複素関数論

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 複素関数論
科目番号 4Z011 科目区分 一般 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:1
教科書/教材 高専テキストシリーズ 応用数学 上野健爾/森北出版株式会社
担当教員 青影 一哉

到達目標

1.複素関数に関する基本的事項を理解し,それらの値を計算できる.
2.複素関数の微分の概念を理解し,関数の微分を計算できる.
3.複素関数の積分を理解し,曲線に応じた方法で積分値を計算できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1主値の概念まで含めた関数の理解ができる.複素関数に関する基本的事項を理解し,それらの値が計算できる.複素関数の値が計算できない.
評価項目2コーシー・リーマンの定理を用い,正則関数の判定を行うことができる. 複素関数の微分の概念を理解し,正則関数の微分が計算できる.正則関数の微分が計算できない.
評価項目3単純閉曲線内部に高位特異点が複数存在するときの複素積分を留数定理を用いて計算できる.複素関数の積分を理解し,曲線に応じた方法で積分値が計算できる.複素関数の積分を理解し,曲線に応じた方法で積分値が計算できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 この科目の内容は,まず,4年次の複素平面の事項(n乗根等)を復習した後,複素数の関数を導入し,基本的な関数(指数関数・対数関数・三角関数等)についてその計算練習を行います.次に,それらの関数の複素数の意味での微分・積分を学び,とくに,複素数の意味で微分できる関数(正則関数)について,それらが持っている性質を詳しく見てみます.そして最後に,「ほぼ正則な関数の複素積分が(積分の計算ではなく)微分の計算によって求められる」という「留数定理」を学び,それを実数の関数の積分の計算にも応用します.
 4学年までの数学の中の解析学関係で,関数について様々なことを学んできました.とくに,微分積分とその応用は,工学の専門科目へ応用されることが多かったと思います.しかし,そこで学んだ関数は全て実数の関数でした.ここでは,複素数の関数について,微分積分等を学ぶことになります.
 さて,実数より複雑な複素数で微分積分等を考えることは,実数の場合より難しくなりそうな気がしますが,不思議なことに,複素数で考えた方が簡単になる事項もあります.また,実数の範囲では計算できないような積分が,至極簡単に計算できる定理もあります.これは,「 狭い視野で見ていたときは煩雑に見えていた物事が,広い視野で見ると,すっきり見える場合がある」という状況に似ています.
そこで,この複素関数論では,次の1),2),3)に重点を置いて,授業を行って行きます.
1)今まで実数の関数で 学んできた事項を再確認し,知識・実力の定着を図ること.
2)今まで 実数の関数で 学んできた事項が複素数の関数になると,どのように変わり,どのような新しいことが成り立つのかを理解すること.
3)物事を,狭い視野から広い視野で見てみるという姿勢を培うこと.
授業の進め方・方法:
 講義形式,グループワーク等による授業および問題演習.内容の理解と定着をはかるため,講義内容に沿ったレポートを提出してもらいます.
 この科目は学修単位科目のため,事前・事後学習としてレポートの提出を課します.
注意点:
有明高専の数学第1~3巻、また2変数関数の内容を理解している必要があります.
成績評価のために,2回の定期試験を行います.レポート課題は20%で評価する.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業の概要説明
実関数の複素化(三角関数)
複素関数の概要を知る.
複素数の指数関数(e^z)・定義を理解し,値の計算ができる.
2週 複素関数の計算と複素関数の極限 複素数の対数関数の定義を理解し,値の計算ができる.
複素関数の収束・発散の概念を理解し,調べることができる.
3週 複素関数の微分(定義) 複素関数,複素微分,正則関数の概念を理解し,複素微分の計算ができる.
4週 コーシー・リーマンの定理 正則関数の判定条件を理解し,判定ができる.
5週 複素平面上の曲線と複素積分の定義 複素関数の線績分の概念を理解し,積分の計算ができる.
6週 複素積分(ジョルダン閉曲線) 複素関数のジョルダン閉曲線上の積分の計算ができる.
7週 コーシーの積分定理 コーシーの諸定理を理解する.
8週 中間試験
2ndQ
9週 積分経路変更1 積分経路の変更を理解し, 計算できる.
10週 積分経路変更2、コーシーの積分表示 特異点が複数ある場合の積分経路の変更ができる.
11週 グルザの公式、級数 グルザの公式を用いて積分の計算が出来る.
テイラー展開の計算を確認する.
12週 ローラン展開 複素関数のローラン展開の概念を理解し, 計算ができる.
13週 特異点の分類、留数定理 複素関数の特異点・極, 留数の概念を理解し,留数の計算ができる.
14週 留数定理の計算 留数定理の仕組みを理解し, 留数定理を用いた複素積分の計算ができる.
15週 復習 複雑な複素積分の計算ができる.
16週 テスト返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力80000200100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000