概要:
高等学校公民科での「倫理」という教科は、その名前に反して、「倫理(≒道徳)」を教えるなどという大仰な教科では一切ありません。むしろ、大学であれば「哲学(史)」や「思想(史)」といった授業名がつく内容です。人間は、「本能」ともいえる素朴な「一階の欲求」(「ゲームしたい」、「お菓子ばかり食べたい」、「寮で大騒ぎしたい」etc.)だけでなく、それと対立する「頭・思考」、つまりメタ的な「二階の欲求」(「テストが近いからゲームはしない」、「太るのでお菓子は我慢する」、「寮生会に怒られるので部屋で自習しよう」etc.)」を持つことができます(これは、人間が「本能の奴隷」ではなく、「自由」に生きる為の最低条件です)。われわれは普段から、「二階の欲求」を(うまくいけば)複雑に使いこなしたり、(殆どの場合)振り回されたりしていますが、一般に「悩み(事)」と呼ばれるものは、「一階」と「二階の欲求」が対立しているか(上述の例を参照)、あるいは、「二階の欲求」そのものが矛盾や機能不全をおこしてうまく機能していないことに原因があります(具体例を考えてみてください)。「哲学」や「思想」は、言ってしまえば、こういった「一階vs二階」の闘いや、うまく機能しない「二階の欲求」を理論的に解明する営み、学問です(その「解決策」なるものを安易に提供するものではありません)。よって、本授業の目的・到達目標は、「哲学・思想」の歴史を手引きとすることで、実際に、自分の頭で考えて「二階の欲求」(「思考」)ために必要な最低限の知識を獲得し、更に「思考」の訓練をすることにあります。
授業の進め方・方法:
基礎知識に関する講義をおこない、そのうえで、講義内容に基づいたワークや討論をおこなう。
合否判定: 定期試験(前期末試験&後期末試験)(100%) ≧ 60点
合否判定点=最終評価点
不合格者については,再試験・課題学習の評価が60点以上であれば合格とする。
・必要な用具:教科書、資料集およびノートは毎回必ず持ってくること。
・前提となる知識:中学校の社会科の知識
・関連科目:公共A、公共B
注意点:
特になし。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 地理歴史的分野 | 民族、宗教、生活文化の多様性を理解し、異なる文化・社会が共存することの重要性について考察できる。 | 3 | 前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後15 |
公民的分野 | 人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。 | 3 | 前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | 前1,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |