生物工学

科目基礎情報

学校 沖縄工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 生物工学
科目番号 4405 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生物資源工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 教科書:エッセンシャル タンパク質工学(講談社)、教材:教員自作プリント、パワーポイントなどプレゼン資料、参考図書:生物工学ハンドブック、生物工学実験書、初歩からのバイオ実験 ゲノムからプロテオームへ、タンパク質実験ハンドブック、タンパク質科学イラストレイテッド、最適な実験を行うためのバイオ実験の原理、生化学実験書I分離・精製・性質、生化学実験書II酵素・その他のタンパク質、図解バイオテクノロジーII、改訂タンパク質実験ノート、バイオ実験イラストレイテッド5タンパクなんてこわくない、プロテオミクス、Protein purification 2nd ed.、Enzyme Nomenclature 1992(キーワード:酵素、タンパク質、enzyme、bioreactor)
担当教員 田邊 俊朗

到達目標

微生物の生育や働きについて学び、その培養方法や応用方法について理解する。 生物の共通性である、細胞、エネルギーと代謝、遺伝情報の発現について理解する。 酵素の性質、生体内における役割を理解する。 ニューバイオテクノロジーの基礎となる各種微生物のスクリーニング法、基礎的な酵素化学、酵素精製法、微生物による物質生産法について理解し説明できる。 【V-E-6 基礎生物】【V-E-7 生物化学】【V-E-8 生物工学】【VI-E-1 専門工学 実験・実習】

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限必要な 到達レベル(可)
バイオリアクターを含むニューバイオテクノロジーの知識や技術についてその概要を説明できるニューバイオテクノロジーの知識や技術についてその概要と複数の実例を挙げて説明できる。ニューバイオテクノロジーの知識や技術についてその概要だけでなく実例を挙げることができる。ニューバイオテクノロジーの知識や技術について興味を持ち、その概要を説明できる。
天然からの微生物スクリーニング法や新規酵素スクリーニング法を習得する。天然からの微生物スクリーニング法や新規酵素スクリーニング法をよく理解し、実際の課題に即したスクリーニング手順を記述できる。天然からの微生物スクリーニング法や新規酵素スクリーニング法を知り、その概要だけでなく実例を挙げることができる。天然からの微生物スクリーニング法や新規酵素スクリーニング法を知り、概要を説明できる。
酵素の各種精製法について理解し、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択して精製系を構築できる。酵素精製法をよく理解し、実際の精製系について機器・器具から所要時間まで詳細に記述できる。酵素精製に必要な機器・器具を把握し、精製スキームを記述できる。酵素精製の概略を述べることができる。
酵素反応速度論を理解し、酵素の酵素化学的性質とタンパク質化学的性質の検討方法を説明できる。酵素反応速度論を理解し、測定データから酵素のkm値とVmaxを導いた上で、その値が妥当であるか検討できる。 さらに酵素の酵素化学的性質とタンパク質化学的性質の検討方法を説明できる。酵素反応速度論解析用の測定データから酵素のkm値とVmaxを導いた上で、その値が妥当であるか検討できる。酵素反応速度論解析用の測定データから酵素のkm値とVmaxが導ける。

学科の到達目標項目との関係

本科教育目標 1 説明 閉じる
学科ごとの教育目標 1 説明 閉じる
本科教育目標 3 説明 閉じる
学科ごとの教育目標 3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生物工学は、生物工学実験と連携し、植物や微生物および酵素に関するニューバイオテクノロジーについての知識と技術を身につける。
授業の進め方・方法:
3年次までの専門関連科目で学んだことを基礎として、実社会の問題を解析し解決できるような専門知識と技術を生かせる実践力を培う。種々の生命現象で重要な役割を果たし、産業でも多方面に用いられる酵素に関して、その基礎的な理論および精製法や反応速度論的取り扱い、さらにバイオリアクターなどの有用物質生産の道具としての産業応用にまで講義を行う。
注意点:
総合評価は、毎回の予習復習課題25%、小テスト25%、期末レポート50%で行う。60点以上の場合に合格とする。 予習復習として授業内容に関する課題を課す。 各4時間×15回 この科目の主たる関連科目は生化学(3年)、生化学実験(3年)、遺伝子工学(4年)、遺伝子工学実験(4年)、生物工学実験(4年)、細胞工学(5年)、タンパク質工学(5年) (モデルコアカリキュラム)MCC 3-1-5 V-E 化学・生物系分野、3-2 VI 分野別の工学実験・実習能力 (学位審査基準の要件による分類・適用)専門科目 ④ A-2群 生物工学に関する基本的科目

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ニューバイオテクノロジー概論 生物工学の概略を知り、到達目標を把握する。発展を続けるバイオテクノロジーの様々な応用を知る。 MCC V-E-6 基礎生物 酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。
2週 植物の組織培養と育種 植物組織培養について理解する。
3週 有用微生物のスクリーニング法 様々な微生物のスクリーニング法を知る。 抗生物質や生理活性物質とその微生物による生産について理解する。 微生物の育種方法について理解する。 微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても理解する。 MCC V-E-8 生物工学 原核微生物の種類と特徴について説明できる。 MCC V-E-8 生物工学 真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。 MCC V-E-8 生物工学 微生物の育種方法について説明できる。 MCC V-E-8 生物工学 微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。 MCC V-E-8 生物工学 抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。
4週 酵素の定義と分類、酵素活性測定法 緩衝液について学ぶ。 酵素とは何か知り、代謝における酵素の役割を学ぶ。 構造と機能の観点から酵素の種類と分類命名法を知る。 単糖の化学構造を知り、各種の異性体について学ぶ。 グリコシド結合を知り、各種の多糖を学ぶ。 主に糖質加水分解酵素の活性測定法を知る。 酵素の活性を定量的または定性的に調べる。 MCC V-E-6 基礎生物 酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 グリコシド結合を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 多糖の例を説明できる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) 酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。
5週 タンパク質の定量法 様々なタンパク質の検出法や定量法を知る。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) 分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。
6週 酵素精製概論 タンパク質の生産と抽出法を学ぶ。 酵素の取り扱い、精製方法の典型と系を構築する考え方を習得する。 MCC V-E-7 生物化学 生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質の高次構造について説明できる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) 適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。
7週 酵素抽出法と粗精製 粗分画や硫安沈殿など酵素精製の初期ステップを学ぶ。超音波破砕など適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出する方法を知り、ろ過や遠心分離等での粗分画精製について知る。各種の緩衝液を知り、分離用ゲルを空カラムに充填するなど、低圧カラム精製の基礎を学ぶ。グラジエントミキサーを使用して塩濃度直線勾配を作成するなど低圧カラム精製の基礎を学ぶ。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) 適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。
8週 振り返り 1〜7回の授業内容を振り返る
2ndQ
9週 イオン交換クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング イオン交換体について概念と使用法を理解する。等電点を利用した分画法を知る。 MCC V-E-7 生物化学 生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質の高次構造について説明できる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) 適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。
10週 疎水性相互作用クロマトグラフィー 疎水性相互作用を利用したクロマトグラフィーを学ぶ。 MCC V-E-7 生物化学 生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質の高次構造について説明できる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) 適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。
11週 ゲル濾過、脱塩と分子量分画 ゲル濾過・透析など各種のタンパク質溶液の脱塩法を理解する。 分子量分画と分子量の推定を学習する。 MCC V-E-7 生物化学 生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質の高次構造について説明できる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) 適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。
12週 タンパク質の電気泳動法 SDS-PAGE、IEF、2D-PAGEについて学ぶ。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質の高次構造について説明できる。 MCC 3-2-5 VI-E 化学・生物系分野(実験・実習能力) クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。
13週 タンパク質の 電気泳動法2と構造解析 プロテオーム解析 電気泳動の結果をどう評価するかについて学ぶ。エドマン分解や断片のMALDI-TOF MS解析など各種のN末端・C末端アミノ酸配列分析法を知り、プロテオーム解析などの応用について学ぶ。 MCC V-E-6 基礎生物 DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 V-E-7 生物化学 コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。
14週 酵素反応速度論、酵素の性質検討 酵素の構造と酵素-基質複合体について理解する。酵素反応を数量論的に解析する方法について学ぶ。酵素の作用に影響する条件について知る。酵素の性質(最適温度、最適pH、熱安定性、pH安定性)について理解する。 鍵と鍵穴説から発展し、酵素の構造から、基質特異性と基質濃度について理解する。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。
15週 バイオリアクター 固定化酵素とバイオリアクターの設計・構築法を学ぶ。 MCC V-E-8 生物工学 微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。 MCC V-E-8 生物工学 滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。MCC V-E-7 生物化学 酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。
16週

評価割合

予習復習課題小テスト期末レポートその他(演習課題・発表・実技・成果物等)合計
総合評価割合2525500100
基礎的理解252525075
応用力(実践・専門・融合)0025025
社会性(プレゼン・コミュニケーション・PBL)00000
主体的・継続的学習意欲00000