電子回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電子回路Ⅰ
科目番号 0202 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産システム工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 根岸照雄、中根 央、高田英一 共著「電子回路基礎」(コロナ社)/ 雨宮好文著「基礎電子回路演習」(オーム社)
担当教員 高田 明雄

到達目標

1.トランジスタの構造を理解し、基本動作と電気的特性との関係を説明できる。
2.トランジスタ(バイポーラトランジスタ、FET)の特徴と等価回路を説明できる
3.トランジスタ増幅器のバイアス法について説明できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1トランジスタのはたらきを理解し、それと電気的特性との関係性を式と言葉を使って説明できる。トランジスタのはたらきを理解し、それと電気的特性との関係を言葉で説明できる。トランジスタのはたらきを理解せず、さらにはそれと電気的特性との関係を説明できない。
評価項目2トランジスタの電気回路モデル(小信号等価回路)およびパラメータについてその導出根拠を含め説明できる。トランジスタの電気回路モデル(小信号等価回路)およびパラメータについて説明できる。トランジスタの電気回路モデル(小信号等価回路)およびパラメータについて説明できない。
評価項目3トランジスタのバイアス量について、トランジスタの電気的特性を踏まえて説明・導出できるトランジスタのバイアス量を導出できる。トランジスタのバイアス量を導出できない。

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
ダイオードやトランジスタは家電製品をはじめとするあらゆる電子機器や通信機器等に組み込まれている。また、これらの半導体素子を使った電気回路は電子回路と呼ばれ、抵抗、コイルあるいはコンデンサという受動部品からなる回路ではできない様々な機能をもっている。本科目では、ダイオードやトランジスタの動作の説明、電気回路モデルを使った表現について説明できるようになり、さらには、それらの素子を組み込んだ電子回路全体の動作を説明できることを目標とする。
授業の進め方・方法:
予備基礎知識として、電気回路と電子工学の両方の基礎的な知識があれば十分と考えられる。電子工学、特に半導体に関する基礎知識が導入部で要求され、さらに、後半では電気回路の電流源や電圧源について回路計算の知識、さらには対数、微分、ベクトルあるいは複素数などの数学の知識も必要となる。
注意点:
この科目は数学のように基礎の積み上げで確実に理解が得られる学問ではなく、断片的に学んだいろいろな単元(例えば、動作や電流―電圧特性など)を別々に記憶しようとするのではなく、それらの相互関係を自分の頭の中で反すう、あるいは再構築する努力が大切である。そのため、習った内容を直ぐ理解できなかったとしても、投げ出さずに次の単元を学び続ける姿勢が大切である。暗記中心の勉学方法は、理解を遅らせる要因となるためやめるべきであろう。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス(1h)
1.半導体素子
◇ダイオード(コア)(1h)
授業計画および電子回路の特徴や応用範囲の説明

pn接合とダイオードについて説明できる。
2週 ◇トランジスタの類似モデル
 
◇バイポーラ・トランジスタ(コア)
トランジスタの電流を制御する仕組みに類似したモデルとして、水道管の水流調節(制御)が挙げられる。この水道管モデルでトランジスタの基本動作を説明できる。

トランジスタの構造およびその構造内におけるキャリアの動きに基づいて動作の説明ができる。また、電流―電圧特性について説明できる。
3週 ◇トランジスタの類似モデル
 
◇バイポーラ・トランジスタ(コア)
トランジスタの電流を制御する仕組みに類似したモデルとして、水道管の水流調節(制御)が挙げられる。この水道管モデルでトランジスタの基本動作を説明できる。

トランジスタの構造およびその構造内におけるキャリアの動きに基づいて動作の説明ができる。また、電流―電圧特性について説明できる。
4週 ◇電界効果トランジスタ(FET)(コア) FETの構造および動作を説明できる。また、電流―電圧特性について説明できる。接合形FETおよびMOSFETの動作および電流-電圧特性について説明できる。
5週 ◇電界効果トランジスタ(FET)(コア) FETの構造および動作を説明できる。また、電流―電圧特性について説明できる。接合形FETおよびMOSFETの動作および電流-電圧特性について説明できる。
6週 2.能動素子の取り扱い方
◇電圧源,電流源と基本接続

◇小信号等価回路(線形等価回路)
・接地方式
電子回路内において交流信号のみに着目した回路、すなわち小信号等価回路の意味を説明できる。
各種接地FETの等価回路を描け、入力、出力それぞれにおける電流および電圧の関係を表現できる
7週 ◇小信号等価回路(線形等価回路)
・接地方式
各種接地FETの等価回路を描け、入力、出力それぞれにおける電流および電圧の関係を表現できる
8週 中間試験
4thQ
9週 試験答案返却・解答解説(1h)

◇小信号等価回路(線形等価回路)[続き]
・小信号等価回路のhパラメータ表現
誤解答部分や未解答部分の正当な解法を確認できる

バイポーラ・トランジスタのhパラメータ表現について理解できる。
10週 ◇小信号等価回路(線形等価回路)[続き]
・小信号等価回路のhパラメータ表現
・hパラメータの物理意味
・バイポーラ・トランジスタの各種接地方式および小信号等価回路
バイポーラ・トランジスタのhパラメータ表現について理解できる。
トランジスタの特性とhパラメータとの相互関係および各種接地回路の等価回路を描くことができる
11週 ◇小信号等価回路(線形等価回路)[続き]
・小信号等価回路のhパラメータ表現
・hパラメータの物理意味
・バイポーラ・トランジスタの各種接地方式および小信号等価回路
バイポーラ・トランジスタのhパラメータ表現について理解できる。
トランジスタの特性とhパラメータとの相互関係および各種接地回路の等価回路を描くことができる
12週 3.増幅回路の基礎
◇動作量の定義、利得のデシベル表示

増幅回路における動作量ならびに利得の定義、利得のデシベル表示について説明できる
13週 ◇バイアス法(コア) トランジスタを使った増幅器におけるバイアス法を理解し,回路内各部の電流および電圧を求めることができる。
14週 ◇バイアス法(コア) トランジスタを使った増幅器におけるバイアス法を理解し,回路内各部の電流および電圧を求めることができる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 誤解答部分や未解答部分の正当な解法を確認できる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4後1
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4後2,後3
FETの特徴と等価回路を説明できる。4後1,後3,後4,後5,後6
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。4後13,後14
電子工学電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4後4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000