蒸気工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 広島商船高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 蒸気工学Ⅱ
科目番号 0053 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 商船学科(機関コース) 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「ターボ動力工学」 (刑部 真弘 著 海文堂)、「ガスタービンの基礎と実際」 (三輪 光砂 著 成山堂書店)
担当教員 濵田 朋起

到達目標

(1) 蒸気動力プラントを説明できる。
(2) 蒸気タービンの損失、効率について説明できる。
(3) 蒸気動力プラントの運転管理に関する基本的な事項を説明できる。
(4) ガスタービンの構造および作動、特徴について学習し、概略を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 蒸気動力プラントの基本的な構成要素と作動原理について説明できる。 蒸気動力プラントの基本的な構成要素と作動原理について概ね理解できる。 蒸気動力プラントの基本的な構成要素について認識できない。
評価項目2 蒸気タービンで発生する諸損失および蒸気タービンの諸効率について説明でき、ならびにその割合について評価することができる。 蒸気タービンで発生する諸損失および蒸気タービンの諸効率について概ね理解できる。 蒸気タービンで発生する諸損失、ならびに蒸気タービンの諸効率について認識できない。
評価項目3 蒸気動力プラント全体の運転・管理方法、ならびにプラント関連装置の取扱方法について説明できる。 蒸気動力プラント全体の運転・管理方法、ならびにプラント関連装置の取扱方法について概ね理解できる。 蒸気動力プラント全体の運転・管理方法について認識できない。
評価項目4 ガスタービンの基本構成および各部の構造と作動、特徴について系統立てて説明できる。 ガスタービンの基本構成および各部の構造と作動、特徴について概ね理解できる。 ガスタービンの基本構成および各部の構造について認識できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 この授業では、得られた知識・技術を活用して、機器を製作する、あるいはプラントを運用管理するための基礎能力を習得することを目指します。
 「蒸気タービン」は、LNGタンカーや発電所などで使用されている高出力の「エンジン」で、ボイラや付属装置などで構成された「蒸気動力プラント」の一部です。また「ガスタービン」は、航空機や大型船などで使用されている単体で高出力を発生させることが可能な「エンジン」ですが、近年、発電プラントの高効率化および環境面の観点から「蒸気動力プラント」の構成要素の一つとして用いられることがあります。
 この授業では、「舶用蒸気タービン」および「ガスタービン」を中心に、動力プラントを構成する各機器の作動原理、性能について学習します。
授業の進め方・方法:
シラバスの項目に沿った講義および演習問題を組み合わせて行います。また必要に応じて、資料を配付します。
注意点:
(1) ノートを整理し、配付した資料はなくさないようにしてください。
(2) 講義、試験には電卓を持参してください。
(3) シラバスの項目・内容を確認して、教科書・参考書などで予習をしておいてください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 蒸気動力プラントの概要 蒸気動力プラントの構成要素と特徴について説明できる。
2週 蒸気動力プラントの概要 蒸気動力プラント内部を流動する蒸気の状態変化について説明できる。
3週 蒸気タービンの概要 蒸気タービンの種類および基本構成について説明できる。
4週 蒸気タービンの概要 蒸気タービン内部における蒸気の流れおよび状態変化について説明できる。
5週 蒸気動力プラントの熱サイクル ランキンサイクルとプラント効率について説明できる。
6週 蒸気動力プラントの熱サイクル 再生サイクル、再熱サイクル、再熱再生サイクルの特徴について説明できる。
7週 蒸気動力プラントの熱サイクル 実際の蒸気動力プラントのサイクルとランキンサイクルの違いについて説明できる。
8週 蒸気タービン各部の構造と作用 ノズルの種類および形状、ならびにノズル損失について説明できる。
2ndQ
9週 蒸気タービン各部の構造と作用 回転羽根の種類および形状、ならびに回転羽根の性能について説明できる。
10週 蒸気タービン各部の構造と作用 車室、仕切板、ロータの構造および作用について説明できる。
11週 蒸気タービン各部の構造と作用 気密装置、軸受、後進タービンについて説明できる。
12週 タービンの付属装置 減速歯車の種類および構造について説明できる。
13週 タービンの付属装置 復水器の構造、ならびに復水器の必要性および効用について説明できる。
14週 タービンの付属装置 蒸気タービンの出力調整装置、安全装置について説明できる。
15週 前期末試験
16週 前期末試験答案返却・解説
後期
3rdQ
1週 蒸気タービンの性質 蒸気タービン内部で発生する諸速度について認識し、速度線図を描くことができる。
2週 蒸気タービンの性質 蒸気タービン内部における熱落差、臨界圧力、超過膨張、不足膨張について説明できる。
3週 蒸気タービンの諸損失 蒸気タービン内で発生する内部損失および外部損失の種類ならびに特徴について説明できる。
4週 蒸気タービンの諸効率・性能 蒸気タービン内で発生する諸性能について認識し、計算により求めることができる。
5週 蒸気動力プラントの運転管理 蒸気動力プラントの暖冷機時および運転時の取り扱いについて説明できる。
6週 蒸気動力プラントの運転管理 蒸気動力プラント内で発生する故障およびその対応について説明できる。
7週 蒸気動力プラントの運転管理 蒸気タービンおよび関連装置の開放検査について説明できる。
8週 蒸気動力プラントの運転管理 蒸気タービンおよび関連装置の損傷とその対策について説明できる。
4thQ
9週 ガスタービンの構造と作用 ガスタービンの種類および特徴について説明できる。
10週 ガスタービンの構造と作用 ガスタービンの構成要素および作動について説明できる。
11週 ガスタービンの構造と作用 ガスタービンの構成要素の構造および特徴について説明できる。
12週 ガスタービンの熱効率 ガスタービンの基本熱サイクルについて説明できる。
13週 ガスタービンの熱効率 ガスタービンの再生サイクル、再熱サイクルについて説明できる。
14週 ガスタービンの熱効率 ガスタービン全体の熱効率および出力を計算により求めることができる。
15週 学年末試験
16週 学年末試験答案返却・解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3後1,後2,後3,後4,後9,後10,後11,後12,後13,後14
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後14
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。3後2,後3,後4,後12,後13,後14
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。3後3
熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。3後2,後3,後4,後12,後13,後14
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。3後2,後12,後14
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。3後1,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。3後2,後3,後4,後12,後13,後14
サイクルをT-s線図で表現できる。3後2,後12,後13,後14
商船系分野(機関)蒸気工学蒸気動力プラントを構成する要素とそれぞれの機能について、説明できる。3前1,前12,前13,前14
蒸気動力プラント内部を流動する作動流体の循環について説明できる。3前2,前4
蒸気タービンの種類、構成要素および作動原理について、説明できる。3前3,前8,前9,前10,前12
ノズル、羽根、ロータ、気密装置、車室などの各部の構造および作用について説明できる。3前8,前9,前10,後7,後8
タービン内部で発生する諸因子(臨界圧力、超過膨張、不足膨張など)について説明できる。3後2,後3
タービン内部を通過する蒸気の断熱膨張とそれによる熱落差について説明できる。3後2,後3
回転羽根内部で発生する諸速度について認識し、速度線図(速度三角形)を描くことができる。3後1
蒸気タービンで発生する内部損失および外部損失の種類および特徴について説明できる。3後3
ランキンサイクル、再生サイクル、再熱サイクル、再熱再生サイクルの特徴について説明できる。3前5,前6,前7
蒸気タービンに関する諸性能(熱効率、蒸気消費量、熱消費率など)について認識し、計算ができる。3前5,前6,前7,後4
タービン関連装置の種類、構造および作用について説明できる。3前11,前12,前13,前14,後5
蒸気タービンの操縦制御について説明できる。3後5
蒸気タービンおよび関連装置を取り扱うに当たっての基本的な注意点について説明できる。3後5,後6,後8
蒸気タービンおよび関連装置の開放および検査について説明できる。3後7,後8

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合700002010100
基礎的能力3000010545
専門的能力3000010040
分野横断的能力100000515