概要:
近年の急激に進歩した技術は、我々の生活の隅々に入り込み個人の能力を飛躍的に増大してくれました。しかしその一方、それらの技術は「ブラックボックス化」し、その真の姿(原理)かが見えにくくなっています。そのため、このような時代・世界において、特に技術者が責任ある行動や決断を行うためには、背景にある科学的原理を理解する事によって、自分自身の理解力、洞察力を高めることが必要になっています。2年次の物理はあらゆる専門科目の基礎であると同時に、科学の基本的方法を学ぶことを目的としています。具体的には
(1)自然の性質(実験事実)を数式によって理解すること:数理的理解、
(2)物理学を理解することで自然界のいろいろな現象を統一的に説明できること:普遍性の理解
です。そのためには、科学の理解とは、単なる問題の解答を見つける能力と異なる事を認識し、疑問を持ち、自ら間違いを訂正する能力を訓練してもらいたいと思います。
授業の進め方・方法:
物理学では、「理解する」ということがどういうことかを理解できないと困ります。したがって授業中にこちらから質問を投げかけますので、それに答えられるように授業の内容を「理解」していくことが重要です。そのため、授業中のノートは短時間でとり、「聞くこと」を要求します。また講義中には、学生の発言に関し配点を与える場合もあります。また、数式をより深く理解するために実験が設定されていますので、しっかりと準備をして集中して取り組んでください。
注意点:
関連科目
物理1、数学
学習指針
進度に合わせ、教科書の問題や問題集を参考書も参考にして自学・自習で解いておくこと。
講義内容は予定であり、学生の理解度を考慮して多少の変更をする可能性があります。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
イントロダクション |
講義方法、授業方法、成績評価方法の説明を理解する。
|
2週 |
力学の復習 |
力の種類など力学の考え方を理解できる。
|
3週 |
熱力学の基礎 |
絶対温度の定義と熱の正体が説明できる。
|
4週 |
同上 |
気体法則の公式の説明とそれを使った計算ができる。
|
5週 |
同上 |
熱と仕事の関係の公式の説明とそれを使った計算ができる。
|
6週 |
同上 |
熱容量と比熱の定義の説明と計算ができる。
|
7週 |
熱力学の原理 |
気体分子運動論の原理と計算について理解できる。
|
8週 |
中間試験 |
問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する。
|
2ndQ |
9週 |
実験 |
比熱の実験を行い、レポートを提出する
|
10週 |
熱力学の原理 |
断熱、定積、定圧、等温の各過程の物理量を計算できる。
|
11週 |
同上 |
熱力学第一、二法則の原理を理解し、その計算ができる。
|
12週 |
剛体の力学 |
力のモーメントの公式の説明とそれを使った計算ができる。
|
13週 |
同上 |
剛体の釣り合いの原理を理解し、その計算ができる。
|
14週 |
流体の力学 |
圧力に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
|
15週 |
同上 |
浮力に関わる公式の説明とそれを使った計算ができる。
|
16週 |
前期末試験 |
問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する。
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
波動現象の基礎 |
直線上の波の考え方を理解し、波の基本公式を使った計算ができる
|
2週 |
同上 |
縦波と横波について理解できグラフの読み取りができる。
|
3週 |
波動と数式 |
正弦波の公式の原理が理解でき、グラフの読み取りや計算ができる。
|
4週 |
同上 |
定常波の原理が理解でき、作図及び関連する計算ができる。
|
5週 |
空間に広がる波 |
回折、干渉、反射の原理と証明を理解し、公式を用いた計算ができる。
|
6週 |
同上 |
屈折の原理と証明を理解し、公式を用いた計算ができる。
|
7週 |
音波 |
音波の基本とうなりについて理解し、その計算ができる。
|
8週 |
中間試験 |
問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する。
|
4thQ |
9週 |
実験 |
気柱共鳴の実験を行い、レポートを提出する
|
10週 |
音波 |
ドップラー効果のついて理解し、その計算ができる。
|
11週 |
光波 |
光波の基本と回折・反射や偏光・分散(分光)について理解する。(屈折の実験)
|
12週 |
同上 |
光の回折・反射や偏光・分散(分光)について理解する。
|
13週 |
同上 |
光の干渉について理解し,その計算ができる。
|
14週 |
電磁気学の基礎 |
静電界、クーロンの法則の計算について理解し,その計算ができる。
|
15週 |
同上 |
ガウスの定理の原理を理解し,応用した計算ができる。
|
16週 |
後期末試験 |
問題を解答することができる。理解が不十分な点を解消する
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 剛体における力のつり合いに関する計算ができる。 | 3 | 前12,前13 |
重心に関する計算ができる。 | 3 | 前13 |
熱 | 原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。 | 3 | 前3,前4,前7 |
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。 | 3 | 前3 |
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。 | 3 | 前6,前9 |
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。 | 3 | 前6,前9 |
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。 | 3 | 前5 |
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。 | 3 | 前4 |
気体の内部エネルギーについて説明できる。 | 3 | 前10 |
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。 | 3 | 前10,前11 |
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。 | 3 | 前5,前11 |
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。 | 3 | 前5,前11 |
熱機関の熱効率に関する計算ができる。 | 3 | 前11 |
波動 | 波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 3 | 後1,後3 |
横波と縦波の違いについて説明できる。 | 3 | 後2 |
波の重ね合わせの原理について説明できる。 | 3 | 後4 |
波の独立性について説明できる。 | 3 | 後4 |
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。 | 3 | 後4 |
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。 | 3 | 後4 |
ホイヘンスの原理について説明できる。 | 3 | 後5 |
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。 | 3 | 後5,後6 |
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。 | 3 | 後4,後7,後9 |
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。 | 3 | 後4,後7,後9 |
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。 | 3 | 後7,後10 |
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。 | 3 | 後10 |
自然光と偏光の違いについて説明できる。 | 3 | 後11 |
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。 | 3 | 後12 |
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。 | 3 | 後11,後13 |
電気 | 導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。 | 3 | 後14 |
クーロンの法則を説明し、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。 | 3 | 後14 |
物理実験 | 物理実験 | 測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。 | 3 | 前9 |
実験報告書を決められた形式で作成できる。 | 3 | 前9 |
有効数字を考慮して、データを集計することができる。 | 3 | 前9 |
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 前9 |
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 後9 |
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | 後11 |
ライフサイエンス/アースサイエンス | ライフサイエンス/アースサイエンス | 太陽系を構成する惑星の中に地球があり、月は地球の衛星であることを説明できる。 | 3 | 前2 |
地球は大気と水で覆われた惑星であることを説明できる。 | 3 | 前14 |
工学基礎 | 技術史 | 技術史 | 歴史の大きな流れの中で、科学技術が社会に与えた影響を理解し、自らの果たしていく役割や責任を理解できる。 | 1 | 前1,前2 |