到達目標
論理学の初歩的な項目を理解し,社会事象を論理的に推論したり,表現したりすることができる.これをもって学習・教育目標(A-1)の達成とする.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
正しい推論と誤謬について理解できる. | 正しい推論と誤謬について的確に理解している. | 正しい推論と誤謬についておおむね理解している. | 正しい推論と誤謬について理解できていない. |
記号を用いた論理式を操作することができる. | 記号を用いた論理式を的確に操作できる. | 記号を用いた論理式をおおむね操作できる. | 記号を用いた論理式を操作することができない. |
文章の論理構造を理解し批判ができる. | 文章の論理構造を理解し的確な批判ができる. | 文章の論理構造をおおむね理解できる. | 文章の論理構造を理解できない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
「人間はいつか死んでしまう,私は人間である,ゆえに私はいつか死んでしまう」―哀しい真理です.ところで,なぜこれは真理だと言えるのでしょうか.
上記のような問題を出発点として,論理的思考力を養うために,記号論理学の初歩的内容を学びます.また,現代の様相論理の世界を体験し,世界を論理的に眺め,分析するとはいかなることかを検討します.
世界は論理という秩序でもって成立しています.技術も,当然のことながら,論理によって成立しています.
論理学は我々の思考の筋道を,ごくわずかな記号で抽象化して探る学問です.
「はじめに言葉があった,言葉は神とともにあった,言葉は神であった」とヨハネによる福音書は語っています.
我々は,言葉とともに存在し,言葉とともに世界を形成しています.
それでは,我々の言語を秩序あるものとしている規則にはどのようなものがあるのでしょうか.
こうした学びを通して,言語に対する感覚や思考力を磨いてもらいたいと思っています.
この授業を通して,専門的技術を学ぶ上で基礎となる思考力が少しでも向上することを期待しています.
授業の進め方・方法:
・講義を中心に進めるが,問題演習の時間を設ける.
・論理を学ぶとは,知識を得るというよりも,まさに思考法の「トレーニング」にほかならない.それゆえ,自ら思考し,積極的に理解しようとする姿勢を持たなければならない.
・論理学の内容は系統的であり,前提となる学習事項を理解できていなければその次の学習事項を理解できない.そのため,不明点はその都度解決し,理解に努めること.質問を歓迎する.
(一般に「文系」と区分される分野ですが,実際には数学的な思考力を要する場面も少なくありません.最初は戸惑うことも多いと思うので,ぜひ積極的に質問してください.)
・なお,この科目は学修単位科目であり,授業時間30時間に加えて,自学自習時間60時間が必要である.事前・事後学習として課題等を与える.
注意点:
<成績評価>半期計2~3回のレポート(70%)と平常点(授業時の問題演習,課題提出)(30%)の合計100点満点で(A-1)を評価し,6割以上の得点で合格とする.
<オフィスアワー> 木曜日 16:00 ~ 17:00 (この時間に限らず来室可.他高専学生については,別途指示します)
<先修科目・後修科目>先修科目は現代社会
※他高専学生については,特に前提となる科目はありません.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
思考と言語 |
考えるとは何か,正しい推論とは何かについて理解する.
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2週 |
論理的思考演習 |
論理的思考力を要する演習問題を解き,論理的に考えるとは何かについて理解する.
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3週 |
「私がいつか死んでしまう」とはどのような論理か(命題論理①) |
命題論理における連言,選言,条件法の考え方を理解する.
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4週 |
世界において真理を見つけること(命題論理②) |
命題論理における真理値分析の方法を理解する.
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5週 |
世界を証明するということ(命題論理③) |
命題論理における自然演繹の方法を理解する.
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6週 |
「すべて」と「ある」(命題論理から述語論理へ) |
伝統的論理学(名辞論理)と命題論理との比較を通して,述語論理の特徴を理解する.
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7週 |
事象は世界において量と共に存在する(述語論理①) |
述語論理における量化について理解する.
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8週 |
「私があなたを愛する」とはどのような論理か(述語論理②) |
述語論理における多重量化について理解する.
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4thQ |
9週 |
数学を述語論理で表現する(述語論理③) |
述語論理の数学的適用について理解する.
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10週 |
述語論理で複雑な世界を表現する(述語論理④) |
述語論理における,命題関数を複数使用した表現法について理解する.
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11週 |
単なる事実よりも一歩先へ(様相論理①) |
様相論理が目指すものについて理解する.
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12週 |
世界の複数性について(様相論理②) |
様相論理における可能世界意味論について理解する.
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13週 |
倫理的に理想的な世界から現実世界を見る(様相論理③) |
様相論理の変種としての義務論理の概要を理解する.
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14週 |
過去や未来を表現するとはどのようなことか(様相論理④) |
様相論理からの発展としての時制論理の概要を理解する.
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15週 |
論理から倫理へ |
論理学の知見を用いて,倫理について考える.
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16週 |
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評価割合
| レポート | 平常点 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
配点 | 70 | 30 | 100 |