概要:
化学分析が化学全般に果たす役割は大きい。本実験では、基本的な化学分析の操作を身につけると共に、化学反応における定性・定量的な考え方を体得する。また、汎用的な能力となる実験報告書(レポート)の作成方法を習得する。なお、複数の実験項目で市販飲料や環境水等を分析試料として用いる。
授業の進め方・方法:
重量分析、容量分析(中和滴定・キレート滴定・沈殿滴定・酸化還元滴定)、機器分析、定性分析、分離分析、および自由研究の順に展開する。最終の自由研究では、提示された複数の実験課題の中から一つを選択し、それまでに学んだ分析法を基に、実験指針の立案・分析・解析・成果報告を行う。
注意点:
・前期においては、実験テーマ終了毎に、レポート作成のための時間を設ける。また、内容理解を進めるためのペーパーテストを実施する。前者においては、教員からの指導を参考に、レポート作成能力の向上に努める姿勢が大切である。中間試験、期末・学年末試験は実施しない。
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 実験安全講習 実験準備 |
本科目の目標、内容、予定、評価法およびレポートの書き方などがわかる。実験遂行における注意事項、実験器具の名称や使用目的がわかる。
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2週 |
重量分析 ニッケルの定量・試薬調製①
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ジメチルグリオキシム法を用いて、硫酸ニッケルアンモニウム塩中のニッケルを定量できるとともに、所定の試薬を正しく調製できる。また、当該実験のレポートを作成でき、重量分析に関する基礎的問題を解くことができる。
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3週 |
重量分析 ニッケルの定量・試薬調製② |
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4週 |
重量分析 ニッケルの定量・レポート作成 |
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5週 |
中和滴定1 強酸-強塩基滴定① |
強酸標準溶液の標定ができ、それを用いて強酸-強塩基の滴定曲線を作成できる。また、当該実験のレポートを作成できる。
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6週 |
中和滴定1 強酸-強塩基滴定② |
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7週 |
中和滴定1 強酸-強塩基滴定・レポート作成 |
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8週 |
中和滴定2 乳酸の定量 |
乳酸菌飲料中の酸濃度を求め、併せて弱酸-強塩基の滴定曲線を作成できる。また、当該実験のレポートを作成できる。
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2ndQ |
9週 |
中和滴定2 乳酸の定量・レポート作成 |
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10週 |
実験テスト(重量分析・中和滴定) |
中和滴定に関する基礎的問題を解くことができる。
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11週 |
沈殿滴定 塩化物イオンの定量 |
硝酸銀標準溶液を用いて、食塩中に含まれる塩化物イオンを定量することができる。また、当該実験のレポートを作成でき、沈殿滴定に関する基礎的問題を解くことができる。
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12週 |
沈殿滴定のレポート作成 |
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13週 |
キレート滴定 硬度の測定 |
EDTA標準溶液を調製し、それを用いて検水の硬度を求めることができる。また、当該実験のレポートを作成でき、キレート滴定に関する基礎的問題を解くことができる。
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14週 |
酸化還元滴定 鉄の定量① |
過マンガン酸カリウム標準溶液を標定し、それを用いてモール塩中の鉄を定量できる。また、当該実験のレポートを作成でき、酸化還元滴定に関する基礎的問題を解くことができる。
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15週 |
酸化還元滴定 鉄の定量② |
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス・ローテーション実験準備 |
後期内容の説明およびローテーション実験の準備を行なう。
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2週 |
ローテーション実験1 吸光光度法-1(鉄の定量) |
吸光光度法により、鉄-フェナントロリン錯体の吸収スペクトルを測定し、検水中の鉄を定量することができる。
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3週 |
ローテーション実験2-① 吸光光度法-2(有効塩素の定量) |
比色法、吸光光度法を用いて、さらし粉中に含まれる有効塩素量を測定する。
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4週 |
ローテーション実験2-② 吸光光度法-3(定性分析) |
分属試薬および吸光光度計を用いて、検水中の各種金属イオンの定性分析を行なう。
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5週 |
ローテーション実験3 ペーパークロマトグラフ |
ペーパークロマトグラフ法により、混合試料の分離分析ができる。
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6週 |
ローテーション実験4-① イオン交換クロマトグラフィー |
イオン交換樹脂の交換容量を求め、また、銅イオンの溶離曲線を作成することができる。
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7週 |
ローテーション実験4-② イオン交換クロマトグラフィー |
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8週 |
実験テスト(ローテーション実験) |
吸光光度法やイオン交換反応に関する基礎的問題を解くことができる。
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4thQ |
9週 |
自由研究① |
選択した実験課題について、班員と協力しながら実験指針を立案し、分析を行い、結果を解析し、成果を報告することができる。
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10週 |
自由研究② |
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11週 |
自由研究③ |
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12週 |
自由研究④ |
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13週 |
自由研究⑤ |
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14週 |
自由研究⑥ |
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15週 |
自由研究⑦・成果発表会 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 分析化学 | いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。 | 4 | |
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。 | 4 | 前2,前3 |
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。 | 4 | |
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。 | 3 | |
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。 | 2 | |
錯体の生成について説明できる。 | 2 | |
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。 | 4 | 前5,前6,前7 |
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。 | 4 | |
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。 | 4 | 前13,前14,後3 |
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。 | 4 | 前11 |
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。 | 3 | 後2 |
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。 | 3 | 後2 |
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。 | 4 | 後6,後7 |
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。 | 4 | 後9,後10,後11,後12,後13,後14 |
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。 | 2 | |
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。 | 3 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 4 | 前5,前6,前7,前8,前9 |
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。 | 4 | 前13,前14,後3 |
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。 | 4 | 前11 |
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。 | 4 | 後9,後10,後11,後12,後13,後14 |
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 | 2 | |
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。 | 2 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 3 | |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | |