プロジェクトデザイン工学演習

科目基礎情報

学校 呉工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 プロジェクトデザイン工学演習
科目番号 0049 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 学修単位: 3
開設学科 プロジェクトデザイン工学専攻 対象学年 専2
開設期 通年 週時間数 前期:4 後期:4
教科書/教材
担当教員 藤井 敏則,河村 進一,大和 義昭,高田 一貴,大田 一夫,佐藤 榮祐,中西 敏明

到達目標

1.所与のテーマに関して自らの専門知識を駆使し、情報を収集して状況を的確に分析できる。
2.状況分析の結果、課題を明確にし、プロジェクトを企画することができる。
3.各種計画手法を用いて、プロジェクトを企画・調整・検討し、効率的・合理的に遂行することができる。
4.性能・機能、経済性、持続可能性、工程などを考慮して、プロジェクトの要求に適合するシステムや構想をデザインできる。
5.プロジェクトを遂行するために、チームワーク、リーダーシップ、マネジメント力を発揮できる。
6.テーマの要求に応えて問題を解決でき、適切かつ論理的な提案をすることができる。提案内容を評価し、改善策などを考察できる。
評価方法:グループの評価60%、個人の評価40%の割合とし、到達目標の各項目を以下の内容(配点)で評価する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ICTや、ICTツール、文書等を活用して、必要な範囲を網羅し収集した情報を整理、分析し、適切に状況を説明できる。ICTや、ICTツール、文書等を活用して、必要な範囲で収集した情報を整理、分析し、状況を説明できる。情報を収集、整理、分析しているが、情報の内容または整理、分析方法が適切でなく、状況を説明することができない。
評価項目2的確に目標を認識し、適切な現状分析により、課題を明確化し、主要な原因を特定して、最適な解決策を提案できる。 目標を認識し、適切な現状分析により、課題を明確化し、主要な原因を特定して、適切な解決策を提案できる。 目標の認識と現状分析が不十分で、課題の明確化、原因の特定ができず、適切な解決策の提案ができない。
評価項目3全体計画や、前週からの計画を踏まえ、目標を確実に達成するために、グループの活動と自らの進捗状況を把握し、翌週の計画を実現可能性を踏まえて多面的な観点から工夫でき、プロジェクトの企画・調整、途中での変更や修正を効率的、合理的に進めることができる。 全体計画や、前週からの計画を踏まえ、目標を達成するために、グループ活動と自らの進捗状況を把握し、翌週の計画を実現可能性を踏まえて工夫でき、、途中での変更や修正を、合理的に進めることができる。 全体計画や、前週からの計画を踏まえて、グループ活動と自らの進捗状況を把握し、翌週の計画を立案できないため、プロジェクトを効率的・合理的に進めることができない。
評価項目4適切な専門工学の知識を用いて、テーマの要求に対し創造的な提案ができる。複合的な課題や需要および、QCDや環境、安全などの制約条件に適合した設計ができているかを評価し、最適解を提案できる。 専門工学の知識を用いて、テーマの要求に対し適切な提案ができる。複合的な課題や需要および、QCDや環境、安全などの制約条件に適合した設計ができているか評価し、要求に適合するものを提案できる。 テーマの要求に対し、提案ができるが、複合的な課題や需要および、QCDや環境、安全などの制約条件に適合した設計ができているか評価できないため、提案内容が要求に適合していない。
評価項目5グループの合意形成のため、自身の役割と責任を理解し、自分の考えを的確にまとめ、適切なコミュニケーションと柔軟性をもった行動ができる。 目標達成のため、目指すべき方向性を示し、先に立って規範的に行動できる。 グループの合意形成のため、自身の役割と責任を理解し、自分の考えをまとめ、適切なコミュニケーションと柔軟性をもった行動ができる。 目標達成のため、先に立って行動できる。 自身の役割と責任をはたせず、コミュニケーションが不十分あるいは、合意形成できない。
評価項目6専門工学の知識を融合し、テーマの要求に沿って、独創的かつ完成度の高い提案ができ,その提案に対して適切な評価、改善策を考察できる。専門工学の知識を用いて、テーマの要求に沿って、提案ができる。提案に関して長所と短所などの基本的な評価ができる。 専門工学の知識を用いていない。テーマの要求に沿って、適切な提案ができない。 成果物を適切に評価できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 専攻科の学習・教育目標 (SD) 説明 閉じる
JABEE 環境都市(G) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
これまでに学習した知識を統合するとともに異分野のメンバーと協働して、与えられたテーマに関する情報収集・課題抽出を行い、プロジェクトを設計・遂行し、試作品の評価・改善などの活動を通じて、課題を解決する、「エンジニアリングデザイン能力」を身に着ける、PBL(Project Based Learning)科目である。他の専門分野の学生の持つ価値観の違いなどを認識し、協働作業により課題を解決する。
授業の進め方・方法:
・前期(4~8月)および後期の前半(10~11月)に週90分×2コマの授業として実施する
・授業時間(90分×2コマ)/週×24週に加え、週2時間程度の自学自習を必要とする。
・授業の最初に全体ミーティングを行い、その後グループ活動を行うことを基本とする。
・ICTにより、資料や情報を共有する仕組みを導入する。
・提出資料(週報、グループ週報、プレゼン資料、報告書等)は呉高専E-ラーニングサイト(Moodle 3)を、グループ内検討資料(収集した資料、作業中の図書等)はグループウェア(サイボウズLive)を利用する。
・グループ週報は写真付きで作成し、次週の全体ミーティングで活動概要についてプレゼンを行う。
・グループ活動は、週毎に司会者と書記を決め書記がその週の週報を作成し、次週のプレゼンを行うこととする。司会者および書記の担当はローテーションする。
注意点:
・ノートパソコンまたはタブレットなどを持参し、ネットワーク接続可能な状態としておくこと。
・Office365を活用できるようにしておくこと。
・全体ミーティングは集合して行うが、グループの活動は担当教員の許可を得て、別の場所で実施してもよい。
・主体的に演習に臨むこと。
・呉高専の資源(実験機器、設備、教員、職員、学生など)をフル活用しよう。
・指示待ちの姿勢でなく、自らが積極的に活動し、楽しみながらプロジェクトを実行しよう。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス講義
・演習の目的・概要と授業方法の説明。
・パソコンによるICT環境設定。
・演習テーマ選定の背景の説明。 
・演習の目的、方法を理解する
・演習テーマについて理解する。
2週 資料収集・分析
・テーマに関する基礎知識の講義。
・資料の収集
・ICTツールを活用できる。
・専門分野の視点を取り入れ、資料を収集、分析できる。
3週 資料収集~目標の設定
・資料収集・分析
・課題の明確化、解決策の提案
・プレゼン資料作成
・テーマに沿って課題を明確化できる。
・自分の提案をまとめ、発表できる。
4週 1人 1 提案のショートプレゼン
・グループ編成
・グループ活動によりプロジェクトを推進できる。
5週 ・プロジェクトの基本コンセプト(目標:対象地域、課題、解決策)、作業工程の討議。 ・計画立案を行うことができる
6週 ・参考教材講義
7週 ・プロジェクトの基本コンセプト(目標:対象地域、課題、解決策)の絞り込み。
8週 ・プロジェクト計画書の作成。
・資料の追加収集、現地調査等の必要性検討。
・現地調査計画を立案できる。
2ndQ
9週 ・現地調査及び報告書作成。
・調査地域の人たちと円滑にコミュニケーションし、情報収集ができる。

10週 ・目標(仕様)、製作工程を検討し、必要な修正を加え、プロジェクト計画書をまとめる。
11週 ・計画図、予算書、検討書・模型・試作品などの作成。
12週 ・検討書・模型・試作品などの作成。
・計画書・試作品などの完成
13週 ・中間発表資料の作成。
・中間発表資料の完成。
14週 中間発表
・プレゼンテーション
15週 目標の修正 ~計画案の評価決定
・これまでの作業を振り返り・メンバー間での共有。
・計画図、試作品等の評価、必要により目標(仕様)、計画の修正。
・予算を確定し、部品・材料の発注・入手。
16週 ・最終成果品製作の準備。
後期
3rdQ
1週 最終成果品の製作  
・計画の確認、共有。
・詳細設計及び製作。

                                                                  
2週 ・詳細設計及び製作。
3週 ・詳細設計及び製作。
4週 ・詳細設計及び製作。
5週 ・プロジェクト全体がわかるように報告書を分担執筆。
・最終成果品の完成
6週 ・最終発表会資料の作成。
・報告書・最終発表会資料完成
7週 最終発表会
・プレゼンテーション。
・最終成果品の展示。
8週 記述式試験
4thQ
9週
10週
11週
12週
13週
14週
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力専門的能力の実質化PBL教育PBL教育工学が関わっている数々の事象について、自らの専門知識を駆使して、情報を収集することができる。3前2
集められた情報をもとに、状況を適確に分析することができる。4前3
与えられた目標を達成するための解決方法を考えることができる。4前8
状況分析の結果、問題(課題)を明確化することができる。4前8,前9
各種の発想法や計画立案手法を用いると、課題解決の際、効率的、合理的にプロジェクトを進めることができることを知っている。5前5
各種の発想法、計画立案手法を用い、より効率的、合理的にプロジェクトを進めることができる。5前5
共同教育共同教育クライアント(企業及び社会)の要求に適合するシステムやプロセスを開発することができる。5後1
企画立案から実行するまでのプロセスを持続可能性の実現性を配慮して実行することができる。5後1
品質、コスト、効率、スピード、納期などに対する視点を持つことができる。5前15
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識・教養が、企業及び社会でどのように活用されているかを理解し、技術・応用サービスの実施ができる。5後7
地域や企業の現実の問題を踏まえ、その課題を明確化し、解決することができる。5後7
問題解決のために、最適なチームワーク力、リーダーシップ力、マネジメント力などを身に付けることができる。5後7
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などの必要性を理解できる。5後7
技術者として、生きる喜びや誇りを実感し、知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践創造的な活動を楽しむことを理解できる。5後7
技術者として、社会に対して有益な価値を提供するために存在し、社会の期待に十分応えられてこそ、存在の価値のあることを理解できる。5後7
企業人としても成長していく自分を意識し、継続的な自己研さんや学習が必要であることを理解できる。5後7
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能相手の意見を聞き、自分の意見を伝えることで、円滑なコミュニケーションを図ることができる。5前10
相手を理解した上で、説明の方法を工夫しながら、自分の意見や考えをわかりやすく伝え、十分な理解を得ている。5前4
集団において、集団の意見を聞き、自分の意見も述べ、目的のために合意形成ができる。4前9
目的達成のために、考えられる提案の中からベターなものを選び合意形成の上で実現していくことができ、さらに、合意形成のための支援ができる。4前12
ICTやICTツール、文書等を基礎的な情報収集や情報発信に活用できる。5前2
ICTやICTツール、文書等を自らの専門分野において情報収集や情報発信に活用できる。5前2
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、そこから主要な原因を見出そうと努力し、解決行動の提案をしようとしている。5前8,前10
現状と目標を把握し、その乖離の中に課題を見つけ、課題の因果関係や優先度を理解し、発見した課題について主要な原因を見出し、論理的に解決策を立案し、具体的な実行策を絞り込むことができる。5前10,前11
事象の本質を要約・整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。5前13,前14
複雑な事象の本質を整理し、構造化(誰が見てもわかりやすく)できる。結論の推定をするために、必要な条件を加え、要約・整理した内容から多様な観点を示し、自分の意見や手順を論理的に展開できる。5前13,前14
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性身内の中で、周囲の状況を改善すべく、自身の能力を発揮できる。 4前7
集団の中で、自身の能力を発揮して、組織の勢いを向上できる。4前7
日常生活の時間管理、健康管理、金銭管理などができる。常に良い状態を維持するための努力を怠らない。4前7
ストレスやプレッシャーに対し、自分自身をよく知り、解決を試みる行動をとることができる。日常生活の管理ができるとともに、目標達成のために対処することができる。4前7
学生であっても社会全体を構成している一員としての意識を持って、行動することができる。4前1,前8
市民として社会の一員であることを理解し、社会に大きなマイナス影響を及ぼす行為を戒める。人間性・教養、モラルなど、社会的・地球的観点から物事を考えることができる。4前3,前8
チームワークの必要性・ルール・マナーを理解し、自分の感情の抑制、コントロールをし、他者の意見を尊重し、適切なコミュニケーションを持つとともに、当事者意識を持ち協調して共同作業・研究をすすめることができる。4前15
組織やチームの目標や役割を理解し、他者の意見を尊重しながら、適切なコミュニケーションを持つとともに、成果をあげるために役割を超えた行動をとるなど、柔軟性を持った行動をとることができる。4前15,前16
先にたって行動の模範を示すことができる。口頭などで説明し、他者に対し適切な協調行動を促し、共同作業・研究をすすめことができる。4後1
目指すべき方向性を示し、先に立って行動の模範を示すことで他者に適切な協調行動を促し、共同作業・研究において、系統的に成果を生み出すことができる。リーダーシップを発揮するために、常に情報収集や相談を怠らず自身の判断力をも磨くことができる。4後1
法令を理解し遵守する。基本的人権について理解し、他者のおかれている状況を理解することができる。自分が関係している技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を理解し、技術者が社会に負っている責任を認識している。4後5
法令を理解し遵守する。研究などで使用する、他者のおかれている状況を理解できる。自分が関係している技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を理解し、技術者が社会に負っている責任を認識し、身近で起こる関連した情報や見解の収集に努めるなど、技術の成果が社会に受け入れられるよう行動できる。4後5
未来の多くの可能性から技術の発展と持続的社会の在り方を理解し、自らのキャリアを考えることができる。4後6
技術の発展と持続的社会の在り方に関する知識を有し、未来社会を考察することができるとともに、技術の創造や自らのキャリアをデザインすることが考慮できる。4後6
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。5後6
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。5後6
クライアントの要求を解決するための設計解を作り出すプロセス理解し、設計解を創案できる。さらに、創案した設計解が要求を解決するものであるかを評価しなければならないことを理解する。5後7
クライアントの要求を解決するための設計解を作り出すプロセスを理解し、設計解を創案できる。さらに、創案した設計解が要求を解決するものであるかを評価しデザインすることができる。5後7

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合1020010600100
基礎的能力0000000
専門的能力0100020030
分野横断的能力101001040070