電子工学基礎

科目基礎情報

学校 香川高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 電子工学基礎
科目番号 243114 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 電気情報工学科(2019年度以降入学者) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 教科書:総合物理1 (啓林館)、総合物理2 (啓林館)
担当教員 山本 雅史,太良尾 浩生

到達目標

・角運動量と剛体に関する力学を理解できる。
・静電気、電界、電位、コンデンサをイメージでき、それらに関する問題を解くことができる。
・磁気力と磁界、電流がつくる磁界、電流が磁界から受ける力、ローレンツ力をイメージでき、それらに関する問題を解くことができる。
・自由電子運動の基礎を理解するうえで重要となる気体分子の運動について理解する。
・エレクトロニクスの基礎知識の理解と電子の振る舞いやバンド図についての基礎的な理解に基づいて,半導体や電子デバイスの原理や動作などについて理解するとともに、これから学習するエレクトロニクス科目の基礎知識を身に着ける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
電界・電位および磁界・電磁力の基礎静電気、電界、電位、コンデンサ、磁気力と磁界、電流がつくる磁界、電流が磁界から受ける力、ローレンツ力を図等を用いて説明でき、それらに関する応用問題を解くことができる。静電気、電界、電位、コンデンサ、磁気力と磁界、電流がつくる磁界、電流が磁界から受ける力、ローレンツ力をイメージでき、それらに関する問題を解くことができる。静電気、電界、電位、コンデンサ、磁気力と磁界、電流がつくる磁界、電流が磁界から受ける力、ローレンツ力をイメージできず、それらに関する問題を解くこともできない。
角運動量と剛体に関する力学の基礎角運動量と剛体に関する力学を理解でき,図やイラスト等を用いて説明できる。角運動量と剛体に関する力学を理解できる。角運動量と剛体に関する力学を理解できない。
気体の分子運動と気体の性質気体の分子運動という観点から気体の特性について理解し説明することが出来るとともに知識を応用して種々の問題が解ける気体の分子運動という観点から気体の特性について理解し説明することが出来る気体の分子運動という観点から気体の特性について理解し説明することが出来ない
半導体の特性と半導体を用いたデバイス半導体および半導体素子の原理をバンド図を基に説明できるとともに、新しい素子についてもこの知識を基に理解することが出来る半導体および半導体素子の原理をバンド図を基に説明できる半導体および半導体素子の原理をバンド図を基に説明できない
半導体デバイスの利用半導体素子を使った応用回路の原理につて自ら理解していける能力を持っている半導体素子を使った簡単な応用回路の原理につて説明できる半導体素子を使った簡単な応用回路の原理につて説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電子工学(エレクトロニクス)を勉強していくために必要となる基礎的概念について、力学、電磁気分野、熱分野、エレクトロニクス分野、半導体分野に分け講義する。
定性的に理解を深め今後エレクトロニクスを学んでゆくための基礎知識や電気・電子回路、電磁気学を学ぶ上で必要な自然科学の基礎能力を身に付ける。
授業の進め方・方法:
講義または演習形式で実施する。教科書の内容を中心とし,板書をしながらもしくはスライドを示しながら講義を進めていく。
特に半導体分野に関する項目については教科書にない内容を大幅に追加して講義する。
演習では,教科書の設問や例題、章末問題および配布プリント等を用いる。
注意点:
授業前日までに、授業当日の教科書の該当ページもしくは配布プリントについて予習をすることを必須とする。
予習の内容の例として、以下に2つが挙げる。
 (1)学習内容に出てくるこれまでに数学や物理で学んだことであやふやとなっている点についての復習
 (2)学習内容を見て理解しにくいところを確認し質問事項等の事前準備

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
電界と電位
・電界と電位の関係を説明できる
・電気力線や等電位面をイメージできる
2週 電界と電位,コンデンサー
・点電荷から電界や電位の計算ができる
・コンデンサーの性質を理解し,簡単な計算ができる
3週 コンデンサー ・コンデンサーの性質を理解し,合成容量の計算ができる
・コンデンサーを含む直流回路で電荷や電圧を計算できる
・誘電体を含むコンデンサーの容量を計算できる
4週 電流 ・電荷と電流の関係を理解し,簡単な計算ができる
5週 電流と磁界 ・電流と磁界の関係を説明できる
・磁力線をイメージできる
6週 電流と磁界 ・与えられた電流から磁界を計算できる
・電流が磁界から受ける力を計算できる
7週 前期中間試験
8週 物質の3態変化、気体分子の熱運動、気体の圧力、ボイルの法則、シャルルの法則
・物質の熱運動について理解し、3態における運動状態の違いを説明することが出来る。
2ndQ
9週 理想気体の状態方程式、気体分子の運動と圧力、気体の内部エネルギー

・気体における状態方程式を熱運動と絡めて説明することが出来る。
・気体分子の運動を用いて圧力の式の導出ができる。
・気体のする仕事について導出することが出来る。

10週 気体のする仕事、熱力学の第1法則、気体の状態変化
サイクル、熱機関、ヒートポンプ

・気体の状態変化について式を用いて計算できる。
・サイクル中の熱や仕事の出入りさらには効率を計算できる。
・熱機関やヒートポンプの動作について説明できる。
11週 原子モデルとスペクトル、放電現象と電子 ・原子の構造や放電現象について説明することが出来る。
12週 電界と磁界中で電子が受ける力
トムソンの実験、ミリカンの実験
・電界、磁界中の電子が受ける力を計算することが出来る。
・実験式を導出することが出来る。
13週 力のモーメント,角運動量,角運動量保存則 ・力のモーメント,角運動量,角運動量保存則を理解できる。
14週 剛体における力のつり合い,重心,慣性モーメント ・剛体における力のつり合い,重心,慣性モーメントを理解できる。
15週 光電子放出、光電効果の特性、光の粒子性
粒子性と波動性(散乱・回折・干渉、薄膜干渉)
エレクトロンボルト、X線
・光や電子の2重性について理解し、それらの性質による現象を説明することができる。
・光電子放出について説明できるとともに、光の2重性の概念について説明できる。
・電子ボルトやX線について説明することが出来る。
16週 前期末試験 試験返却
後期
3rdQ
1週 バンド構造の形成、導体・絶縁体・半導体のバンド構造、フェルミ分布 ・なぜバンド構造が形成されるか説明することが出来る。
・材料の違いによりバンド構造が異なり、バンド構造の違いによりどのように電気伝導度の違いが出てくるか説明することが出来る。
・フェルミ分布について説明することが出来る。
2週 真性半導体、n/p型半導体、拡散とドリフト、電流密度と移動度 ・真性半導体についてその特徴が説明できるとともに、正孔の概念についても説明することが出来る。
・n形、p形半導体のバンド構造とそのようなバンド構造になる理由を説明することが出来る。
・電気伝導のメカニズムについて説明することが出来る。
・固体中の電量密度を移動度を用いて表すことが出来る。
3週 電気抵抗、ダイオードの構造、pn接合のバンド構造、順方向電圧とバンド構造、逆方向電圧とバンド構造 ・導電率から抵抗値を求めることが出来る
・p型半導体とn型半導体を接合したときのバンド図について説明することが出来る
・順方向電圧を加えた時のバンド図の変化を説明することが出来る。
・順方向電流が流れることを説明できる。
・逆方向電圧を加えた時のバンド図の変化を説明することが出来る。
・逆方向電流が流れることを説明できる。
4週 ダイオードの電圧-電流特性、ショットキーダイオード、ツェナーダイオード、整流回路、波形整形回路 ・ダイオードの電圧-電流特性について説明でき、簡単なダイオードを含む回路の解析ができる。
・ショットキーダイオードの動作について説明できる。
・半波整流回路と全波整流回路について説明できる。
・整流回路の動作について説明できる。
・種々の波形整形回路の動作について説明できる。
5週 トランジスタの動作原理 ・トランジスタの構造や働きを説明できる。
・トランジスタの動作原理をバンド図を使って説明できる。
6週 トランジスタの静特性、MOS構造 ・トランジスタ回路の基本動作を説明できる。
・MOS構造とその界面状態について説明できる。
7週 MOSFET ・MOSFETの構造や動作の原理をバンド図を使って説明できる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 パワーデバイス(サイリスタ、GTO、IGBT) ・種々のパワーデバイスについて構造や動作原理について説明できる。
10週 パワーデバイス(サイリスタ、GTO、IGBT) ・種々のパワーデバイスについて構造や動作原理について説明できる。
11週 電子デバイス(ゼーベック素子、ペルチェ素子、ホール素子、CdS、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、LED、LD) ・ゼーベック素子、ペルチェ素子、ホール素子、CdS、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、LED、LDについて説明できる。
12週 電子デバイス(ゼーベック素子、ペルチェ素子、ホール素子、CdS、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、LED、LD) ・ゼーベック素子、ペルチェ素子、ホール素子、CdS、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、LED、LDについて説明できる。
13週 電子デバイス(ゼーベック素子、ペルチェ素子、ホール素子、CdS、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、LED、LD) ・ゼーベック素子、ペルチェ素子、ホール素子、CdS、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、LED、LDについて説明できる。
14週 デバイス製造プロセス ・一般的なリソグラフィープロセスについて説明できる。
15週 デバイス製造プロセス ・一般的なリソグラフィープロセスについて説明できる。
16週 後期末試験 試験返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験小テスト合計
総合評価割合955100
電界・電位および磁界・電磁力の基礎20525
角運動量と剛体に関する力学の基礎505
気体の分子運動の基礎20020
半導体物理の基礎25025
半導体デバイスの基礎25025