固体化学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 固体化学
科目番号 0068 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 『アトキンス物理化学』上・下巻 東京化学同人
担当教員 石丸 裕士

到達目標

中間テスト範囲(①対称要素や対称操作が説明でき、簡単な分子の点群をシェーンフリース記号で表せる。②比較的簡単な点群の指標表が作成できる。③簡単な分子について各対称種の自由度から各運動様式の自由度が説明できる。④簡単な分子について基準振動とその対称性が説明できる。)
期末テスト範囲(①代表的な結晶系が図示でき、それぞれの必須対称要素や格子定数や密度が説明できる。②代表的な結晶系について面間隔と格子定数の関係が説明できる。③主な結晶構造が図示でき、配位数、静電結合強度、半径比、代表例などが説明できる。④X線回折データから、ブラベ格子の決定と格子定数や面間隔や密度が算出できる。)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
分子の対称性分子をその構造の対称性によって点群に分類し、シェーンフリース記号を用いて標記できる。また、点群から分子の形状を予想できる。分子の対称性(点群)を用いて、分子の極性や光学活性(キラリティ)について説明できる。分子構造中の対象要素を図示できる。対称要素やそれに対応した対称操作を記号で標記し、その意味を理解している。分子の対称要素や対称操作、シェーンフリース記号が理解できない。
群の表現(既約表現、可約表現)、指標、内積、大直交定理について、これらの定義や公式を説明できる。内積演算を行うことができる。 群の掛算表と連続した分子の対称操作との関係を理解している。相似変換によって分子の対称要素を類に分類するなど、分子の点群に応用ができる。群の4つの定義と主要な用語や性質(掛算表、要素、位数、類、相似変換)を理解して、これらを説明したり演算したりできる。群の定義がかけない
対称種および指標表指標表利用の応用として、簡単な分子の運動(並進・回転・振動)の対称性を対称種と関連付けて説明できる。分子の構造に関した各種応用問題ができる。 指標表に基づいて、分子の赤外活性とラマン活性を判断できる。 教科書の分子の対称性と点群に関した問題を解くことができる。 また、簡単な点群を国際表記でも記述できる。対称種および指標表の性質やその見方を理解し、Mullikenの対称種の標記や指標の意味するところを理解して説明できる。対称種の性質(対称種の次元,数、直交性など)を理解し、この性質を利用して、簡単な分子の点群について指標表を作成できる。指標表の見方が判らない
結晶系とブラベ格子結晶系とブラベ格子を対称性に基づいて理解できている。結晶系とブラベ格子を対称性に基づいて分類したり説明したりできる。 代表的な簡単な結晶(ダイモンド、MX型(塩化セシウム型、岩塩型、閃亜鉛型)、MX2型(螢石型、逆螢石型、ルチル型、酸化レニウム型)、複酸化物(ペロブスカイト、タングステンブロンズ、スピネル型等)について、結晶構造を図示してブラベ格子を示し、密度算出ができる。結晶系、ブラベ格子を図示したり説明したりできない
結晶面と面指数ベクトル解析で、右の項目を誘導できる。 結晶面と面指数の関係が図示できる。また、立方晶、斜方晶、正方晶、六方晶について格子定数を用いた面指数と面間隔の関係式が誘導でき、実際に計算できる。結晶面と面指数が理解できない。図示できない。
結晶構造因子から消滅則結晶構造因子と結晶中の電子密度分布との関係式を示し、フーリエ解析によりX線回折データから電子密度分布関数が得られることを定性的に理解している。 単純、面心、立方、底心格子や実在結晶の結晶構造因子を誘導できる。また、結晶構造因子とX線回折強度との関係や原子形状因子について説明できる。さらに、結晶構造因子から消滅則を誘導できる。 立方晶における3つのブラベ格子からのX線回折データの特徴を説明できる。 また、X線回折データから、ブラベ格子の決定と格子定数や密度算出ができる。 KClとNaClの結晶について、結晶構造因子を用いてその差を説明できる。消滅則を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
対称性について学んだ後、結晶構造の分類や三次元周期構造について学び、X線回折法の原理と解析法について体得する。主たる結晶構造の特徴や用途について学び、結晶構造に関する実験データから様々な物性が算出できるようになる。
授業の進め方・方法:
教科書の内容を説明すると共に、グループで学習内容について説明し合う時間や演習課題に取り組む時間も設ける。(遠隔授業中にはグループ学習が実施できない可能性あり)
注意点:
事前学習・・・あらかじめ講義内容に該当する部分の教科書を読み、前回の授業で配布された学習プリントを埋めておく。理解できるところ、理解できないところを明らかにしておく。
授業中・・・グループ活動は勿論、家庭学習向け課題にも能動的かつ積極的に取り組むことが必要である。学習プリントは授業後提出する。(遠隔授業中にはグループ学習が実施できない可能性あり)
事後展開学習・・・返却された学習プリントで理解できていなかった点を中心に復習すると共に、別途配布されるテスト対策プリントを自分で解き、テスト前に提出する。

学修単位の履修上の注意

自学自習の程度は、上記の学習プリントやテスト対策プリントで評価する。テスト対策プリントの出来映えは下記「自習課題」のポイントとして評価し、学習プリントの出来映えや授業中の取り組みは「授業取組」のポイントとして評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 分子の対称性と点群 対称要素と対称操作について説明できる。分子の対称がシェーンフリース表記で表記できる。
2週 群論と点群1 群の定義、掛算表、位数、分子の対称操作と掛算表などについて説明できる。
3週 群論と点群2 群の既約表現と指標表について説明できる。
4週 群論と点群3 分子の対称操作と掛算表について説明できる。
5週 群と指標表 指標表の作り方と、指標の直交性について説明できる。
6週 点群の応用 指標表を活用して分子の自由度が予測できる。
7週 中間試験 試験問題に関して正しく解答することができる。
8週 試験返却 理解が不十分な点が解消できる。
2ndQ
9週 結晶格子
結合の差による結晶の種類とその特徴空間格子や結晶系とブラベ格子について説明できる。
10週 ミラー指数とX線回折
様々な格子の結晶面とそのミラー指数および面間ブラッグ条件とX線回折について説明できる。
11週 ブラッグ条件と結晶構造因子 結晶によるX線の散乱とブラッグ条件X線回折法について説明できる。
12週 X線回折法の応用 結晶構造因子と消滅則、格子決定と結晶密度について説明できる。
13週 固体結晶の構造 MX型MX2型イオン結晶、スピネル、ペロブスカイト、イルメナイト構造の特徴について説明できる。
14週 結晶性固体の化学結合
ポーリングの法則(配位数、多面体表記、半径比則)について説明できる。
15週 期末試験
試験問題に関して正しく解答することができる。
16週 試験返却 理解が不十分な点が解消できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学金属結合の形成について理解できる。4前1
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4前12

評価割合

試験自習課題授業取組合計
総合評価割合602020100
専門的能力602020100