材料強度学(3172)

科目基礎情報

学校 八戸工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 材料強度学(3172)
科目番号 4C33 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位B: 2
開設学科 産業システム工学科マテリアル・バイオ工学コース 対象学年 4
開設期 夏学期(2nd-Q),秋学期(3rd-Q),冬学期(4th-Q) 週時間数 2nd-Q:2 3rd-Q:2 4th-Q:2
教科書/教材 基礎から学ぶ 構造金属材料学, 丸山公一他, 内田老鶴圃
担当教員 新井 宏忠

到達目標

1. 材料の結合様式とその特徴を説明できること
2. 金属の結晶構造と結晶中の格子欠陥を説明できること
3. 金属多結晶体の塑性変形機構を転位の運動から説明できること
4. 金属多結晶体の強化機構(粒界強化・固溶強化・析出強化)を説明できること
5. 材料の機械試験方法の概要を理解すること
6. 合金状態図から相状態を判断でき、温度変化に伴う組織変化を説明できること
7. 拡散と回復・再結晶挙動と組織形成の関連を説明できる。
8. 金属材料の性質とミクロ組織を関連付けて説明できる。
9. 鉄鋼材料の組織制御と強度の関係について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
金属材料の結晶構造金属結晶構造の原子配置を説明でき、充填率、配位数、原子間距離等の計算ができる。教科書等の参考情報により、金属結晶構造の原子配置を説明でき、充填率、配位数、原子間距離等の計算ができる。教科書等の参考情報を参照しても、金属結晶構造の原子配置を説明でき、充填率、配位数、原子間距離等の計算ができない。
結晶系とブラベー格子14種類のブラベー格子を図示し、説明できる。教科書等の参考情報により、14種類のブラベー格子を図示し、説明できる。教科書等の参考情報を参照しても、14種類のブラベー格子を図示し、説明できない。
ミラー指数結晶面や結晶方位をミラー指数で表すことができる。教科書等の参考情報により、結晶面や結晶方位をミラー指数で表すことができる。教科書等の参考情報を参照しても、結晶面や結晶方位をミラー指数で表すことができない。
転位の運動と塑性変形金属多結晶の塑性変形を転位の運動の関連付けて説明できる。教科書等の参考情報により、金属多結晶の塑性変形を転位の運動の関連付けて説明できる。教科書等の参考情報を参照しても、金属多結晶の塑性変形を転位の運動の関連付けて説明できる。
多結晶体の強化機構代表的な強化機構(粒界強化・固溶強化・析出強化)を説明でき、強化の度合いを定量的に示せる。教科書等の参考情報により、代表的な強化機構(粒界強化・固溶強化・析出強化)を説明でき、強化の度合いを定量的に示せる。教科書等の参考情報を参照しても、代表的な強化機構(粒界強化・固溶強化・析出強化)を説明できない。
機械試験法材料の強度を表す指標とそれを定量的に測定するための機械試験法を説明できる。教科書等の参考情報により、材料の強度を表す指標とそれを定量的に測定するための機械試験法を説明できる。教科書等の参考情報を参照しても、材料の強度を表す指標とそれを定量的に測定するための機械試験法を説明できない。
平衡状態図基本平衡状態図の模式図が描け、どのような反応なのかを説明できる。加えて、状態図において温度と組成が指定された物質に含まれる相とその相の割合を説明できる。教科書等の参考情報により、基本平衡状態図の模式図が描け、どのような反応なのかを説明できる。加えて、状態図において温度と組成が指定された物質に含まれる相とその相の割合を説明できる。教科書等の参考情報を参照しても、基本平衡状態図の模式図が描け、どのような反応なのかを説明できない。
金属結晶中の拡散現象金属中の拡散機構を数式を用いて説明できる。教科書等の参考情報により、金属中の拡散機構を数式を用いて説明できる。教科書等の参考情報を参照しても、金属中の拡散機構を説明できない。
金属結晶の回復と再結晶金属組織の回復現象や再結晶現象をひずみエネルギーの観点から説明できる。教科書等の参考情報により、金属組織の回復現象や再結晶現象をひずみエネルギーの観点から説明できる。教科書等の参考情報を参照しても、金属組織の回復現象や再結晶現象をひずみエネルギーの観点から説明できない。
鉄鋼材料の組織形成 (拡散変態)鉄鋼材料に見られる代表的な組織を鉄-炭素系状態図を用いて説明でき、組織名を挙げられる。教科書等の参考情報により、鉄鋼材料に見られる代表的な組織を鉄-炭素系状態図を用いて説明でき、組織名を挙げられる。教科書等の参考情報を参照しても、鉄鋼材料に見られる代表的な組織を鉄-炭素系状態図を用いて説明できない。
鉄鋼材料の組織形成 (無拡散変態)鉄鋼材料におけるマルテンサイト変態の特性を説明できる。教科書等の参考情報により、鉄鋼材料におけるマルテンサイト変態の特性を説明できる。教科書等の参考情報を参照しても、基鉄鋼材料におけるマルテンサイト変態の特性を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

ディプロマポリシー DP3 ◎ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
材料は身の回りに数多く存在し、種々の力学的性質や機能的性質を発現する。本講義では、構造材料、特に金属材料の特性について学び、組織形成に関連した現象を理解し、特に鉄鋼材料の組織と材料特性の理解を目標とする。
授業の進め方・方法:
材料は構造部材や機能性素材として広く一般に用いられている。特に構造材料として金属素材が主である。本講義では、構造材料、特に金属材料の特性について学び、固溶強化や粒界強化といった代表的な材料強化機構の理解を目標とする。また、組織形成に関係する拡散現象、加工と再結晶、鉄鋼材料の組織制御について講義する。
・指定の教科書をベースに板書で内容を示し、解説を加える。
・必要に応じて適宜章末問題等の演習を行う。

〇評価方法
・定期試験:80%(春・夏・秋それぞれ1/3)
・課題(WebClassテスト):20%
・総合評価は100点満点として、60点以上を合格とする。
・補充試験対象は最終成績で判定し、試験は1回のみ実施する(各学期に毎に実施しない)。
 ‐ 補充試験の点数のみで合格となり、60点として評価する。
 ‐ 範囲は春・夏・秋の全範囲
注意点:
・材料の構造を理解するには、物理化学(熱力学)の知識が必要となる場合がある。
・3学期にまたがる開講であり、既習内容を元に授業を進行するため、既習内容で不明点があれば日々の自学自習等で理解をしておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
2ndQ
9週 ガイダンス、材料の特徴とその原理 金属材料一般の性質を知る。
10週 金属の結晶構造 体心立方晶、面心立方晶、最密六法晶の構造を理解し、単位胞内の結晶方向と面をミラー指数で示せる。
11週 結晶中の格子欠陥 実在結晶中に存在する格子欠陥の種類と名称を知る。
12週 金属材料の応力-ひずみ曲線図① 金属を変形させたときに示す応力とひずみの関係を理解する。
13週 金属材料の応力-ひずみ曲線図② 金属を変形させたときに示す応力とひずみの関係を理解する。
14週 転位の運動と塑性変形① 転位の運動によって塑性変形が起きることを理解する。
15週 転位の運動と塑性変形② 転位の運動に要する力、合体や消滅といった各種運動を理解する。
16週 到達度試験
後期
3rdQ
1週 金属多結晶体の変形と強化機構 多結晶体の変形様式を単結晶の場合と対比して理解する。
2週 結晶粒界による強化機構 結晶粒界による強化の発現機構を理解する。
3週 溶質原子による強化機構(固溶強化) 固溶原子(侵入型・置換型)による強化の発現機構を理解する。
4週 粒子による強化機構(析出強化)① 析出物といった粒子による強化の発現機構を理解する。
5週 粒子による強化機構(析出強化)② 析出物といった粒子による強化の発現機構を理解する。
6週 機械試験法 材料の強度を表す指標とそれを定量的に測定するための機械試験法を知る。
7週 回復と再結晶 加工熱処理に関わる回復・再結晶現象を理解する。
8週 到達度試験
4thQ
9週 合金の平衡状態図と材料組織① 合金を冷却したときに形成される組織と状態図との関連を理解する。
10週 合金の平衡状態図と材料組織② 合金を冷却したときに形成される組織と状態図との関連を理解する。
11週 合金の平衡状態図と材料組織③ 合金を冷却したときに形成される組織と状態図との関連を理解する。
12週 合金の平衡状態図と材料組織④ 合金を冷却したときに形成される組織と状態図との関連を理解する。
13週 鉄鋼材料の組織制御と強度① 鉄-炭素系の状態図を理解する。
14週 鉄鋼材料の組織制御と強度② 鉄-炭素系状態図に現れる相の名称・組織名を把握する。
15週 鉄鋼材料の組織制御と強度③ 鉄-炭素系状態図に現れる相の名称・組織名を把握する。
16週 到達度試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。1
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。1
気体の内部エネルギーについて説明できる。2
化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。2
物質が原子からできていることを説明できる。2
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。2
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。1
純物質と混合物の区別が説明できる。3
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。1
水の状態変化が説明できる。2
物質の三態とその状態変化を説明できる。3
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。2
同位体について説明できる。1
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。1
価電子の働きについて説明できる。1
原子のイオン化について説明できる。2
イオン結合について説明できる。2
イオン結合性物質の性質を説明できる。2
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。2
共有結合について説明できる。2
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。2
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3
金属の性質を説明できる。3
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。2
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。1
気体の体積と物質量の関係を説明できる。1
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。1
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。1
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。1
無機化学イオン結合と共有結合について説明できる。2
金属結合の形成について理解できる。3
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。3
化学工学SI単位への単位換算ができる。3後1

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000