有機化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 有機化学Ⅲ
科目番号 0067 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 クライン有機化学上・下(David R. Klein著、岩澤伸治監訳)/ ボルハルト・ショアー、ウォーレンなど一般的な有機化学教科書
担当教員 亀井 稔之

到達目標

前期中間試験:12章から14章を理解する。
前期末試験: 14章の残りと17章から18章を理解する。
後期中間試験:19章から20章を理解する。
学年末試験: 21章から22章を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1反応式を見て反応、反応機構がわかる反応式を見て生成物がわかる反応式を見ても生成物がわからない
評価項目2人名反応がほぼ理解できている人名反応がある程度理解できている人名反応が理解できていない
評価項目3平衡反応の反応機構を酸性度を使って説明できる平衡反応の反応機構を酸性度を使って説明できる平衡反応の反応機構を酸性度を使って説明できる

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機化合物の構造から推定できることをまず,理解させ,構造を見ただけで,反応性を予測させる。電
子対を移動させる矢印を用いて,反応の各段階を示すことが出来るように指導する。

*実務との関係
この科目は企業で、創薬研究を担当していた教員が、その経験を活かし、新薬の化学合成に必要である有機合成化学の内容に関して、講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
講義形式で授業を進める。重要なところは演習形式をとる。
定期試験勉強をかねて章末問題を演習問題を各自進める、その提出ノート(ルーズリーフでも可)を用意する。解答に関しては図書館に答えがあるので、空いている時間に自分で答え合わせをする。
ノートは定期試験ごとに提出し、評価する。
これまでの有機化学の基礎的な内容(電子的な効果、軌道矢印の書き方)を理解しているとして進める。非常に内容が濃いため、予習復習をきっちりとすること。
特にこれまでのところを理解していない場合は、授業が全く理解できない可能性があるので、空き時間をとって復習しておくこと。
注意点:
関連科目
化学、有機化学Ⅰ、有機化学Ⅱ、有機材料合成化学
学習指針
反応の矢印が書けるように、なぜその方向に反応が進むのかを理解しながら学習すること
自己学習
適宜、章末問題など演習を行っておくこと。理解が難しい場合はボルハルトショアー、ウォーレンなどで該当箇所を学習すること。
事前学習:次回の範囲にあたる部分の教科書を読む。
事後展開学習:学習内容の演習を解くとともに、章末演習問題も挑戦する。

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、合成戦略(12章) 官能基変換、逆合成解析
2週 アルコール(13章) アルコール命名、性質、酸性度、アルコールの合成
3週 アルコール(13章) 酸化数、金属還元剤、Grignard反応剤
4週 アルコール(13章) 保護基、ハロゲン化、酸化
5週 エーテル(14章) エーテルの命名、性質、反応(Williamsonエーテル合成)
6週 エポキシド(14章) エポキシドの命名、合成、ハロヒドリン
7週 エポキシド(14章)、チオール エポキシドの反応、硫黄を持つ化合物
8週 試験
2ndQ
9週 共役化合物の反応(17章) ジエン、ハロゲン化水素の付加、速度論的支配と熱力学的支配
10週 共役化合物の反応(17章) 分子軌道とDiels-Alder
11週 芳香族化合物(18章) 芳香族化合物、ヒュッケル則と芳香族性
12週 芳香族化合物(18章) ベンジル位の反応(酸化、臭素化)とBirch還元
13週 芳香族化合物の反応(19章) 芳香族求電子置換反応(ブロモ化、スルホン化、ニトロ化とアニリンの合成)
14週 芳香族化合物の反応(19章) 芳香族求電子置換反応(Friedel-Craftsアルキル化、アシル化、クレメンゼン還元)
15週 試験
16週 芳香族化合物の反応(19章) 配向性、スルホン酸による保護
後期
3rdQ
1週 芳香族化合物の反応(19章) 芳香族求核置換反応とベンザイン
2週 アルデヒドとケトン(20章) アセタール、チオアセタール
3週 アルデヒドとケトン(20章) イミン、エナミン、ウォルフーキシュナー還元
4週 アルデヒドとケトン(20章) シアノヒドリン、バイヤービリガー酸化、Wittig反応
5週 カルボン酸とその誘導体(21章) 性質、カルボン酸の反応
6週 カルボン酸とその誘導体(21章) カルボン酸の合成と反応
7週 カルボン酸とその誘導体(21章) 酸ハロゲン化物の合成と反応、酸無水物の合成と反応
8週 返却
4thQ
9週 カルボン酸とその誘導体(21章) エステルの合成と反応
10週 カルボン酸とその誘導体(21章) エステルとGrignard、LAH
11週 エノラートの化学(22章) αーアニオン、ハロホルム反応、
12週 エノラートの化学(22章) アルドール反応、交差アルドール反応、クライゼン縮合、ディークマン縮合
13週 エノラートの化学(22章) アセト酢酸エステル合成、マロン酸エステル合成
14週 エノラートの化学(22章) 共役付加、ストークエナミン合成、ロビンソン環化
15週 試験
16週 返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学σ結合とπ結合について説明できる。4後15
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4後15
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4後15
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4後15
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4後15
共鳴構造について説明できる。4後15
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4後15
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4後15
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4後15
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4後15
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4後15
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4後15
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4後15
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4後15
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。4後15
反応機構に基づき、生成物が予測できる。4後15

評価割合

試験小テストレポート合計
総合評価割合702010100
基礎的能力20201050
専門的能力400040
分野横断的能力100010