概要:
新しい発見・発明をすることで化学(生物)分野は進歩してきた。実験は新しい発見・発明には欠かすことのできないことである。今後、今までにない発見・発明(奇異な実験データ)に遭遇した時、それが新しい発見・発明であるかもしれないし、単なるデータの取得ミス(実験の失敗)かもしれない。これらをはっきりさせるには、正しい能力、技術を身に付けるしかなく、これは、あらかじめどうなるかが分かっている実験器具・装置を使用し、正しい結果を出すということを繰り返していくことでしか培われない。本実験の目的は、今後の実験(卒業研究を含む)において必ず使用する基本的な器具や装置を正確に使い、正確なデータを得る能力を身に付けることである。
SDGsの「4質の高い教育をみんなに」「9産業と技術革新の基盤をつくろう」に関連している。
授業の進め方・方法:
3週目までは、講義と演習形式となる。4週目以降は、4~5人で1グループとして実験を行う。CコースおよびLコースを混合して8つのグループ分けを実施する。グループ1〜4は課題1から4を全グループ同時進行で実施する。残りのグループは課題5から8を各グループで異なる実験をローテーションで実施する。第9週からグループを入れ替え、同様に実施する。
各実験の目的、手法と注意事項、予想される結果に関する十分な予習を行うこと。また、適宜レポートに関する調査を書籍,文献やインターネットで行うこと。報告書の作成時間は講義時間中にはとれないので、時間外にも行うこと。また、実験内容および操作に関する試験を行うので学習しておくこと。
注意点:
1. 化学実験は危険であるという観点に立ち、化学実験を行うことは非常に重要である。このことは、自身が危険にさらされる行為は、周囲の人間を危険にさらしていることと同じであることを十分認識してほしい。危険はおそれるだけでは、化学の進歩はない。危険性を先人により積み重ねられた経験を理解し、実践することで、十分軽減することがをできる。本実験をこなすという観点ではなく、身に付けるという観点でのぞんで欲しい。
2. 実験の目的,実験操作の概要を把握し,ノートにまとめておくこと.
3. レポートに関しては,読む者が理解しやすいように工夫して書くことが重要です.そのためには,課外の図書館における参考書調べなど必要となります.
4. 指定するレポート期限を厳守すること
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
オリエンテーション 講義1 |
本実験の概要や、注意事項、進め方等を知る。 各実験に関する講義を行う。各実験の原理および注意点を説明できる。
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2週 |
講義2 |
各実験に関する講義を行う。各実験の原理および注意点を説明できる。
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3週 |
講義3 |
各実験に関する講義を行う。各実験の原理および注意点を説明できる。
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4週 |
[ 課題1] NaOHとNa2CO3の混合物定量(中和滴定) |
HCl標準液を用いて、混合塩基の定量分析ができる。
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5週 |
[ 課題 2 ] 過マンガン酸カリウム滴定(酸化還元滴定) |
シュウ酸ナトリウムを用いて、過マンガン酸カリウムの標定ができる。
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6週 |
[ 課題 3 ] 水硬度の測定(キレート滴定) |
キレート剤(EDTA2Na)を利用し、水の全硬度、カルシウム硬度、マグネシウム硬度を求めることができる。
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7週 |
[ 課題 4 ] 陽イオンの定性分析 |
いくつかの陽イオンの定性分析法を説明できる。また、未知イオンを含む溶液を定性分析できる。
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8週 |
レポート作成
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4週から7週についてのレポートを作成する。提出期限はこの日の授業終了時とする。
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2ndQ |
9週 |
【課題5】タンパク質、アミノ酸の定性 |
タンパク質とアミノ酸の定性を行い、その原理について説明できる。
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10週 |
【課題6】比色分析
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1,10-フェナントロリンによる鉄の定量を行い,比色分析法及び装置の原理,さらに検量線の作成法とその利用法を理解できる。
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11週 |
【課題7】水の電気分解 |
水の電気分解を実施し,理論分解電圧,水素過電圧,酸素過電圧を説明できる。
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12週 |
【課題8】ダニエル電池起電力測定と濃淡電池 |
単極電位およびダニエル電池の起電力測定を行う。また銀イオンの濃淡電池の起電力から塩化銀の溶解度を求める。電池に関しての基礎理論とその応用について理解できる。
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13週 |
レポート作成
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9週から12週についてのレポートを作成する。提出期限はこの日の授業終了時とする。
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14週 |
テスト
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各実験に関する試験を実施する。
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15週 |
テスト返却
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テスト結果を確認し,身についていない事項について再度学習する。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 2 | 前1 |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 2 | 前1 |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 2 | 前1 |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 2 | 前1 |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 2 | 前1 |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 2 | 前1 |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 2 | 前1 |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 2 | 前1 |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 2 | 前1 |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 2 | 前1 |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 2 | 前1 |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 4 | 前4 |
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。 | 4 | 前5 |
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。 | 4 | 前6 |
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。 | 4 | 前7 |
物理化学実験 | 温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。 | 4 | 前1 |
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。 | 4 | 前11,前12 |
分野横断的能力 | 態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | 前1 |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | 前1 |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | 前1 |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | 前1 |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 3 | 前1 |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 3 | 前1 |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 3 | 前1 |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | 前1 |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | 前1 |