細胞工学

科目基礎情報

学校 沖縄工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 細胞工学
科目番号 5405 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物資源工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:エッセンシャル タンパク質工学(講談社)、教材:教員自作プリント、パワーポイントなどプレゼン資料 参考図書:細胞工学概論、核酸Ⅴ細胞工学的技術、タンパク実験プロトコール1機能解析編 (キーワード:細胞、生体膜、物質生産)
担当教員 田邊 俊朗

到達目標

化学の視点から、細胞の構造と細胞内小器官の機能を学び、セントラルドグマに関わる細胞内物質輸送について理解する。 さまざまな細胞の遺伝子的形質転換法を学ぶ。 各種の細胞培養法、および、大量の培養細胞による有用物質の生産法について学ぶ。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限必要な 到達レベル(可)
細胞の構造、細胞内小器官の機能、細胞の取り扱いや細胞培養に係る設備、およびセントラルドグマに関わる細胞内物質輸送について理解する。細胞の構造、細胞内小器官の機能、細胞の取り扱いや細胞培養に係る設備、およびセントラルドグマに関わる細胞内物質輸送についてよく理解し、与えられた選択肢の中から正解を選ぶことができるだけでなく、学習項目全般を記述によって説明できる。細胞の構造、細胞内小器官の機能、細胞の取り扱いや細胞培養に係る設備、およびセントラルドグマに関わる細胞内物質輸送について部分的に理解しており、与えられた選択肢の中から正解を選ぶことができ、一部の記述による説明もできる。細胞の構造、細胞内小器官の機能、細胞の取り扱いや細胞培養に係る設備、およびセントラルドグマに関わる細胞内物質輸送について一部理解しており、与えられた選択肢の中から正解を選ぶことができる。
微生物、植物および動物細胞の遺伝的形質転換法を学ぶ。微生物、植物および動物細胞の遺伝的形質転換法について良く理解し、最新の手法まで例を挙げて説明できる。微生物、植物および動物細胞の遺伝的形質転換法について理解し複数の例を挙げて説明できる。微生物、植物および動物細胞の遺伝的形質転換法に興味を持ち、一つの例を挙げて説明できる。
細胞の大量培養による物質生産法など、バイオテクノロジーの応用例について説明できる。細胞の大量培養による物質生産法など、バイオテクノロジーの応用例について学習項目全般にわたり例を挙げて説明できる。細胞の大量培養による物質生産法など、バイオテクノロジーの応用例について2〜3の例を挙げて説明できる。細胞の大量培養による物質生産法など、バイオテクノロジーの応用例を一つ例を挙げて説明できる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
細胞の生命現象を巧みに工学へ応用し、培養細胞による有用物質の生産法の実際について講義する。
授業の進め方・方法:
講義内容に深く関連した文献購読を取り入れる。
注意点:
中間試験(50%)期末試験(50%)の割合で100点満点で評価する。60点以上を合格とする。 この科目の主たる関連科目は生物工学(4年)、タンパク質工学(5年)。 (モデルコアカリキュラム)2-2-5 II-E ライフサイエンス・アースサイエンス、V-E-6 基礎生物、V-E-7 生物化学、V-E-8 生物工学 (学位審査基準の要件による分類・適用) 専門科目 ④ A-2群 生物工学に関する基本的科目

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 細胞工学とは 遺伝子組換え講習 細胞工学で何を学ぶかを概観する。 カルタヘナ法を理解し、安全で倫理的な遺伝子組換えについて学ぶ。 MCC V-E-8 生物工学 微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。
2週 細胞の構造と仕組み 細胞の構造と仕組みについて理解する。 MCC 2-2-5 II-E ライフサイエンス・アースサイエンス 生物に共通する性質について説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 原核生物と真核生物の違いについて説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。
3週 細胞の構造と仕組み2 細胞内小器官の構造と仕組みについて理解する。 MCC V-E-6 基礎生物 葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。
4週 遺伝子の発現 DNAの構造について遺伝情報と結びつけて理解している。転写・翻訳に関わるRNAについて理解する。遺伝情報とタンパク質の関係について理解している。 MCC V-E-6 基礎生物 DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 ヌクレオチドの構造を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 DNAの半保存的複製を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 RNAの種類と働きを列記できる。 MCC V-E-7 生物化学 コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。
5週 遺伝子の発現2 DNAの構造について遺伝情報と結びつけて理解している。転写・翻訳に関わるRNAについて理解する。遺伝情報とタンパク質の関係について理解している。 MCC V-E-6 基礎生物 DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 ヌクレオチドの構造を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 DNAの半保存的複製を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 RNAの種類と働きを列記できる。 MCC V-E-7 生物化学 コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。
6週 ゴルジ体とタンパク質の成熟 細胞の構造と細胞内物質輸送について学ぶ。 MCC V-E-6 基礎生物 酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 脂質の機能を複数あげることができる。 MCC V-E-7 生物化学 トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。
7週 細胞培養の準備と一般的実験操作 細胞研究に必要な設備・試薬・器具・操作を理解する。
8週 前半のまとめと中間試験[1] 授業項目1-7の要点を復習する。
2ndQ
9週 細菌へのDNA導入法 遺伝子組換えの技術を理解する。大腸菌の形質転換法を学ぶ。 MCC V-E-8 生物工学 原核微生物の種類と特徴について説明できる。 MCC V-E-8 生物工学微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。 MCC V-E-8 生物工学微生物の育種方法について説明できる。
10週 相同組換え 細胞の基本機能である相同組換えとその形質転換法への応用を学ぶ。 MCC 2-2-5 II-E ライフサイエンス・アースサイエンス 生物に共通する性質について説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。
11週 真菌・酵母へのDNA導入法 真菌・酵母の形質転換法を学ぶ。 MCC V-E-8 生物工学真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。 MCC V-E-8 生物工学微生物の育種方法について説明できる。 MCC V-E-8 生物工学抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。
12週 昆虫細胞へのDNA導入法 昆虫細胞の形質転換法を学ぶ。
13週 植物細胞へのDNA導入法 植物細胞の形質転換法を学ぶ。
14週 動物細胞へのDNA導入と細胞融合 動物細胞の形質転換とハイブリドーマ作製法を学ぶ。
15週 フローサイトメトリー フローサイトメトリーの原理と実際の操作を理解する。
16週 期末試験[1] 期末試験を実施する。
後期
3rdQ
1週 アミノ酸の性質とタンパク質の構造 分子設計に必要な基礎事項を学ぶ。タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを確認する。生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)の化学を確認する。タ ンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を理解する。 アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 タンパク質の立体構造(一次・二次・三次・四次構造)について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質の高次構造について説明できる。
2週 アミノ酸の性質とタンパク質の構造2 分子設計に必要な基礎事項を学ぶ。タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを確認する。生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)の化学を確認する。タ ンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を理解する。 アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 タンパク質の立体構造(一次・二次・三次・四次構造)について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質の高次構造について説明できる。
3週 DNAへの変異導入法 DNAの構造について遺伝情報と結びつけて理解する。基礎的な遺伝子操作法を学ぶ。様々なDNA変異導入法を理解する。 MCC V-E-6 基礎生物 DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。
4週 ゲノム編集 急速に利用が拡大しているゲノム編集技術について基本原理と応用例を知る。 MCC V-E-6 基礎生物 ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。
5週 タンパク質の構造解析 タンパク質の構造解析を学び、構造から機能を解析する手法を学ぶ。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。
6週 タンパク質の構造解析2 タンパク質の構造解析を学び、構造から機能を解析する手法を学ぶ。 MCC V-E-7 生物化学 タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。
7週 酵素の触媒機構 分子構造の視点から、酵素の触媒機構を理解する。 MCC V-E-6 基礎生物 酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。
8週 1〜7の振り返りと中間試験[1] 1〜7回を振り返り、中間試験を行う。
4thQ
9週 タンパク質の分子改質(リゾチーム) リゾチームについて基質特異性・結合特異性などの変換法を理解する。 MCC V-E-7 生物化学 グリコシド結合を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 多糖の例を説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。
10週 タンパク質の分子改質(リゾチーム2) リゾチームについて、基質補助触媒や糖転移の機構を理解する。 MCC V-E-7 生物化学 グリコシド結合を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 多糖の例を説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。
11週 タンパク質の分子改質(アミラーゼ) アミラーゼについて機能の導入・安定性付与などについて学ぶ。 MCC V-E-7 生物化学 グリコシド結合を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 多糖の例を説明できる。 MCC V-E-6 基礎生物 酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。
12週 タンパク質の分子改質(プロテアーゼ) プロテアーゼについて、基質特異性変換の考え方や基質補助触媒などを学ぶ。 MCC V-E-6 基礎生物 酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 MCC V-E-7 生物化学 酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。
13週 人工タンパク質と非天然アミノ酸導入 天然には存在し得ないタンパク質の合成法を学ぶ。
14週 抗体酵素 免疫系による生体防御のしくみを理解し、タンパク質工学的手法による抗体の機能改変法を学ぶ。 MCC V-E-6 基礎生物 免疫系による生体防御のしくみを説明できる。
15週 タンパク質の分子改質(逆転写酵素、DNAポリメラーゼ) 逆転写酵素やDNAポリメラーゼについて機能改変例を知る。 MCC V-E-6 基礎生物 酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。
16週 期末試験[1] 期末試験を行う。

評価割合

定期試験(期末試験)中間試験予習復習課題合計
総合評価割合50500100
基礎的理解3030060
応用力(実践・専門・融合)2020040
社会性(プレゼン・コミュニケーション・PBL)0000
主体的・継続的学習意欲0000