概要:
この授業は本校の教育目標のうち「応用力」を養う実験科目である。授業で学習した内容を、実際に体験する初めての化学実験である。計量、混合、加熱等の化学実験の基本操作、金属の定性分析、物質の定量的な取扱い,ガラス細工等の個別テーマと班別に7週間を使ってミニ卒業研究も行う。また、安全の心得、レポートの書き方を学習し、ミニ卒業研究では実験計画の立案、プレゼンテーションという応用的内容も経験する。
授業の進め方・方法:
全授業時間数の約半分を実験の説明、前回提出したレポートの総評などに充てており、実際の実験は12週である。個別実験では2名1組、または個人で行う形式を、ミニ卒業研究では4、5名の班編成をとっている。また、授業の一環として10月頃に1回地元工場へ見学にも出かけている。オフィスアワー:昼休憩または木曜日放課後
注意点:
実験の目的や内容が把握され、レポートに反映されているかを評価する。評価の内訳は、提出されたレポート点(70)+提出された実験ノート点(5)+ミニ卒業研究テーマのプレゼンテーション(15)+授業態度(10点)は授業態度である。態度の10点については、まじめに取り組んだ場合=10点、騒いだりして注意をされた場合=5点、態度について繰り返し注意をされた場合=0点とする。なお、期限内に一通でもレポートが提出されなかった場合には単位認定しない。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
講義:全般的ガイダンス、安全管理(修学ガイダンス) |
安全管理を理解し、実施できる。
|
2週 |
講義:実験入門、レポートの書き方 実験説明:比重の測定 |
ガラス器具等の実験器具を知っている。基本的なレポートの書き方を知っている。
|
3週 |
実験:比重の測定 |
食塩水の比重の測定方法と比重と濃度の関係を答えらる。
|
4週 |
講義:前回レポート総評 実験説明:炎色反応 |
基本的なレポートが書ける。炎色反応の実験ができる知識がある。
|
5週 |
実験:炎色反応 |
炎色反応の色を確認し、未知試料の金属を推定できる。
|
6週 |
講義:前回レポート総評 実験説明:第1属,第2属陽イオンの分析 |
基本的なレポートが書ける。第1属,第2属陽イオンの分析ができる知識がある。
|
7週 |
実験:第1属陽イオンの分析 |
第1属陽イオンを分析できる。
|
8週 |
実験:第2属(銅属)陽イオンの分析 |
第2属(銅属)陽イオンを分析できる。
|
2ndQ |
9週 |
講義:前回レポート総評 実験説明:ペーパークロマトグラフィー |
基本的なレポートが書ける。ペーパークロマトグラフィーを用いて金属イオンが分析できる知識がある。
|
10週 |
実験:ペーパークロマトグラフィー |
ペーパークロマトグラフィーを用いて金属イオンが分析できる。
|
11週 |
講義:前回レポート総評 実験説明:結晶中の結晶水の定量 |
基本的なレポートが書ける。硫酸銅結晶中の結晶水の定量の方法を知っている。
|
12週 |
実験:結晶中の結晶水の定量 |
硫酸銅結晶中の結晶水を定量できる。
|
13週 |
講義:前回レポート総評 実験説明:固体と液体の分離 |
基本的なレポートが書ける。沈殿を作り、それを溶液と分離する方法を知っている。
|
14週 |
実験:固体と液体の分離 |
沈殿を作り、それをろ過等を用いて溶液と分離することができる。
|
15週 |
講義:前回レポート総評 実験説明:溶解度 |
基本的なレポートが書ける。溶解度とは何か、溶解度の求め方を知っている。
|
16週 |
|
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
実験:溶解度 |
硝酸カリウムの溶解度曲線を作成できる。
|
2週 |
講義:前回レポート総評 実験説明:中和滴定 |
基本的なレポートが書ける。中和滴定の原理と実験方法を知っている。
|
3週 |
実験:中和滴定 |
中和滴定を用いて食酢中の酢酸の量を求めることができる。
|
4週 |
工場見学 |
近隣のごみ処理場に見学に行き、環境について考え、レポートとして提出する。
|
5週 |
ミニ卒研:「身近なものからの電池の試作」に関する説明・情報収集・実験計画の立案 |
ミニ卒研のテーマに関する説明を受け、チームで情報収集・実験計画の立案を行う。
|
6週 |
ミニ卒研:「身近なものからの電池の試作」に関する説明・情報収集・実験計画の立案 |
ミニ卒研のテーマに関する説明を受け、チームで情報収集・実験計画の立案を行う。
|
7週 |
ミニ卒研:「身近なものからの電池の試作」 |
チームで「身近なものからの電池の試作」を行い、性能を評価する。
|
8週 |
ミニ卒研:「身近なものからの電池の試作」 |
チームで「身近なものからの電池の試作」を行い、性能を評価する。
|
4thQ |
9週 |
ミニ卒研のプレゼンテーション準備 |
チームでミニ卒研の実験結果を整理し、プレゼンテーションの準備をする。
|
10週 |
ミニ卒研のプレゼンテーション準備 |
チームでミニ卒研の実験結果を整理し、プレゼンテーションの準備をする。
|
11週 |
ミニ卒研のプレゼンテーション |
チームでまとめたミニ卒研の実験結果をクラスでプレゼンテーションする。
|
12週 |
実験説明:ガラス細工 |
ガラスの基礎とガラス細工の基本について理解する。
|
13週 |
実験:ガラス細工 |
軟質ガラス管を用いて、L字管などの作品を製作する。
|
14週 |
ミニ卒研レポート返却と講評 |
ミニ卒研のレポートからレポートの書き方について、注意すべき点を答えられる。
|
15週 |
清掃とまとめ |
実験室を清掃し、実験について必要な点を振り返る。
|
16週 |
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学実験 | 化学実験 | レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。 | 1 | 前2,前4,前6,前9,前11,前13,前15,後2,後3,後14 |
試薬の調製ができる。 | 1 | 前3 |
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。 | 1 | 前14 |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 1 | 後3 |
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。 | 1 | 前7,前8 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。 | 1 | 後5,後6 |
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。 | 1 | 前4,前6,前9,前11,前13,前15,後2,後3,後14 |
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 1 | 前4,前6,前9,前11,前13,前15,後2,後3,後14 |
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 1 | 後5,後6 |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 1 | 後5,後6 |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 1 | 後5,後6 |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 1 | 後9,後10 |
複数の情報を整理・構造化できる。 | 1 | 後9,後10 |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 1 | 後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11 |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 1 | 後9,後10 |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 1 | 後9,後10 |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 1 | 後9,後10 |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 1 | 後7,後8 |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 1 | 後7,後8 |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 1 | 後5,後6,後7,後8 |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 1 | 前1,後4 |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 1 | 後4 |
総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 総合的な学習経験と創造的思考力 | 課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。 | 1 | 後5,後6,後7,後8 |