到達目標
1.電荷と電流,電圧,抵抗について説明でき,オームの法則を用いて電流・電圧・抵抗の計算ができる.(M,E,J)
2.合成抵抗や分圧・分流の考え方を説明し,直流回路の計算に用いることができる.(M,E,J)
3.キルヒホッフの法則を説明し,直流回路の計算に用いることができる.(M,E,J)
4.ブリッジ回路を計算し,平衡条件を求めることができる.(E)
5.重ねの理を説明し,直流回路の計算に用いることができる.(E)
6.抵抗におけるジュール熱,電力と電力量を説明し,これらを計算できる.(M,E,J)
7.正弦波交流の表記法がわかる。(M,J)
8.簡単な交流回路の計算ができる。(M,J)
9.半導体素子の基本的な特徴を説明できる。(J)
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1(M,E,J) | オームの法則を用いて,電源につながれた抵抗に流れる電流を計算できる. | 電荷と電流の関係,電圧,抵抗の物理的意味と,オームの法則を理解できる. | 電圧,電流,抵抗について説明できない.オームの法則を理解できない. |
評価項目2(M,E,J) | 抵抗の直並列回路について,分圧・分流の式を用いて各抵抗の電圧・電流を計算できる. | 抵抗の直並列回路の合成抵抗を計算でき,分圧・分流の考え方を説明できる. | 抵抗の直並列回路における合成抵抗を計算できない.各抵抗に流れる電流の計算方法がわからない. |
評価項目3(M,E,J) | キルヒホッフの法則を用いて,最内周ループが3つの場合の回路内の電流を計算できる. | キルヒホッフの法則を説明でき,最内周ループが2つの回路内の電流を計算できる. | キルヒホッフの法則を理解できず,回路方程式を立てることができない. |
評価項目4(E) | ホイートストンブリッジにおいて,平衡条件を用いて未知抵抗を計算できる. | ブリッジ回路の構成を理解し,平衡条件を導くことができる. | ブリッジ回路の構成がわからず,平衡条件も理解できない. |
評価項目5(M,E) | 最内周ループが2つ,電源3個の回路における電流を重ねの理を用いて計算できる. | 重ねの理を説明でき,最内周ループが2つ,電源2個の回路内の電流を計算できる. | 重ねの理を理解できない. |
評価項目6(M,E,J) | 標準的な到達レベルに加えて,負荷で最大消費電力が得られる整合条件を理解できる. | 電力量と電力の物理的意味を理解し,抵抗におけるジュール熱,電力,電力量を計算できる. | 電力や電力量について説明できない. |
評価項目7(M,J) | フェーザを用いて正弦波交流を表現できる。 | 正弦波交流を描くことができる。 | 正弦波交流を描くことができない。 |
評価項目8(M,J) | 交流で直並列回路の電圧・電流を計算できる。 | 交流で直列回路の電圧・電流を計算できる。 | 交流で直列回路の電圧・電流を計算できない。 |
評価項目9(J) | ダイオードやトランジスタが含まれる簡単な回路の計算ができる。 | ダイオードやトランジスタの特徴を説明できる。 | ダイオードやトランジスタの特徴を説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
本授業では,すべての電気電子回路の基本となる直流電源と抵抗で構成される直流回路について理解し,各種の公式,諸定理を用いて回路解析ができるレベルを目標とする.まず,抵抗,電圧,電流の物理的意味を理解した上で,オームの法則と合成抵抗の計算方法,電圧の分圧と電流の分流について学び,回路内の電流,電圧の基本的な計算方法を習得する.さらに,回路解析法としてキルヒホッフの法則と重ねの理を理解し,それらを用いた計算方法を習得する.また,ブリッジ回路,消費電力と電力量の計算方法についても習得する.
なお授業内容は公知の情報のみに限定されている.
授業の進め方・方法:
・本授業の内容は,すべて高専・電気電子系の卒業生として当然習得しておくべき必要な内容であり,電気電子コース2年後期以降に学ぶ「電気回路」や「電子回路」等のすべての回路系科目につながる基本的な直流回路に関する諸定理や計算方法を学ぶ授業である.一方,機械コース,情報コースにおいても,論理回路やパルス回路,モータ制御回路など直流電源を用いた回路設計の手段となるため,回路に関する共通基礎知識として習得しておくべき内容である.
・電気電子コースは前期(担当:中津川),機械コース(担当:中津川)と情報コース(担当:三島)は後期に講義を行う。
・機械コース,電気電子コースは毎回講義シートと演習シートを配付し,講義シートに沿って授業を進め,演習シートで計算演習を行う.講義シートは授業中に必要事項を書き込んでいくことでテキストとなるので,ファイルしておくなど整理しておくことが必要である.演習シートについては,課題として評価を行う.情報コースは板書ベースで授業を進め,毎回演習問題を自学自習として課す。
注意点:
・回路計算を行う場合は,単に理論式への代入や,単なる方程式として解くのではなく,回路を流れる電流や抵抗にかかる電圧を把握しながら計算して行くことが重要である.また,回路の解析では,ひとつの計算方法にこだわるのではなく,いろいろな計算方法で計算できるようにすることも重要である.
・定期試験では,例題や演習問題の解き方を丸暗記しても通用しないので十分に注意すること.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
(M,E,J)ガイダンス(0.5h) (M,E)電荷と電流,電源と負荷(1.5h,コア) (J)電気回路の応用例(1.5h,コア) |
本授業の内容,位置づけ,到達目標を理解する (M,E)電荷と電流の関係,電源と負荷の関係を説明できる (J)電気回路の応用例を説明できる
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2週 |
(M,E,J)電流,電圧,抵抗の関係(1h,コア) (M,E,J)オームの法則(1h,コア) |
電流,電圧,抵抗の関係を理解し,オームの法則を用いて抵抗に流れる電流を計算できる
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3週 |
(E)抵抗の直列接続と合成抵抗(2h,コア) (M,J)抵抗の直並列接続と合成抵抗(2h,コア) |
(E)抵抗の合成抵抗の考え方を理解し,抵抗を直列接続したときの合成抵抗と電流を計算できる (M,J)抵抗の直並列接続と合成抵抗がわかる
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4週 |
(E)抵抗の並列接続と合成抵抗(2h,コア) (M,J)キルヒホッフの法則(2h,コア) |
(E)抵抗を並列接続したときの合成抵抗と電流を計算できる (M,J)直流回路のキルヒホッフの法則がわかる
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5週 |
(E)電圧降下と分圧(2h,コア) (M,J)回路網解析(2h,コア) |
(E)電圧降下と抵抗の直列接続における分圧を理解できる (E)分圧の式を使って回路の電圧の計算ができる (M,J)キルヒホッフの法則を用いて簡単な直流回路の解析ができる
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6週 |
(E)分流と回路内の電流の求め方(2h,コア) (M,J)電力と電力量(2h,コア) |
(E)抵抗の並列接続における分流について理解できる (E)分流の式を用いて回路内の電流を計算できる (M,J)直流回路の電力と電力量を計算できる
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7週 |
(E)回路内の電流・電圧の総合演習(2h) (M,J)総合演習(2h) |
(E)抵抗の直列,並列接続が組み合わされた回路の各抵抗における電流,電圧を計算できる (M,J)これまでの範囲の総合的な演習を通して理解を定着させる
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8週 |
(M,E,J)中間試験 |
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4thQ |
9週 |
(M,E,J)答案返却・解答解説(0.5h) (E)キルヒホッフの法則(1.5h,コア) (M,J)正弦波交流(1.5h)
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間違った問題の正しい解法を理解する (E)キルヒホッフの電流則を理解し,説明できる (M,J)正弦波交流の基礎がわかる
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10週 |
(E)枝路電流法による電流の求め方(2h,コア) (M,J)正弦波交流のフェーザ表示(2h) |
(E)キルヒホッフの電圧則を理解し,最内周ループが2つの回路内の電流について,枝路電流法を用いて計算することができる (M,J)正弦波交流をフェーザ表示できる
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11週 |
(E)ループ電流法による電流の求め方(2h,コア) (M)コイル(2h) (J)簡単な交流回路の解析(2h,コア) |
(E)最内周ループが2つの回路内の電流について,ループ電流法を用いて計算することができる (J)簡単な交流回路の解析ができる (M)コイルの特徴と複素インピーダンスが理解できる
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12週 |
(E)ブリッジ回路と平衡条件(2h,コア) (M)コンデンサ(2h) (J)交流電力(2h) |
(E)ブリッジ回路の構成を理解し,平衡条件を導くことができる(授業ではキルヒホッフの法則は用いない) (J)交流電力の基本的な特性がわかる (M)コンデンサの特徴と複素インピーダンスが理解できる
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13週 |
(E)重ねの理(2h,コア) (M)抵抗、コイル、コンデンサによる回路(2h,コア) (J)ダイオードとトランジスタの基本特性(2h,コア) |
(E)重ねの理を説明することができ,重ねの理を用いて回路内の電流を計算できる (J)ダイオードとトランジスタの基本的な特性がわかる (M)R,L,Cを含んだ回路及び重ねの理を理解し計算に利用できる
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14週 |
(E)消費電力と電力量(2h,コア) (M,J)総合演習(2h) |
(E)ジュール熱,電力,電力量について理解し,説明できる 抵抗における消費電力と電力量を計算できる (E)負荷において最大消費電力が得られる条件を理解する (M,J)これまでの範囲の総合的な演習を通して理解を定着させる
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15週 |
(M,E,J)期末試験 |
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16週 |
(M,E,J)試験答案返却・解答解説(1h) (M,E,J)本授業の総まとめ |
間違った問題の正答を求めることができる
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 電気 | オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | 後2 |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | 後3,後4 |
ジュール熱や電力を求めることができる。 | 3 | 後14 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 電荷と電流、電圧を説明できる。 | 4 | 後1 |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 4 | 後2 |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 4 | 後9,後10,後11 |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 4 | 後3,後4,後5,後6,後7,後13 |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 4 | 後12 |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 4 | 後14 |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 2 | |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 2 | |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 2 | |
情報系分野 | その他の学習内容 | オームの法則、キルヒホッフの法則を利用し、直流回路の計算を行うことができる。 | 4 | 後2,後7,後9,後10,後11,後13 |
トランジスタなど、ディジタルシステムで利用される半導体素子の基本的な特徴について説明できる。 | 2 | |
評価割合
| 試験 | 課題(演習) | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 90 |
分野横断的能力 | 0 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 |