無機化学特論(2022年度以降入学生用科目)

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 無機化学特論(2022年度以降入学生用科目)
科目番号 0061 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 スライド資料
担当教員 井手 智仁

到達目標

錯体化学について基礎から学習し、電子状態について結晶場理論や配位子場理論に基づいて説明できるようになることを目指す。また、錯体の具体的な反応や触媒作用、さらには電気化学や光化学を学習することで、錯体の活用についても理解を深める。最終的な到達目標は錯体化学の文献(論文)を理解してまとめることができるようになり、持続可能な社会の実現に資する研究へと繋げる基礎力をつけることにある。

【ディプロマ・ポリシー及びSDGsとの関係】ディプロマ・ポリシー: (1), (2), (3),SDGs:7, 9, 13, 14, 15

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
錯体の構造・錯体の命名法錯体の構造を理解し、任意の錯体について命名できる錯体の構造について理解し、簡単な錯体について命名できる錯体の構造について理解でき、錯体の名前を命名できる錯体の構造について理解できず、錯体の名前を命名できない
結晶場理論・配位子場理論いくつかの高い対称性をもつ錯体について結晶場理論や配位子場理論に基づいて説明できる0h対称性をもつ錯体について結晶場理論や配位子場理論に基づいて説明できる結晶場理論や配位子場理論の概要について説明できる結晶場理論や配位子場理論の概要について説明できない
錯体の反応や触媒作用錯体の反応や触媒作用について理解し、具体的に説明することができる錯体の反応や触媒作用について理解し、典型的な例を説明することができる錯体の反応や触媒作用を理解し、初歩的な説明ができる錯体の反応を理解できず、初歩的な説明もできない
錯体の電気化学と光化学錯体の電気化学的な酸化還元や、光吸収特性について理解し,具体的に説明できる錯体の電気化学的な酸化還元や、光吸収特性について理解し、典型的な例を説明することができる錯体の電気化学的な酸化還元や、光吸収特性について理解し、初歩的な説明ができる錯体の電気化学的な酸化還元や、光吸収特性について理解できず、初歩的な説明もできない
錯体化学のフロンティア文献を調査し、錯体化学の分野における最先端の事項をまとめて説明できる文献を調査し、錯体化学に関連した事項をまとめて説明できる錯体化学に関連した文献を調査することができる錯体化学に関連した文献を調査することができない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義では、錯体に関して立体構造と命名法から学習をし、その後,結晶場理論、配位子場理論に基づいて構造と電子状態に関して理解を深める。つづいて錯体の反応や触媒作用について学習するとともに、関連する有機金属化学についても学ぶ。さらに錯体の電気化学や光化学についても学習することで、錯体に関する一通りの理解を得る。この授業の総まとめとし、錯体化学に関連した研究の中でも持続可能な社会の実現に資する研究の文献調査を行い、その結果をまとめて発表する。
授業の進め方・方法:
企業において錯体の機能を活用した材料開発を行っていた担当教員の経験を活かし、スライド資料を主に使って錯体化学について学習する。授業は教員による説明と問題演習を交互に行いながら進めていく。錯体化学の基礎について一通り触れたあとで、持続可能な社会の実現に資する錯体化学の研究の紹介と、それに関連した文献調査を行ってもらう.その成果をスライド資料にまとめて発表する。
授業の後半では文献調査と発表を行う.
注意点:
無機化学について復習しておくこと。講義の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること。 必ず予習・復習を行うこと。 後半では予習・復習の時間は興味がある系の文献読解とまとめた資料の作成にあてる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション(金属元素の性質・錯体化学の歴史) 金属元素の酸化状態、水和、オキソ錯体について説明できる。錯体化学の成り立ちを把握する。
2週 金属錯体の立体構造と命名法(1) 単核錯体 典型的な単核錯体についてその立体構造と命名法を説明できる。
3週 金属錯体の立体構造と命名法(2) キレート錯体やキラリティ,複核錯体 キレート錯体やキラリティを持つ錯体、複核錯体の構造と命名法を説明できる。
4週 金属錯体の電子状態(1) 対称性と結晶場理論 錯体の対称性について理解できる。錯体の電子状態について結晶場理論に基づいて説明ができる。
5週 金属錯体の電子状態(2) 結晶場理論と配位子場理論 錯体の電子状態について結晶場理論に基づいて説明ができる。錯体の電子状態について配位子場理論に基づいて説明ができる。
6週 金属錯体の電子状態(3) 配位子場理論 錯体の電子状態について配位子場理論に基づいて説明ができる。
7週 金属錯体の反応(1) 水溶液中における金属イオン周辺の構造やHSAB則、錯体反応の分類を説明できる。
8週 金属錯体の反応(2) 錯体の反応性に影響を与える様々な効果や,錯体の溶液中における平衡について説明できる
2ndQ
9週 有機金属化学(1) 有機金属化学の素反応について説明できる
10週 有機金属化学(2) 鈴木カップリングを代表とした金属錯体触媒を用いたカップリング反応について説明ができる
11週 金属錯体の電気化学と光化学 金属錯体の電気化学的な酸化還元と,光吸収や発光について説明ができる
12週 錯体化学のフロンティア(1) 錯体を用いた様々な先端材料や,持続可能な社会の実現に関連する研究の例を把握する
13週 錯体化学のフロンティア(2) 文献調査 錯体化学を利用した,持続可能な社会の実現するに資する研究の文献を調査し,詳細に読みたい1報について簡単な概要を説明できる
14週 錯体化学のフロンティア(3) 文献読解 13週で選んだ文献について詳細に読解するとともに,関連研究(先行研究)についても調査を行うことができる
15週 錯体化学のフロンティア(4) 発表会 14週の結果をまとめて発表することができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合55405000100
基礎的能力1510000025
専門的能力4025000065
分野横断的能力05500010