弾塑性力学

科目基礎情報

学校 富山高等専門学校 開講年度 平成27年度 (2015年度)
授業科目 弾塑性力学
科目番号 0013 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 エコデザイン工学専攻 対象学年 専2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 増山 圭一

到達目標

1.材料の弾性と微視的構造について理解する.2.結晶組成,降伏現象,強化機構について理解する.3.疲労,クリープについて理解する.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1純金属のスティフネスとコンプライアンスから任意の結晶方位における弾性係数を算出出来る.弾性係数について説明できる.弾性係数について説明できない.
評価項目2縦弾性係数,せん断弾性係数,体積弾性係数 およびポアソン比の関係が記述できる.縦弾性係数,せん断弾性係数,体積弾性係数 およびポアソン比のについて説明できる.縦弾性係数,せん断弾性係数,体積弾性係数 およびポアソン比のについて説明できない.
評価項目3原子空孔形成エネルギーが与えられた時,原子空孔の濃度が計算できる.原子空孔の濃度について説明できる.原子空孔の濃度について説明できない.
評価項目4完全転位が不完全転位に分かれる理由を転位のエネルギーの観点で説明できる.完全転位が不完全転位について説明できる.完全転位が不完全転位について説明できない.
評価項目5ベイリー・ハーシュの式より強度上昇に必要な転位密度の増加量を算出出来る.ベイリー・ハーシュの式を説明できる.ベイリー・ハーシュの式を説明できない.
評価項目6Hall-Petchの関係式より降伏強度と転位の摩擦力から必要な結晶粒の大きさを算出出来る.Hall-Petchの関係式について説明できる.Hall-Petchの関係式について説明できない.
評価項目7線膨張率とヤング率,降伏強度および温度差の関係について簡単な問題に答えられる.線膨張率について説明できる.線膨張率について説明できない.
評価項目8Lason-Miller法によりクリープ破断時間を推定できる.Lason-Miller法について説明できる.Lason-Miller法について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
設計技術に役立てることを目的として材料強度を勉強する.材料強度は弾性のように構造鈍感な性質と塑性のように構造敏感な性質がある.材料の結晶中には格子欠陥があり,構造敏感な性質に寄与するので格子欠陥の挙動への理解がまず必要である.授業では固体物性論的な内容である.
授業の進め方・方法:
教科書は井形直弘著 材料強度学に沿って行うが,絶版となっているため授業毎に資料を配付する.
注意点:
随時レポート課題を出すので提出のこと.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 材料強度の必要性ー材料強度学と設計技術との関連ー(過去の事故事例を通じて) 材料強度学を学ぶ必要性について理解する.
2週 弾性 固体材料の弾性変形について理解する
3週 弾性 弾性定数の測定,熱力学,弾性定数について理解する.
4週 格子欠陥 点欠陥,線欠陥,面欠陥について理解する.
5週 格子欠陥 点欠陥,線欠陥,面欠陥について理解する.
6週 結晶塑性 結晶のすべり方向について理解する.
7週 結晶塑性 分解せん断応力とせん断ひずみについて理解する.
8週 結晶塑性 単結晶強度の方位依存性について理解する
4thQ
9週 降伏 単結晶,多結晶の降伏について理解する.
10週 中間試験 9週までの項目について試験により評価する
11週 強化機構 加工硬化,結晶粒微細化硬化とサブグレイン(セル)硬化について理解する.
12週 強化機構 固溶硬化,析出硬化について理解する.
13週 破壊 延性破壊と脆性破壊について理解する.
14週 疲労 疲労破壊について理解する.
15週 期末試験 9週以降の内容について試験により評価する.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。3
応力とひずみを説明できる。3
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。3
応力-ひずみ線図を説明できる。3
許容応力と安全率を説明できる。3
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。3
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。3
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。3
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。3
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。3
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。3
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。3
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。3
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。3
材料引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。3
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。3
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。3
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。5
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。5
金属と合金の結晶構造を説明できる。3
塑性変形の起り方を説明できる。3
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。3
材料系分野複合材料強さの複合則、比強度、比剛性の観点から、複合化するメリットを説明できる。3
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。3
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。3
面欠陥である積層欠陥について説明できる。3
弾性変形の変形様式の特徴、フックの法則について説明できる。3
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。3
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。3
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。3
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。3
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。3
拡散第1法則および拡散第2法則の基本式を導出できる。3
力学荷重と応力、変形とひずみの関係について理解できる。3
応力-ひずみ曲線について説明できる。3
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。3
許容応力と安全率を説明できる。3
荷重の方向、性質と物体の変形様式との関係について説明できる。3
引張、圧縮応力(垂直応力)とひずみ、物体の変形量を計算できる。3
引張、圧縮を受けた物体の変形量を計算できる。3
縦ひずみと横ひずみを理解し、ポアソン比およびポアソン数を説明できる。3
せん断応力(接面応力)とせん断ひずみ(せん断角)を計算できる。3
せん断応力、せん断ひずみ、横弾性係数の関係を理解できる。3
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。3
圧縮と曲げを受ける物体の任意の断面に生じる圧縮応力と曲げ応力を求めることができる。3
平面応力状態にある任意断面での主応力および主せん断応力を計算できる。3
主応力方向および主せん断応力方向を説明でき、それらの値を計算できる。3
モールの応力円を理解し、描いたモールの応力円から任意の面の主応力、主応力方向、主せん断応力、主せん断応力方法を求めることができる。3
垂直応力、垂直ひずみ、縦弾性係数を用いてひずみエネルギーを計算できる。5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合180000020200
基礎的能力90000010100
専門的能力90000010100
分野横断的能力0000000