到達目標
1. 分子軌道法についてその概念と原理について説明できる。
2. 分子軌道計算ソフトを使うことができる。
3. 分子軌道計算を使って分子の各種物性や反応性について議論できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 最低限の到達レベルの目安 |
評価項目1 | 分子軌道法の計算手法を説明できる。 | 分子軌道法の原理を説明できる。 | 分子軌道を説明できる。 |
評価項目2 | 分子軌道法によって電荷分布と電子密度を計算できる。 | 分子軌道法によって分子軌道エネルギーを計算できる。 | 分子軌道法によって分子の立体構造を計算できる。 |
評価項目3 | 分子軌道法によって分子の反応性を議論できる。 | 分子軌道法によって分子の各種物性を議論できる。 | 分子軌道法によって分子の安定性を議論できる。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
これまでに、物質が示す様々な物性について学び、また「物性」は物質の「組成」と「構造」によって決まることを学んできた。それは何故か?それを解く鍵はシュレーディンガー方程式Hψ=Eψである。本講では、分子軌道法を通して、分子の「組成」と「構造」によってどのように電子状態が決まり、それによって物性が原理的に説明できることを理解する。まず分子軌道の概念を復習をした上で、実際にどのような手順で量子化学計算が行われているかを概観する。次に、いくつかの分子を題材として分子軌道計算を行い、分子の立体構造、極性、酸性度、色、反応性等について議論する。さらに応用として、有機高分子の赤外吸収スペクトルを測定し、分子軌道法によって計算した結果と比較検討する実習も行う。
授業の進め方・方法:
遠隔授業形式(同時双方向型・オンデマンド型併用)の講義と実習を通して学習する。また、自学自習も効果的に活用する。定期試験は量子化学計算ソフトの実技試験も予定している。
注意点:
教科書の各週の授業内容に関連する箇所を事前に読んでおくこと。
シラバス指定参考書:藤永茂「入門分子軌道法」講談社
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
講義:原子の成り立ち |
1. 原子の構成と電子配置を説明できる。 2. 量子数を説明できる。 3. 波動関数とシュレーディンガー方程式を説明できる。
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2週 |
講義:原子から分子へ(1) |
1. 分子軌道を説明できる。 2. 分子軌道の導出法を説明できる。 3. 水素分子の分子軌道を導出できる。
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3週 |
実習:原子から分子へ(2) |
1. 量子化学計算ソフトにふれる。 2. 水素分子の分子軌道を計算できる。 3. 水素分子の分子軌道を表示できる。
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4週 |
講義:分子軌道法から求められるもの(1) |
1. 多体問題を説明できる。 2. Hartree方程式を説明できる。 3. 変分法と自己無撞着法を説明できる。
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5週 |
実習:分子軌道法から求められるもの(2) |
1. エタンの立体構造を計算できる。 2. エタンの分子軌道を計算できる。 3. エタンの電子密度と生成熱を計算できる。
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6週 |
講義:分子軌道法から求められるもの(3) |
1. スレーター行列式とHartree-Fock方程式を説明できる。 2. LCAO近似とHartree-Fock-Roothaan方程式を説明できる。 3. 非経験的分子軌道法と半経験的分子軌道法の違いを説明できる。
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7週 |
実習:分子の構造を知る(1) |
1. Zマトリックスを説明できる。 2. 構造最適化計算により、π電子の非局在化を説明できる。 3. 分子の立体配座解析をすることができる。
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8週 |
講義・実習:分子の構造を知る(2) |
1. 分子の生成熱を計算し、安定性を議論できる。 2. 分子の軌道エネルギーを計算し反応性を議論できる。 3. 分子の電子密度を計算し極性を議論できる。
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2ndQ |
9週 |
講義・実習:電子の分布が分子の性質を決める(1) |
1. 分子間に働く相互作用を計算できる。 2. 分子内の電荷分布を計算できる。 3. エタノール、フェノール、酢酸の酸性度の違いを評価できる。
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10週 |
講義・実習:電子の分布が分子の性質を決める(2) |
1. 溶媒の効果を説明できる。 2. 溶媒によるグリシンの化学構造変化を計算できる。 3. グリニャール試薬の働きを計算で説明できる。
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11週 |
講義・実習:分子の色を知る(1) |
1. 電子相関を説明できる。 2. 配置間相互作用法を説明できる。 3. 分子の励起状態と電子スペクトルを計算できる。
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12週 |
実習:分子の色を知る(2) |
1. フロンティア軌道のエネルギーを計算できる。 2. 分子の色を予測できる。 3. 指示薬の色の変化を計算できる。
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13週 |
講義:化学反応を予測する(1) |
1. 付加反応と中間体を説明できる。 2. フロンティア軌道と反応性の関係を説明できる。 3. Diels–Alder反応を説明できる。
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14週 |
実習:化学反応を予測する(2) |
1. プロピレンへの臭素付加反応を計算で予測できる。 2. ナフタリンの置換反応を計算で予測できる。 3. オクタトリエンの環化反応を計算で予測できる。
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15週 |
実習:赤外線吸収スペクトルの実測と計算 |
1. 分子の振動解析を計算することができる。 2. FT-IRを用いてポリマーフィルムの赤外吸収スペクトルを測定できる。 2. ポリマーフィルムの赤外吸収スペクトルを計算できる。
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16週 |
【答案返却】 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 35 | 0 | 0 | 0 | 0 | 15 | 50 |
専門的能力 | 35 | 0 | 0 | 0 | 0 | 15 | 50 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |