応用物理化学

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 応用物理化学
科目番号 0006 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 応用物質工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:1
教科書/教材 参考書(アトキンス物理化学要論第6版、P.Atkins・J.Paula著、稲葉・千原訳)
担当教員 小林 正幸

到達目標

1.3つの自然現象(黒体放射、熱容量、原子・分子スペクトル)を量子論的に説明でき、波ー粒子の二重性について説明できる。
2.波動方程式を解き、その解の物理化学的意味を理解する。
3.機器分析(吸収スペクトル、蛍光スペクトル、核磁気共鳴)についての原理を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目13つの自然現象を量子論的に理解でき、波ー粒子の二重性について説明できる。3つの自然現象を量子論的に説明できる。3つの自然現象を量子論的に説明できない。
評価項目2波動方程式を解き、その解の物理化学的意味を理解する。波動方程式を解くことができる。波動方程式を解くこともできない。
評価項目3吸収スペクトル、蛍光スペクトル、核磁気共鳴の原理を説明でき、そのスペクトルのキャラクタリゼーションができる。吸収スペクトル、蛍光スペクトル、核磁気共鳴の原理を説明できる。吸収スペクトル、蛍光スペクトル、核磁気共鳴の原理を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科での物理化学科目で網羅できなかった量子論ついて解説する。
小学校ではまず整数を習う。このときの整数はとびとびの値である。学習する毎に整数の間にも数があり、数は切れ目のない連続した並びであることを理解していく。我々の周りにある現象は連続的であるように見える。巨視的にみれば連続的であるが、微視的に見れば不連続であり、これが量子化学の入口である。本講義では、様々な事実(物理・化学現象)が物語っていることを理解し、探求していくことからはじめていく。現在では、分子の軌道等を計算によって求めることが可能であるが、これも量子論の発展から生まれたものである。本講義の後半では、量子論の応用として、分子軌道を解くことで分子構造・性質の理解を深め、また、機器分析の原理の理解を深める。
授業の進め方・方法:
授業は資料を配付して行う。適宜、演習問題を解いて理解を深める。授業中に数値計算を課すので関数電卓は必ず持参すること(定期試験にも電卓持込みとする)。なお、専門用語の英語訳は将来的に極めて重要であると考え、早いうちから慣れておくことを必須課題とする。主要となる専門用語の英単語はすべて必修とし、定期試験に出題する。
注意点:
物理化学の理解には数式の取扱いが必須であり、これまで数学で学んだ微積分、幾何学などを活用していくことになる。
数学が苦手だった学生には、嫌々復習するのではなく、自然の法則が数式によって記述されることに新鮮な感動を覚え、自身の計算で科学現象を導く醍醐味を味わってほしい。
 1.関数電卓の使い方に慣れ、単純な計算でも必ず実行して最終結果まで自身で導くこと。
 2.計算時、必ず「単位」に留意せよ。異なる単位同士の足し算・引き算はあり得ない。異なる単位の掛け算・割り算によって別の単位が生成する。
 3.紙とエンピツによる数式の手計算も重要である一方、エクセル等のPCソフトの活用は極めて有効であると心得よ。
本講義の中にも随所に数学の基礎知識を確認する演習等を行うが、到達目標に達しない場合は追加課題を与える。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 概要説明
2週 量子論の基礎① 量子論の出現について説明できる
黒体放射の現象をプランクの量子仮説で説明できる
ボーアモデルによって水素の原子半径と水素の不連続スペクトルを説明できる
粒子と波の二重性について理解し、光電効果、電子の回折を説明できる
3週 量子論の基礎② シュレディンガーの波動方程式を導出することができ、その物理的な意味を説明できる
井戸型ポテンシャルにおける波動方程式を解くことができる
4週 量子論の基礎③ 波動関数と確率密度を説明できる
波動方程式の解の物理的な意味を理解するとともに、ハイゼンベルグの不確定原理について説明できる
5週 量子論と原子構造① 水素の原子構造を量子論を用いて説明できる
6週 量子論と原子構造② 原子価結合法と分子軌道法を説明できる
7週 量子論と原子構造③ 多電子原子の構造を量子論を用いて説明できる
8週 中間試験
4thQ
9週 試験返却 中間試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多面的な理解を深める。
10週 量子論と分子構造① ヒュッケル法を用いて分子構造を説明できる
11週 量子論と分子構造② フロンティア軌道について説明できる
12週 量子論の応用① 電子遷移の原理を説明できる
13週 量子論の応用② ケイ光、リン光の原理を説明できる
14週 量子論の応用② 核磁気共鳴の原理を説明できる
15週 期末試験
16週 試験返却 期末試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多角的な理解を深める。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000