概要:
機械工学はものづくりに関する幅広い学問である。電子制御技術や情報技術の急速な進歩の中にあって、機械技術の重要性はますます高まりつつあります。授業では、エネルギー管理士(熱分野)の試験科目である「熱と流体の流れの基礎」「燃料と燃焼」「熱利用設備及びその管理」について、他分野を専門とする学生に要点を講義し、例題や演習を通して機械工学の熱力学、流体工学、計測・制御工学の基本的な考え方と基礎知識を修得させる。
授業の進め方・方法:
事前に配布する講義資料をもとに授業を進める。講義資料はそれぞれの頻出するテーマごとに、①要点を整理する。②例題を解くことで基本事項の理解を深める。③演習問題を解くことで、実践力を養う。という3段階で構成する。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
試験の成績を70%、平素の学習状況(課題・小テスト等)を30%の割合で総合的に評価する。
技術者が身につけるべき専門基礎として、到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
事前学習:講義資料の要点を読み、それに関する例題に解答し、発表できるように準備する。
事後学習:演習問題に解答する。
【学修単位科目(授業時間外の学習時間等)】
本科目は学修単位のため,以下の標準学習時間を設定した自主学習を累計45時間分以上実施して提出しなければならない。
・全15回の授業に対して,1.0時間の事前学習と1.0時間の事後学習。計30時間分。
・8回ごとに総まとめ課題を提出。各7.5時間,合計15時間分。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
1.熱と流体の流れの基礎:熱力学の基礎(熱エネルギーの単位と状態式、熱力学の第1法則、熱力学の第2法則、ガスサイクル)について学ぶ。 |
理想気体の状態方程式を説明でき、熱力学の第1法則および第2法則を説明できる。
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2週 |
1.熱と流体の流れの基礎:熱力学の基礎(蒸気と蒸気サイクル、コンバインドサイクル、冷凍サイクルとヒートポンプ)について学ぶ。 |
水の等圧及び等温の蒸発過程が説明でき、蒸気の状態量を蒸気表及び蒸気線図から読み取ることができる。
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3週 |
1.熱と流体の流れの基礎:流体工学の基礎(流体の物性、流れの様相、基礎方程式、粘性流体の流れ、ポンプと送風機)について学ぶ。 |
質量保存則と連続の式及びエネルギー保存則とベルヌーイの式を説明できる。
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4週 |
1.熱と流体の流れの基礎:伝熱工学の基礎(熱伝導、熱伝達、熱輻射)について学ぶ。 |
伝熱の基本形態を理解し、各形態における伝熱機構を説明できる。
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5週 |
1.熱と流体の流れの基礎:【演習】 |
熱と流体の流れの基礎に関する基本的な問題を解くことができる。
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6週 |
2.燃料と燃焼:燃料(燃料の種類と特徴、気体・液体・固体燃料、燃料の試験方法)について学ぶ。 |
各種気体燃料、液体燃料、固体燃料の種類と特徴、分類を説明できる。
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7週 |
2.燃料と燃焼:燃焼管理(気体・液体・固体燃料の燃焼、燃料燃焼装置、燃焼ガス分析法、環境対策)について学ぶ。 |
各種気体燃料、液体燃料、固体燃料の各種燃焼方式やその特徴を説明できる。
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8週 |
2.燃料と燃焼:燃焼計算①(燃焼計算法)について学ぶ。 |
気体燃料や液体燃料を燃焼させるときの理論酸素量や理論空気量、空気比、燃焼ガス量、燃焼ガス温度の計算ができる。
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2ndQ |
9週 |
2.燃料と燃焼:燃焼計算②(燃焼計算法及び燃焼ガス温度)について学ぶ。 |
気体燃料や液体燃料を燃焼させるときの理論酸素量や理論空気量、空気比、燃焼ガス量、燃焼ガス温度の計算ができる。
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10週 |
2.燃料と燃焼:【演習】 |
燃料と燃焼に関する基本的な問題を解くことができる。
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11週 |
3.熱利用設備及びその管理:計測(温度計測、各種温度計、流量計・圧力計)について学ぶ。 |
温度、流量、圧力などの計測方法と計測機器を説明できる。
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12週 |
3.熱利用設備及びその管理:制御(自動制御)について学ぶ。 |
自動制御の定義と種類を説明できる。
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13週 |
3.熱利用設備及びその管理:熱利用設備①(ボイラ、蒸気原動機、内燃機関・ガスタービン)について学ぶ。 |
熱機関のサイクルについて説明でき、熱効率を計算できる。
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14週 |
3.熱利用設備及びその管理:熱利用設備①(熱交換器・熱回収、冷凍・空気調和)について学ぶ。 |
熱交換器の温度効率やエネルギー効率の計算ができ、また冷凍機(圧縮式・吸収式)の動作原理を説明できる。
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15週 |
3.熱利用設備及びその管理:【演習】 |
熱利用設備及びその管理に関する基本的な問題を解くことができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 力学 | 荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。 | 3 | |
応力とひずみを説明できる。 | 3 | |
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。 | 3 | |
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。 | 3 | |
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。 | 3 | |
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。 | 3 | |
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。 | 3 | |
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。 | 3 | |
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。 | 3 | |
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。 | 3 | |
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。 | 3 | |
多軸応力の意味を説明できる。 | 3 | |
二軸応力について、任意の斜面上に作用する応力、主応力と主せん断応力をモールの応力円を用いて計算できる。 | 3 | |
部材が曲げやねじりを受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。 | 3 | |
カスティリアノの定理を理解し、不静定はりの問題などに適用できる。 | 3 | |
振動の種類および調和振動を説明できる。 | 3 | |
不減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。 | 3 | |
減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。 | 3 | |
調和外力による減衰系の強制振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。 | 3 | |
調和変位による減衰系の強制振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。 | 3 | |
熱流体 | 流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。 | 3 | |
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。 | 3 | |
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。 | 3 | |
層流と乱流の違いを説明できる。 | 3 | |
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。 | 3 | |
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。 | 3 | |
熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。 | 3 | |
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。 | 3 | |
熱力学の第一法則を説明できる。 | 3 | |
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。 | 3 | |
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。 | 3 | |
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。 | 3 | |
熱力学の第二法則を説明できる。 | 3 | |
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。 | 3 | |
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。 | 3 | |