建設工学基礎

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 建設工学基礎
科目番号 R02C117 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 都市・環境工学科 対象学年 1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 (教科書)嵯峨晃ら,「構造力学Ⅰ」,コロナ社/(参考図書)必要に応じて紹介する
担当教員 名木野 晴暢

到達目標

(1) 数の基礎を理解できる.(定期試験・課題)
(2) 工学で扱う数量の誤差を理解でき,有効数字を考慮した四則演算ができる.(定期試験・課題)
(3) 構造力学の基本事項(構造物の分類,荷重の抽象化,荷重の分類)を理解できる.(定期試験・課題)
(4) 力の定義,力の基本原理,力の合成,力の分解を理解でき,基本的な問題を解くことができる.(定期試験・課題)
(5) 力のモーメント,偶力のモーメントとVarignonの定理を理解でき,基本的な問題を解くことができる.(定期試験・課題)
(6) 物体(剛体)に作用するいくつかの力の合力の三要素を計算でき,力の効果を理解できる.(定期試験・課題)
(7) 物体(剛体)に作用する分布力の合力の三要素を計算でき, 力の効果を理解できる.(定期試験・課題)
(8) つり合い条件式を用いて,静止している物体(剛体)に作用する外力を計算することができる.(定期試験・課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
数の理解自然数,整数,有理数,実数および複素数を理解できる.自然数,整数,有理数および実数を理解できる.数の基礎を理解できない.
工学で扱う数量とその基本的な計算方法の理解与えられた問題と計算回数に対して誤差を意識しながら有効数字を考慮した数量の四則演算ができる.有効数字を考慮した数量の四則演算ができる.工学で扱う数量の誤差と有効数字の関係を理解できない.
構造力学の基本事項の理解構造物の分類ができ,荷重の抽象化と荷重の分類も理解できる.材料の面および構成部材の面から構造物を分類できる.構造力学の基本事項(構造物の分類,荷重の抽象化,荷重の分類)を理解できない.
力の理解力の定義,力の基本原理,力の合成,力の分解を理解でき,基本的な問題を解くことができる.力の定義と力の基本原理を理解でき,基本的な問題を解くことができる.力を理解できない.
力のモーメントの理解力のモーメント,偶力のモーメントとVarignonの定理を理解でき,基本的な問題を解くことができる.力のモーメントと偶力のモーメントを理解でき,それらの大きさと方向を計算することができる.力のモーメントを理解できない.
物体(剛体)に作用するいくつかの力の合力の三要素の理解物体(剛体)に作用するいくつかの力の合力の三要素を計算することができ,力の効果を理解できる.物体(剛体)に作用するいくつかの力の合力の三要素を計算することができる.物体(剛体)に作用するいくつかの力の合力の三要素を計算できない.
物体(剛体)に作用する分布力の合力の三要素の理解分布力の合力の三要素を計算でき, 力の効果を理解できる.分布力の合力の大きさと,その方向を計算することができる.分布力の合力を理解できない.
平面内にある物体のつり合い条件式の理解についてつり合い条件式から物体に作用する外力の三要素を調べることができる.つり合い条件式から物体に作用する外力の大きさを調べることができる.つり合い条件式を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
土木工学では,安全性と安心性を有する社会基盤を設計・施工するために”構造力学”,”土質力学”,”水理学”などの力学系基礎科目を学ぶ.その軸になるのは,一年次に学ぶ物理Iで学ぶ力学(Newtonの古典力学)である.それゆえに,力学を正しく理解することは重要である.合わせて,数量的(定量的)な情報の取り扱いが求められることになるため”数”を正しく理解し,誤差を念頭に置いた数量の計算ができなければならない.これらのことを踏まえて,本授業は先に物理Iで学んでいる力学の知識を基礎として,物体(剛体)に作用する力の効果と,それが静止するための条件(力のつり合い条件)について学ぶ.また,自然現象の多くは”数学という言葉(数式)”で表されるという事実から,授業は主に数式(いわゆる記号)を用いて説明し,それを数量にすることで力学的な考察をする.なお,本科目は,アグリエンジニアリング教育及び災害レジリエントマインド教育の対応科目である.(AE科目)(RM科目)

(科目情報)
授業時間23.25時間
AE科目/RM科目

授業の進め方・方法:
(1) 授業形式で説明した後,授業担当教員が作成した独自の演習問題または教科書の章末問題などを解くことで理解を深める.
(2) 授業中では,数学や物理・化学の授業と同様に記号による説明を多く用いる.これは,数式を記号ではなく言葉として捉えられるようになることを意図したものである.

(総合評価)
総合評価は,次式によって算出する.
総合評価 = (2回の定期試験の平均点)× 0.7 +(課題の平均点)×0.3

(再試験について)
再試験の受験資格は,次の二つの条件を満たす者に与える.
(1) 全ての課題が提出されており,授業への取り組み姿勢が十分であると認められる者
(2) 総合評価が50点以上の者

注意点:
(履修上の注意)
(1) 授業用のノート(原則としてA4サイズ)を準備する.このノートは,3年次の構造力学Iのノートとして使う.ALH等で質問にくる際には,教科書と授業ノートを必ず持参すること.
(2) 数学,力学,構造力学・土質力学・水理学は社会基盤構造物の設計・施工・維持管理および防災・減災にあたって欠かすことのできない重要な基礎知識である.基礎知識は段階的に積み重ねて習得するものであり,学習にはかなりの辛抱を要する.そのため,常日頃から予習・復習することが必要不可欠である.
(3) 授業中に疑問に思うことや分からないことがあれば質問してよい.質問は歓迎する.また,こちらからも理解を促すような質問を心掛けるので,間違いを気にせずに自分の考えを答えること.必要に応じてクラス全員で議論し,理解を深めていくことを期待する.
(4) 演習では電卓を用いることがあるため,準備しておくこと.

(自学上の注意)
(1) 授業後の復習(授業内容の整理と理解)を行うこと.
(2) 課題を通して理解度を深めること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス
都市・環境工学概論の復習(土木工学とは)
自然災害と防災・減災(課題)
(1) 授業計画と評価方法を理解できる.
(2) 土木工学とは何かを説明できる.
(3) 自然災害と防災・減災を理解することができる.
2週 数学を学ぶ理由・数学の必要性
数(自然数,整数,有理数,実数と複素数)
言葉としての数式
※ 説明後演習
(1) 土木工学における数学の必要性を理解することができる.
(2) 数(自然数,整数,有理数,実数と複素数)を理解することができる.
3週 工学で扱う数量の誤差と有効数字
科学的表記
※ 説明後演習
(1) 工学で扱う数量の誤差と有効数字を理解することができる.
(2) 科学的表記を理解することができる.
4週 有効数字を意識した数量の四則演算
※ 説明後演習
(1) 有効数字を意識した数量の四則演算をすることができる.
5週 1.1 構造力学とは
1.1.1 構造力学とは
1.1.2 構造物の分類
1.1.3 線構造の例
(1) 構造力学を学ぶ理由を理解できる.
(2) 構造物の分類を理解することができる.
(3) 線構造と外力・変形の関係を理解することができる.
6週 1.2 荷重
1.2.1 荷重の抽象化
1.2.2 荷重の分類
(1) 抽象化された荷重を理解することができる.
(2) 荷重の分類を理解することができる.
7週 力学とは

1.3 力のつりあい
1.3.1 力の定義
1.3.2 力の単位
1.3.3 力の三要素
1.3.4 力の基本原理(平行四辺形の法則を除く)
※ 説明後演習
(1) 力の定義およびその単位を理解できる.
(2) 力の三要素を理解できる.
(3) 力の基本原理を理解できる.
8週 後期中間試験 これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する.
4thQ
9週 後期中間試験の解説

1.3.6 力の合成と分解
[1] 力の合成(平行四辺形の法則)
[2] 力の分解
※ 説明後演習
(1) 分からなかった部分を理解することができる.また,今後同様の問題が出題されたときは,正しい考え方に基づいて解答することができる.
(2) 二つの力の合成を理解することができ,合力の三要素を求めることができる.
(3) ある一つの力の分力を理解することができ,分力を計算することができる.
10週 1.3.7 一点に会する多くの力の合成
※ 説明後演習
(1) 一点に会する多くの力の合力の大きさ,方向と作用点を計算することができる.
11週 1.3.5 力のモーメント
[1] 力のモーメント
[2] 偶力のモーメント
[3] Varignonの定理
※ 説明後演習
(1) 力のモーメントを理解することができ,ある点に関する力のモーメントの大きさと方向を求めることができる.
(2) 偶力のモーメントを理解することができ,これの大きさを計算することができる.
(3) Varignonの定理を理解できる.
(4) Varignonの定理を用いて,平行するいくつかの力の合力の作用点を計算することができる.
12週 1.3.8 一点に会さない多くの力の合成
※ 説明後演習
(1) 一点に会さない多くの力の合力の大きさ,方向と作用点を計算することができる.
13週 分布力の合力と,その作用点(pp.27-28)
※ 説明後演習
(1) 分布力の合力の大きさ,方向と作用点を求めることができる.
14週 物体に作用する力とその効果

1.3.9 力のつりあい
[1] 平面内にある物体のつり合い条件式
[2] 静止している物体に作用する外力
※ 説明後演習
(1) 物体に作用する力と,これによる効果(物体の運動)を理解することができる.
(2) 同一平面内に多くの力が作用する物体のつり合い条件式を理解することができる.
(3) つり合い条件式を用いて,静止している物体に作用する外力を調べることができる.
15週 学年末試験 これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する.
16週 学年末試験の解説 分からなかった部分を理解することができる.また,今後同様の問題が出題されたときは,正しい考え方に基づいて解答することができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力40040
専門的能力303060