内燃機関Ⅱ

科目基礎情報

学校 広島商船高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 内燃機関Ⅱ
科目番号 0063 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 商船学科(機関コース) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「舶用ディーゼル機関教範」 (長谷川 静音 著 成山堂)
担当教員 武山 哲

到達目標

(1)内燃機関,特にディーゼル機関の出力発生原理,構造および作動,について概略を説明できる.
(2)熱効率,平均有効圧,燃料消費率などについて理解し,内燃機関の性能を評価するのに必要な指標を算出できる.
(3)往復動式内燃機関の主要構成要素の作動,特徴について学び,それらの役割,調整方法.主要な修理方法について説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
燃焼で発生した熱が仕事,出力に変換する現象を往復機関で理解できる燃焼による熱が仕事,出力に変換し,一部損失が起こっておるいる現象を説明できる同現象を説明できない
往復機関にとって作動するために重要な,ガス交換過程を理解できるガス交換過程で発生する各種現象(慣性効果,干渉),弁周りの流れを説明できる同現象を説明できない
容積型機関と速度型機関の違いを説明できる違いを明確に説明できる違いを説明できない
実際の内燃機関のサイクルを理解している 実際の内燃機関のサイクル(4サイクル,2サイクル)から主要性能が算出できる.実際の内燃機関のサイクルを理解し, サイクル(4サイクル,2サイクル)から平均有効圧力,熱勘定,性能線図が作成できる主要性能が算出できない
予混合火炎と拡散火炎の異常燃焼について理解できる予混合燃焼と拡散燃焼の異常燃焼の違いを説明できる違いを説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
(1)船舶の主駆動源である内燃機関を取り扱うにあたり,内燃機関の性能,構造,材料などを理解する.
(2)内燃機関に関する知識・技術を習得し,それを実際に現場で活用できること, 主要部の設計が出来ることを目指す.
(3)各部位を保守するにあたり,問題点を理論的に把握し,調整,修理の考え方を身につける.
授業の進め方・方法:
(1)スライドと黒板を併用し,アニメーション等わかりやすい解説を加える.
(2)特に難しい部分は演習を交え,理解を深める.
(3)4年では,理論に加えて,実際のハードウエア,素材,制御等にも触れるので,実物を用いた解説を加える.
注意点:
(1)実物の作動原理を良く理解し、海技試験でも通用する力を身に着ける.
(2)作動原理と物理的な関係を,常に把握しておく.工学の基本.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1..内燃機関の性能
1-(1)理論熱効率,図示熱効率,正味熱効率,線図効率,機械効率
2週 1..内燃機関の性能
1-(2)理論平均有効圧,図示平均有効圧,正味平均有効圧
3週 1..内燃機関の性能
1-(3)図示出力,正味出力
4週 1..内燃機関の性能
1-(4)熱勘定,内燃機関の熱損失
5週 1..内燃機関の性能
1-(5)燃料消費量,燃料消費率
1-(6)機関性能曲線,機関出力の定義
6週 2.過給 2-(1)過給方式(機械駆動式過給,排気タービン過給)
2-(2)過給機の構造,特徴
7週 前期中間試験
8週 答案返却・解説
2ndQ
9週 3.ディーゼル機関の混合気形成
3-(1)燃料噴射ポンプの構造,特徴,取扱
3-(2)燃料噴射弁の構造,特徴,取扱
10週 3.ディーゼル機関の混合気形成
3-(3)燃料噴射圧力と性能との関係
11週 3.ディーゼル機関の混合気形成
3-(4)燃料噴射管の構造,特徴,燃焼室の構造,特徴
12週 4.内燃機関主要部の構造および作動 4-(1)ピストンの形状および材質,特徴
4-(2)ピストンリング・オイルリングの形状および材質,特徴
13週 4.内燃機関主要部の構造および作動 4-(3)連接棒・クランク軸の形状および材質,特徴
4-(4)燃料噴射ポンプ・燃料噴射弁の形状お材質,特徴
14週 4.内燃機関主要部の構造および作動 4-(5)カムの形状および材質,特徴
15週 前期中間試験
16週 答案返却・解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3
波動横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。3
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。3
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。3
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。3
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。3
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。3
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。3
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。3
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。3
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。3
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。3
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。3
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。3
仕事の意味を理解し、計算できる。3
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。3
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。3
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。3
動力の意味を理解し、計算できる。3
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。3
運動量および運動量保存の法則を説明できる。3
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。3
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。3
応力とひずみを説明できる。3
熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。3
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。3
パスカルの原理を説明できる。3
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。3
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。3
物体に作用する浮力を計算できる。3
定常流と非定常流の違いを説明できる。3
流線と流管の定義を説明できる。3
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。3
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。3
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。3
層流と乱流の違いを説明できる。3
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。3
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。3
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。3
熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。3
熱力学の第一法則を説明できる。3
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。3
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。3
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。3
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。3
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。3
熱力学の第二法則を説明できる。3
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。3
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。3
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。3
商船系分野(機関)内燃機関学内燃機関と外燃機関の違いについて認識し、それらの種類および分類について説明できる。3
2サイクル機関および4サイクル機関の作動原理および特徴について説明できる。3
内燃機関の各機器の構造および役割、故障の要因を説明できる。3
内燃機関の基本熱サイクルの種類および特徴を説明できる。3
効率、出力(馬力)、燃料消費率などを計算し、機関性能を評価できる。3
4サイクル機関および2サイクル機関のガス交換過程について、説明できる。3
燃焼に必要な条件、燃焼反応、燃焼過程について説明できる。3
発熱量、理論空気量、空気過剰率など、燃焼性能に関する諸因子の計算ができる。3
異常燃焼の種類を認識し、その発生要因および機関への影響について説明できる。3
内燃機関に付属する装置の種類、特徴、取り扱いについて説明できる。3
内燃機関に付属する装置の故障およびその原因、対策について認識し、説明できる。3
燃料油・潤滑油の種類と特性について、説明できる。3
燃料油・潤滑油の取り扱いおよび管理について説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合700010200100
基礎的能力2500510040
専門的能力3000510045
分野横断的能力150000015