生物工学入門

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 生物工学入門
科目番号 0042 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質環境工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 浜本哲郎・浜本牧子著「Q&Aで学ぶやさしい微生物学」(講談社サイエンティフィック)
担当教員 藤本 寿々

到達目標

1.微生物の分類,構造,代謝,増殖環境,利用法(食品や環境改善)について説明できる。
2.微生物に起因する感染症とその予防法について説明できる。
3.微生物が食品や医薬品,環境改善などに幅広く利用されている例を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1微生物の分類,構造,代謝,増殖環境について十分理解し,他の生物との差異や応用例について説明できる。微生物の分類,構造,代謝,増殖環境について説明できる。微生物の分類,構造,代謝,増殖環境について説明できない。
評価項目2微生物に起因する感染症やその予防法について十分理解し,免疫機能による生体防御のしくみについても説明できる。微生物に起因する感染症やその予防法について説明できる。微生物に起因する感染症やその予防法について説明できない。
評価項目3微生物が食品や医薬品,環境改善などに幅広く応用されていることを理解し,その応用例について詳細に説明することができる。微生物が食品や医薬品,環境改善などに幅広く応用されていることを説明できる。微生物が食品や医薬品,環境改善などに幅広く応用されていることを説明できない。

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生物工学の中でも,微生物を利用したバイオテクノロジーは,食糧生産,医薬品,環境保全の分野において,極めて大きな役割を果たしてきた。本講義では,微生物の分類,構造,代謝,増殖環境,利用法,微生物に起因する感染症とその予防法などについて学習する。
授業の進め方・方法:
バイオテクノロジーの進歩は目覚ましく,21世紀を支える最も重要なテクノロジーとも言われている。新聞やニュース等で取り上げられるバイオ関係の記事には良く目を通しておくこと。定期試験は,授業で学習した内容からほとんど出題するので,授業中に真剣に取り組み,学習内容をしっかり定着させるよう努力すること。授業の最後に授業内容の定着を確認する演習をForms形式で実施することがあるので,授業中に理解する意識で臨んでください。
注意点:
授業中の居眠り・携帯電話の使用・私語など,受講態度の悪い学生は減点とするので,十分に注意すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 0.ガイダンス
1.微生物学の初期研究
本科目の学習内容と重要性を説明できる。
顕微鏡の発明,微生物の発見,自然発生説に関する実験などの初期研究について理解できる。
2週 2.微生物の種類と細胞構造 微生物の定義と五界説における分類を説明できる。
有用な微生物の学名を書くことができる。
微生物の大きさを説明できる。
3週     〃 細菌(原核生物)の種類,形,増殖方法,細胞構造,グラム染色による細菌の分類方法を理解できる。
4週     〃 カビ・酵母(真核生物)の種類,増殖方法,細胞構造を説明できる。
ウィルス,原生生物,アーケアに属する生物の特徴を理解できる。
5週 3.微生物の増殖と代謝 微生物実験に用いる滅菌方法を理解できる。
微生物の増殖曲線,全菌数と微生物の生菌数の調べ方を説明できる。
6週     〃 計算盤を用いて微生物数が計算できる。
基本的な微生物の培養方法を理解できる。
DNAの構造,塩基の相補性,DNA・染色体・ゲノム・遺伝子の関係について理解できる。
生物試料からDNAの抽出方法を説明できる。
7週     〃 DNAの複製と細胞周期につい理解できる。
発生過程における組織の分化について説明できる。
8週 中試験
4thQ
9週 試験答案返却・解答解説
微生物を利用した研究に関するビデオ鑑賞
試験問題を通じて間違った箇所を理解できる。
最新の微生物研究を知り,理解した内容を文章にまとめることができる。
10週 3.微生物の増殖と代謝
DNAの遺伝情報からタンパク質を合成する転写・翻訳の過程の概要を説明できる。
同化・異化の定義およびエネルギー物質としてのATPについて説明できる。
11週     〃 炭酸同化(光合成)の過程を理解し,光合成色素の働きを説明できる。
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)と好気呼吸の過程の概要を説明できる。
12週 4.病気と微生物 免疫反応による生体防御のしくみとフィードバック制御による体内の恒常性のしくみを理解できる。
13週     〃
5.利用される微生物
動物や植物に感染する微生物,食中毒を引き起こす微生物について理解できる。
微生物を利用した醸造や発酵食品について理解できる。
14週     〃
6.環境と微生物
微生物を利用した主な抗生物質の生産方法について理解できる。
特殊な環境に生息する微生物の応用例について説明できる。
地球環境保護・改善に果たす微生物の役割について説明できる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 試験問題を通じて間違った箇所を理解できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。2後3,後4
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。2後3
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。2後10,後11
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。2後11
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。2後11
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。2後6
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。2後10
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。2後6
細胞周期について説明できる。2後7
分化について説明できる。2後7
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。2後6
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。2後12
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。2後12
生物化学ヌクレオチドの構造を説明できる。2後6
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。2後6
DNAの半保存的複製を説明できる。2後7
RNAの種類と働きを列記できる。2後10
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。2後10
解糖系の概要を説明できる。2後11
クエン酸回路の概要を説明できる。2後11
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。2後11
各種の光合成色素の働きを説明できる。2後11
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。2後11
炭酸固定の過程を説明できる。2後11
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。2後3
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。2後4
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。2後5
微生物の育種方法について説明できる。2後6
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。2後6
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。2後11,後13
食品加工と微生物の関係について説明できる。2後12,後13
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。2後9,後14
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。2後14
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】生物工学実験適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。2後6

評価割合

中試験学年末試験確認問題態度課題その他合計
総合評価割合404000200100
基礎的能力10100010030
専門的能力30300010070
分野横断的能力0000000