倫理学

科目基礎情報

学校 長野工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 倫理学
科目番号 0058 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 一般科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 指定しない.毎回資料を配布する.
担当教員 嶋﨑 太一

到達目標

倫理学の基本的な考え方を理解した上で,技術とは何か,技術者はいかにあるべきか,技術者がもつべき倫理とは何かを考察できるようになること,科学技術に対して自ら倫理学的に探究できる.これをもって,学習・教育目標(B-1)および(B-2)の達成とする.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
倫理学の基本的な考え方について理解できる.倫理学の基本的な考え方について,先哲の思想を踏まえて十分に理解している.倫理学の基本的な考え方について.おおむね理解している.倫理学の基本的な考え方について理解していない.
科学技術が自然環境や人間社会に与える影響や,それに伴う倫理的課題について考えることができる.科学技術の社会的影響や倫理的課題について論理的に十分に考察できる.科学技術の社会的影響や倫理的課題を,おおむね考察できる.科学技術の社会的影響や倫理的課題を考えられていない.
技術者はいかにあるべきかについて主体的に探究することができる.技術者はいかにあるべきかについて、倫理学および科学技術の特質の両面から深く探究できる.技術者はいかにあるべきかについて,おおむね探究できる.技術者はいかにあるべきかについて探究できない.

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
義務論や功利主義,徳倫理など倫理学の基本的な立場を事例を踏まえて考察した上で,科学技術の軍事利用,科学技術の自然環境や社会への影響,技術者の社会的責任など科学技術を倫理学的に検討する.本科目は,高等学校で公民科教育に携わった経験のある教員が,その経験を活かし,現代社会の実態などを踏まえて倫理的問題について教授するものである.
授業の進め方・方法:
倫理学とは,規範や価値に関する哲学的探究である.「…すべき」や「…しなければならない」とは,いったい何を意味しているのだろうか.
倫理的な問題はどこにでもあふれている.場当たり的ではない,確固たる思想をもって倫理的な判断をする姿勢を身につけてもらいたいと思っている.
本授業は,「技術者倫理」を主題とするが,狭義の技術者倫理のみならず,様々な哲学観や社会観を学ぶことを通して,自ら考え抜くことを重視する.
・授業方法は講義を中心とするが,質問に答えてもらったり,周囲と対話しながら自らの考えを表明する機会を設けるので,積極的な姿勢で受講してもらいたい.なお事実ではなく価値を扱うという倫理学の性質上,教員の言明をも相対化しつつ自ら考える姿勢が求められる.
・授業では適宜,「ケーススタディ」を活用する.事例について主体的に考察してもらいたい.
・授業では毎回,コメントを求める.次の授業でそれに適宜応答する.そのコメントを通して授業が膨らんでいくような,そういう授業が望ましい授業だと,授業者は考えている.
・適宜,課題を課すので,期限に遅れず提出すること.

なお,この科目は学修単位科目であり,授業時間30時間に加えて,自学自習時間60時間が必要である.事前・事後学習として課題等を与える.
注意点:
<成績評価>期末試験(70%),平常点(30%)で(B-1)および(B-2)を評価し,6割以上の得点で合格とする.平常点は,課題レポート等によって評価する.
<オフィスアワー> 木曜日 16:00 ~ 17:00
<先修科目・後修科目>先修科目は世界史,日本史および現代社会


授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 技術者倫理を学ぶ意義 倫理学とは何か,なぜ技術者に倫理学が必要なのかを理解する.
2週 科学技術とは何か 科学技術の本質,科学技術の発達の思想史的背景を理解する.
3週 価値とは何か(ソクラテス,プラトンの倫理学) ソクラテスおよびプラトンを手掛かりに,よく生きること,正義について理解する.
4週 徳とは何か,正義とは何か(アリストテレスの倫理学) アリストテレスを手掛かりに、徳や正義について理解する.
5週 義務とは何か(カントの倫理学) カント倫理学の基礎を理解し,義務論的倫理学の特質について考える.
6週 幸福と道徳はいかに関係するか(功利主義的倫理学) ベンサムおよびミルの倫理学の基礎を理解し,功利主義的倫理学(目的論的倫理学)の特質について考える.
7週 正義とは何か(ロールズの正義論) ロールズの正義論とそれに対する批判を理解する.
8週 自由と社会の在り方 徳倫理やコミュニタリアニズムの思想を理解する.
4thQ
9週 技術と責任 科学技術における「責任」について,SDGsや製造物責任なども含めて考える.
10週 科学技術と平和 科学技術の軍事利用の問題を含め,科学技術と平和の関係について考える.
11週 ロボット,AIと倫理 ロボットやAI技術の進歩がもたらす社会倫理への影響やそれらの開発の倫理的課題について考える.
12週 情報倫理 ビッグ・データ社会の情報倫理について考える.
13週 環境倫理 生態系への影響など地球的規模での環境倫理を,予防原則や世代間倫理なども含めて考える.
14週 生命倫理と科学技術 生命倫理の基本問題と科学技術との関係について考える.
15週 研究倫理 研究倫理,研究公正について理解する.
16週 学年末達成度試験 達成度を確認する.

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合7030100
配点7030100