到達目標
1. 量子論の基礎を理解し,シュレディンガーの波動方程式からエネルギー帯理論を導くことができる.また,半導体における電気伝導機構,少数キャリアに対する連続の方程式,移動度,ならびにアインシュタインの関係式について説明することができる.
2. pn接合のエネルギー準位図と電流-電圧特性,逆方向降伏現象,空乏層容量について説明することができる.また,ヘテロ接合および金属-半導体接触についてエネルギー準位図を用いて説明することができる.接合型トランジスタおよび電界効果型トランジスタの動作原理と電流-電圧特性などについて説明することができる.
3. 半導体の光学的性質とフォトダイオードや太陽電池,LED,レーザなどの光デバイスの動作原理について説明することができる.また,半導体の熱電的性質や磁電効果などについて説明することができる.さらに,集積回路の基本的な製作プロセスについて説明することができる.
4. MOSFETの基本構造と動作原理を理解し,電流-電圧特性を説明することができる.また,集積回路に用いられる基本的なMOSFET増幅回路について,小信号等価回路を用いて電圧増幅度などの電気的特性や高周波特性を求めることができる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | | | |
評価項目2 | | | |
評価項目3 | | | |
学科の到達目標項目との関係
準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2)
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JABEE基準 (d-1)
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JABEE基準 (d-2a)
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システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-2
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システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1
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教育方法等
概要:
本講義では,まず,半導体の物性を理解する上で必要な量子論の基礎について解説を行う.その後,半導体の電導機構,pn接合,金属-半導体接触などについて解説した後,各種ダイオードデバイスとトランジスタについて解説する.また,半導体の光学的性質や熱電的性質等について説明し,それを応用したデバイスについても解説する.さらに,現在のエレクトロニクス機器の核をなす集積回路の基本素子であるMOSFETに焦点をあて,その動作原理と製造工程,基本的なMOSFET増幅回路について解説する.
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である.講義の節目には演習課題に取り組み,各自の理解度を確認する.
注意点:
関連科目: 電子工学,電気電子材料,電磁気学,微分積分,応用数学,応用物理,アナログ回路
学習指針: 数学的な取り扱いが多いが,半導体中の電子や正孔の振る舞いを物理的な知識に基づいてイメージできるまで理解を深めることが大切である.
自己学習: 到達目標を達成するためには,講義内容の予習・復習はもちろん,演習問題などを解いて理解を深めることも重要である.下記の参考書などを参照して自学・自習を心掛けること.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
導入・量子論の基礎1 |
光および電子の粒子性と波動性,波束と群速度,ド・ブロイの関係式について説明することができる.
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2週 |
量子論の基礎2 |
シュレディンガーの波動方程式から量子井戸の固有値と固有関数を求め,そのエネルギー準位図を示すことができる.フェルミエネルギーについて説明できる.
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3週 |
固体のバンド理論 |
導体・半導体・金属のエネルギー帯構造を理解し,シュレディンガーの波動方程式からエネルギー帯理論を導出することができる.
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4週 |
統計力学の基礎 |
フェルミ・ディラックの分布関数について説明することができる.
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5週 |
半導体の電気伝導1 |
半導体の電気伝導機構,半導体中のキャリア濃度,キャリアの再結合,少数キャリアの連続の方程式について説明することができる.
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6週 |
半導体の電気伝導2 |
アインシュタインの関係式,移動度,半導体の種類,p型・n型について説明することができる.
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7週 |
前期中間試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
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8週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
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2ndQ |
9週 |
pn接合1 |
pn接合のエネルギー準位図と電流‐電圧特性(階段接合・傾斜接合)を説明することができる.
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10週 |
pn接合2 |
pn接合の逆方向降伏現象と空乏層容量,トンネルダイオードについて説明することができる.
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11週 |
ヘテロ接合 |
ヘテロ接合のエネルギー準位図,電流輸送機構,デバイスへの応用について説明できる.
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12週 |
金属-半導体接触 |
金属‐半導体接触のエネルギー準位図,電気伝導機構,ショットキーダイオードについて説明することができる.
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13週 |
トランジスタ1 |
接合型トランジスタのエネルギー準位図と動作原理,電流増幅率,輸送効率,電流‐電圧特性,周波数特性などを説明することができる.
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14週 |
トランジスタ2 |
電界効果型トランジスタ(接合型・MIS型)のエネルギー準位図と動作原理,電流‐電圧特性などについて説明することができる.
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15週 |
前期期末試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
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16週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
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後期 |
3rdQ |
1週 |
半導体の光学的性質1 |
光と物質の相互作用について理解し,半導体の光学的性質について説明することができる.
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2週 |
半導体の光学的性質2 |
半導体からの発光と光電効果について説明することができる.
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3週 |
光デバイス |
発光デバイス(LED,レーザダイオード)および受光デバイス(太陽電池,フォトダイオード)について説明することができる.
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4週 |
半導体の熱電的性質 |
半導体における熱電効果(ゼーベック効果,ペルチエ効果,トムソン効果)および半導体の熱伝導率について説明することができる.
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5週 |
半導体の各種性質 |
半導体における磁電効果(ホール効果,磁気抵抗効果),ひずみ抵抗効果について説明することができる.
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6週 |
半導体製作プロセス |
半導体製作プロセスの基礎である熱拡散,イオン注入,熱酸化について説明することができる.
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7週 |
後期中間試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
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8週 |
試験返却・解答 |
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
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4thQ |
9週 |
CMOS集積回路 |
CMOS集積回路の製作プロセスについて説明することができる.
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10週 |
MOSFETの動作1 |
MOSFETの基本構造と動作原理,弱反転と強反転領域,電流‐電圧特性について説明することができる.
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11週 |
MOSFETの動作2 |
MOSFET小信号等価回路および相互コンダクタンスについて説明することができる.
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12週 |
MOSFET増幅回路1 |
MOSFET小信号基本増幅回路(ソース接地,ドレイン接地,ゲート接地増幅回路)およびカスコード増幅回路について電圧増幅度などを求めることができる.
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13週 |
MOSFET増幅回路2 |
MOSFETの高周波等価回路とミラー効果について説明し,高周波増幅回路の電圧増幅度や周波数特性を求めることができる.
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14週 |
MOSFET増幅回路3 |
MOSFETで構成した差動増幅回路について,電圧増幅度や同相除去比(CMRR)などを求めることができる.また,基本的なバイアス回路について説明できる.
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15週 |
学年末試験 |
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電子工学 | 結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 3 | 前1,前2,前3,前4,前7,前8 |
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。 | 3 | 前5,前6,前7,前8 |
真性半導体と不純物半導体を説明できる。 | 3 | 前6,前7,前8 |
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 3 | 前2,前3,前6,前7,前8 |
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。 | 3 | 前9,前10,前15,前16 |
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。 | 3 | 前13,前14,前15,前16 |
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。 | 3 | 後10,後11,後15 |
評価割合
| 定期試験 | 課題レポート | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 40 | 5 | 45 |
専門的能力 | 30 | 10 | 40 |
分野横断的能力 | 10 | 5 | 15 |