,4年次の複素平面の事項(n乗根等)を復習した後,複素数の関数を導入し,基本的な関数(指数関数・対数関数・三角関数等)についてその計算練習を行います.次に,それらの関数の複素数の意味での微分・積分を学び,とくに,複素数の意味で微分できる関数(正則関数)について,それらが持っている性質を詳しく見て行きます.そして最後に,「ほぼ正則な関数の複素積分が(積分の計算ではなく)微分の計算によって求められる」という「留数定理」を学び,それを実数の関数の積分の計算にも応用します.
4学年までの数学の中の解析学関係で,関数について様々なことを学んできました.とくに,微分積分とその応用は,工学の専門科目へ応用されることが多かったと思います.しかし,そこで学んだ関数は全て実数の関数でした.ここでは,複素数の関数について,微分積分等を学ぶことになります.
さて,実数より複雑な複素数で微分積分等を考えることは,実数の場合より難しくなりそうな気がしますが,不思議なことに,複素数で考えた方が簡単になる事項もあります.また,実数の範囲では計算できないような積分が,至極簡単に計算できる定理もあります.これは,「 狭い視野で見ていたときは煩雑に見えていた物事が,広い視野で見ると,すっきり見える場合がある」という状況に似ています.
そこで,この複素関数論では,次の1),2),3)に重点を置いて,授業を行って行きます.
1)今まで実数の関数で 学んできた事項を再確認し,知識・実力の定着を図ること.
2)今まで 実数の関数で 学んできた事項が複素数の関数になると,どのように変わり,どのような新しいことが成り立つのかを理解すること.
3)物事を,狭い視野から広い視野で見てみるという姿勢を培うこと.
授業の進め方・方法:
講義形式,グループワーク等による授業および問題演習.内容の理解と定着をはかるため,講義内容に沿ったレポートを提出してもらいます.
注意点:
有明高専の数学第1~3巻までの内容を理解している必要があります.
成績評価のために,2回の定期試験を行います.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
授業の概要説明 複素数 |
複素数に関する記号を理解し,複素数の計算が確実にできる.
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2週 |
n乗,n乗根 |
複素数の累乗・n乗根の計算ができる.
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3週 |
複素数の指数関数(e^z)・三角関数 |
複素数の指数関数(e^z)・三角関数の定義を理解し,値の計算ができる.またその複素方程式が解ける.
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4週 |
複素数の対数関数・指数関数(a^z) |
複素数の対数関数、指数関数(a^z)の定義を理解し,値の計算ができる.またその複素方程式が解ける.
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5週 |
複素関数の極限 |
複素関数の収束・発散の概念を理解し, 調べることができる.
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6週 |
複素関数,複素微分 |
複素関数,複素微分,正則関数の概念を理解し,複素微分の計算ができる.
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7週 |
コーシー・リーマンの定理 |
正則関数の判定条件を理解し,判定ができる.
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
複素積分 |
複素関数の線績分の概念を理解し,積分の計算が出来る.
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10週 |
コーシーの積分定理,積分公式,積分表示 |
コーシーの諸定理を理解する.
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11週 |
テイラー展開, ローラン展開 |
複素関数のテイラー展開, ローラン展開の概念を理解する.
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12週 |
特異点,留数,留数の計算方法 |
複素関数の特異点・極,留数の概念を理解し,留数の計算ができる.
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13週 |
留数定理 |
留数定理の仕組みを理解し,留数定理を用いた複素積分の計算ができる.
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14週 |
実積分への応用 |
留数定理を応用した実積分の計算ができる.
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
テスト返却と解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。 | 3 | |
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。 | 3 | |
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 0 | 0 | 20 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 20 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |