物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0061 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 P. W. Atkins, J. de Paula「アトキンス物理化学要論(第7版)」(千原秀昭,稲葉章,鈴木晴 訳),東京化学同人
担当教員 井手 智仁

到達目標

(1) 気体の性質を理解し,理想気体の状態方程式の利用して混合気体の分圧の計算できる.また,理想気体と実在気体との違いの説明ができる.
(2) 熱力学第一法則の定義と適用方法を理解し,標準生成エンタルピーやエンタルピーの温度依存性の計算ができる.また,熱容量の適用と使用方法を説明できる.
(3) 熱力学第二,第三法則を理解しエントロピーの計算ができる.また,ギブズエネルギーを利用して化学反応の方向を予測できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
気体の法則気体分子運動論,状態方程式,実在気体についての複雑な計算や導出も含めた説明ができる気体分子運動論,状態方程式,実在気体についての計算や説明ができる気体分子運動論,状態方程式,実在気体についての単純な計算や説明ができる気体分子運動論,状態方程式,実在気体について説明できない
熱力学第一法則内部エネルギーについて微視的に説明できる.熱力学第一法則を様々な系に適用して計算できる.内部エネルギーについて説明できる.熱力学第一法則を適用して計算できる.内部エネルギーについて単純な説明ができる.熱力学第一法則を利用した計算ができる.内部エネルギーについて説明できない.熱力学第一法則を利用できない.
エンタルピー系のエンタルピー変化や結合エンタルピーを利用して計算と議論ができる.系のエンタルピー変化や結合エンタルピーを利用して計算ができる.系のエンタルピー変化や結合エンタルピーを利用した単純な計算ができる.系のエンタルピー変化や結合エンタルピーを利用できない.
熱力学第二法則エントロピーやギブズエネルギーを理解し,応用した議論ができる.エントロピーやギブズエネルギーを理解して利用できる.エントロピーやギブズエネルギーについて説明できる.エントロピーやギブズエネルギーについて説明できない.
ギブズエネルギー物理過程,化学過程におけるギブズエネルギー変化を計算し,議論することができる.物理過程,化学過程におけるギブズエネルギー変化を計算できる.単純な物理過程,化学過程におけるギブズエネルギー変化を計算できる.単純な物理過程,化学過程におけるギブズエネルギー変化を計算できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
気体の法則を復習し,これを展開して熱力学第一法則および第二法則を中心に,物理化学の基礎である熱力学の初歩を学ぶ.
授業の進め方・方法:
教科書とスライド資料に基づき説明を行い,適宜演習問題を解く.
注意点:
本科目はこれまでに学習した化学,物理,数学を基礎として化学現象を定量的に記述することを目指す科目である.簡単な微分積分,対数・指数の計算は物理化学を学習する上で必要不可欠であるし,気体の性質は熱力学の基盤として重要である.各自,復習に努めるものとする.
また,演習および定期試験では関数電卓を使用するので常に持参しなければならない.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクションと基礎的概念 物理化学の基礎となる,物質の状態やエネルギーなどの概念を理解できる.
2週 (気体の性質)気体の法則 気体分子運動論の説明ができる.気体の様々な法則をもとに状態方程式を導出できる.
3週 (気体の性質)完全気体と実在気体 van der Waals状態方程式,ビリアル状態方程式を理解し,特定条件下における各変数の値を求められる.分子間力について説明することができる.
4週 (熱力学第一法則)系と内部エネルギー エネルギーの形態と系の種類について説明することができる.また,内部エネルギーの微視的な説明ができる.
5週 (熱力学第一法則)エネルギー保存則の利用 熱力学におけるエネルギー保存則を理解し,熱,仕事が与えられたときの系の内部エネルギー変化の計算ができる
6週 (熱力学第一法則)様々な変化 等温,断熱,定圧,定積過程の違いを説明でき,それぞれに熱力学第一法則を適用できる.
7週 (エンタルピー)エンタルピーの導入 エンタルピーの定義を理解し,開放系におけるエンタルピー変化を計算できる.
8週 中間試験 中間試験を受験し,十分な得点をとる.
2ndQ
9週 (エンタルピー)エンタルピーの応用:物理変化とイオン化 物理変化過程,原子のイオン化過程におけるエンタルピー変化を計算できる.
10週 (エンタルピー)エンタルピーの応用:結合エネルギーの利用 結合エネルギーや平均結合エネルギーを利用して化学反応の反応エンタルピーを計算できる.
11週 (エンタルピー)エンタルピーの応用:化学反応 燃焼や化学反応におけるエンタルピー変化を計算できる.
12週 (熱力学第二法則)エントロピーの導入 第二法則とエントロピーの概念を説明することができる.
13週 (熱力学第二法則)エントロピーとギブズエネルギー 全エントロピーとギブズエネルギーの概念について説明することができる.
14週 (ギブズエネルギー)ギブズエネルギーと物理変化 ギブズエネルギーを用いて相変化の起こる方向を示すことができる.
15週 (ギブズエネルギー)ギブズエネルギーと化学反応 ギブズエネルギーを用いて化学反応の起こる方向を示すことができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4前2
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4前3
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4前4,前5
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4前6
混合気体の分圧の計算ができる。4前2
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4前9
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4前10,前11,前12
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4前13
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4前11
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4前4
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4後1,後2,後4
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4後2
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4後3
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4後5,後6
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4

評価割合

定期試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力4040
専門的能力6060