1年生のものづくり基礎工学では、化学実験を経験し化学のおもしろさを体感することが大きな目標であったが、2年生の物質工学基礎実験Ⅰ・Ⅱでは、各分野の基本的な実験単位操作を学び、3年生の物質工学実験Ⅰ・Ⅱ、4年生の物質工学実験III・IVで行うより高度な実験操作に対応するための基礎をつくることを目標とする。
概要:
1年生のものづくり基礎工学で化学のおもしろさを学んだあと、本科目では各分野の実験における基本的な単位操作を学び、操作スキルを確実に身につける。また、3年生の「物質工学実験Ⅰ・Ⅱ」では基本的な単位操作を組み合わせた実験を行い、実験の再現が可能な実験操作手順を示すことが求められるので、その前段階として各単位操作の原理を理解する科目とも位置づけている。
授業の進め方・方法:
実験前講義で各実験の原理と方法を説明した後、実際に実験を行う。実験前講義は合計3回行い、その際に演習問題を課すこともある。実験前レポート、実験後レポートの提出は必須である。
注意点:
実験実習では専用の実験ノートを用意すること。指示された持ち物を忘れないこと。事故や危険を避けるため指導者の指示を忠実に守ること。実験計画の提出がない者には実験させない。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンスと安全講習 実験前講義:誤差、ガラス器具の取り扱い、用途、容量測定について
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化学実験に潜む危険を学ぶ。 器具の基本的な特徴を理解する。
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2週 |
実験1-1:定量分析に必須のガラス器具(メスフラスコ、ホールピペット、ビュレット)の取扱い方の習得 |
ガラス器具操作への慣れと精度の高い測定技能を習得する。
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3週 |
実験1-2:各種ガラス器具による水の体積測定 (ビーカー、メスフラスコ、ホールピペット、メスシリンダー) |
ガラス器具操作への慣れと精度の高い測定技能を習得する。
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4週 |
実験前講義:標準溶液の測定、水酸化ナトリウム溶液の調製と濃度測定、希塩酸の調製と濃度測定に関する講義 |
中和滴定の原理を理解する。中和点を計算で求めることができる。
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5週 |
実験2-1:水酸化ナトリウム溶液の調製および標定、フタル酸水素カリウム標準溶液の調製 |
試薬の調製ができる。水酸化ナトリウム水溶液の標定ができる。
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6週 |
実験2-2:0.1 mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いる食酢の酸濃度の決定 |
中和滴定で濃度を定量できる。
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7週 |
実験3-1:希塩酸の調製および標定、炭酸ナトリウム標準溶液の調製 |
試薬の調製ができる。希塩酸の標定ができる。
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8週 |
実験3-2:0.1 mol/L塩酸を用いる人工ソーダ灰の定量分析 |
中和滴定で濃度を定量できる。
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2ndQ |
9週 |
レポート作成 |
実験操作を適切な文章で表現し、結果を見やすくまとめる
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10週 |
実験前講義:電離とpH、ファラデーの法則に関する講義 |
強酸と弱酸のpHの理論値を求めることができる。ファラデーの法則を理解する。
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11週 |
実験4-1:電気めっき |
電気めっきの実験でファラデーの法則を説明できる。
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12週 |
実験4-2:各種溶液のpH測定、強酸と弱酸の希釈 |
電離とpHについて理解する。
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13週 |
レポート作成 |
実験操作を適切な文章で表現し、結果を見やすくまとめる
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14週 |
動画撮影 |
情報を適切に処理できる。
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15週 |
講評 |
実験実習および情報実習について振り返り、後期の実習に向けた課題を明確にする。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学実験 | 化学実験 | 実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。 | 3 | |
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。 | 3 | |
測定と測定値の取り扱いができる。 | 3 | |
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。 | 3 | |
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。 | 3 | |
ガラス器具の取り扱いができる。 | 3 | |
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。 | 3 | |
試薬の調製ができる。 | 3 | |
工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 4 | 前6,前7,前8,前9 |
物理化学実験 | 温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。 | 3 | |