分析化学

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 分析化学
科目番号 0047 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 富田 功・長島弘三著「分析化学」(裳華房)/プリント(演習問題他),渋谷康彦他共著「新版分析化学演習」(三共出版)
担当教員 鹿野 弘二

到達目標

1. 定性分析および定量分析について種類・原理を説明できる.
2. 溶液中の物質の分離法と機器分析法の種類・原理を説明できる.
3. 固体試料の機器分析法の原理を説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各種イオンの定性分析法ならびに各種容量分析法について原理を説明できる.定性分析法や容量分析法の内5割について原理を説明できる.左記について説明できない.
評価項目2溶液中の物質の各種分離法と機器分析法について原理を説明できる.分離法と機器分析法の内5割について原理を説明できる.左記について説明できない.
評価項目3固体試料の各種機器分析法について原理を説明できる.機器分析法の内5割について原理を説明できる.左記について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学物質がどのような元素や化合物から構成されるかを知る目的で,分析化学では化学的方法で物質の組成を決め,化学的計測を行い,分離を行う技術の原理を学びます.授業の前半は基本となる定性・定量分析法を,後半は溶液中の物質の分離法および機器分析法と固体試料の機器分析法を学びます.全体を通して溶液の濃度計算や化学平衡などの基本的事項も学びます.
授業の進め方・方法:
・実験を通じて実用的な分析技術を習得することが重要であるため,授業は第2学年の「物質工学実験I」と
密接な関連をもってなされる.
・配布したプリントをもとに講義を実施する.プリントには重要な事項は空欄としているので授業中は集中す
ることが重要である.
・講義内容に関連したレポート(課題)を課すが,提出期限を遵守するなどの点を態度指向性(主体性と自己管理)として一部評価する.
注意点:
・配布されたプリント,課題、試験問題はファイルに綴じて整理し,予習復習を容易にし,自己の学習歴を見直すことが出来るようにすることを推奨する.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス(分析化学とは) 分析化学の概要を理解できる.
2週 定性分析 (1)無機陽イオンの定性分析 陽イオンの定性分析法について説明できる
3週 定性分析 (2)無機陰イオンの定性分析 陰イオンの定性分析法について説明できる.
4週 溶液の濃度計算(4.0h,コア) 分析化学に必要な基本的濃度計算ができる.
5週 溶液の濃度計算(4.0h,コア) 分析化学に必要な基本的濃度計算ができる.
6週 電解質溶液の理論(4.0h,コア) 電解質について理論的に説明できる.
7週 電解質溶液の理論(4.0h,コア) 電解質について理論的に説明できる.
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 答案返却・解答説明(1.0h)
容量分析(11.0h,コア)
(1)容量分析の原理
(2)容量分析の式
(3)中和滴定
(4)沈殿滴定
(5)酸化還元滴定
(6)キレート滴定
・間違った問題の正答を求めることができる.
・中和滴定法,沈殿滴定法,酸化還元滴定法, キレー
ト滴定法に関する説明と計算ができる.
10週 容量分析(11.0h,コア)
(1)容量分析の原理
(2)容量分析の式
(3)中和滴定
(4)沈殿滴定
(5)酸化還元滴定
(6)キレート滴定
・中和滴定法,沈殿滴定法,酸化還元滴定法, キレー
ト滴定法に関する説明と計算ができる.
11週 容量分析(11.0h,コア)
(1)容量分析の原理
(2)容量分析の式
(3)中和滴定
(4)沈殿滴定
(5)酸化還元滴定
(6)キレート滴定
・中和滴定法,沈殿滴定法,酸化還元滴定法, キレー
ト滴定法に関する説明と計算ができる.
12週 容量分析(11.0h,コア)
(1)容量分析の原理
(2)容量分析の式
(3)中和滴定
(4)沈殿滴定
(5)酸化還元滴定
(6)キレート滴定
・中和滴定法,沈殿滴定法,酸化還元滴定法, キレー
ト滴定法に関する説明と計算ができる.
13週 容量分析(11.0h,コア)
(1)容量分析の原理
(2)容量分析の式
(3)中和滴定
(4)沈殿滴定
(5)酸化還元滴定
(6)キレート滴定
・中和滴定法,沈殿滴定法,酸化還元滴定法, キレー
ト滴定法に関する説明と計算ができる.
14週 容量分析(11.0h,コア)
(1)容量分析の原理
(2)容量分析の式
(3)中和滴定
(4)沈殿滴定
(5)酸化還元滴定
(6)キレート滴定
・中和滴定法,沈殿滴定法,酸化還元滴定法, キレー
ト滴定法に関する説明と計算ができる.
15週 前期期末試験の試験答案返却・解答解説
16週
後期
3rdQ
1週 溶液の機器分析(6.0h,コア)
(1)光電光度法,原子吸光法
(2)試料の分離
・光電光度法,原子吸光法の原理的な説明ができる.
・溶媒抽出法,イオン交換法など化学分離の原理的な
説明ができる
2週 溶液の機器分析(6.0h,コア)
(1)光電光度法,原子吸光法
(2)試料の分離
・光電光度法,原子吸光法の原理的な説明ができる.
・溶媒抽出法,イオン交換法など化学分離の原理的な
説明ができる
3週 溶液の機器分析(6.0h,コア)
(1)光電光度法,原子吸光法
(2)試料の分離
・光電光度法,原子吸光法の原理的な説明ができる.
・溶媒抽出法,イオン交換法など化学分離の原理的な
説明ができる
4週 溶解度と溶解度積(8.0h,コア)
(1)水の特性と溶解度
(2)溶解度積の理論計算
・水の特性と溶解度について説明できる.
・溶解度積に関する理論計算ができる.
・水酸化物の溶解度に関する説明と計算ができる.
5週 溶解度と溶解度積(8.0h,コア)
(1)水の特性と溶解度
(2)溶解度積の理論計算
・水の特性と溶解度について説明できる.
・溶解度積に関する理論計算ができる.
・水酸化物の溶解度に関する説明と計算ができる.
6週 溶解度と溶解度積(8.0h,コア)
(1)水の特性と溶解度
(2)溶解度積の理論計算
・水の特性と溶解度について説明できる.
・溶解度積に関する理論計算ができる.
・水酸化物の溶解度に関する説明と計算ができる.
7週 溶解度と溶解度積(8.0h,コア)
(1)水の特性と溶解度
(2)溶解度積の理論計算
・水の特性と溶解度について説明できる.
・溶解度積に関する理論計算ができる.
・水酸化物の溶解度に関する説明と計算ができる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 答案返却・解答説明(0.5h)
酸と塩基の理論(3.5h,コア)
 (1)強酸と強塩基
(2)弱酸と弱塩基
・間違った問題の正答を求めることができる.

・強酸と強塩基および弱酸と弱塩基に関する説明と計
算ができる.
10週 答案返却・解答説明(0.5h)
酸と塩基の理論(3.5h,コア)
 (1)強酸と強塩基
(2)弱酸と弱塩基
・強酸と強塩基および弱酸と弱塩基に関する説明と計
算ができる.
11週 金属水酸化物の理論 金属水酸化物に関する理論的説明と計算ができる.
12週 固体試料の分析(4.0h,コア)
(1)X線分析
(2)蛍光X線分析
(3)電子線分析(EPMA)
・X線分析法,蛍光X線分析法および電子線分析法の
原理と特徴が説明できる.
13週 固体試料の分析(4.0h,コア)
(1)X線分析
(2)蛍光X線分析
(3)電子線分析(EPMA)
・X線分析法,蛍光X線分析法および電子線分析法の
原理と特徴が説明できる.
14週 分析化学の応用(2.0h) 各種分析法の実際的な応用方法が説明できる.
15週 学年末試験の試験答案返却・解答解説 ・間違った問題の正答を求めることができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。1
物質が原子からできていることを説明できる。2
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。2
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。2
純物質と混合物の区別が説明できる。2
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。2
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。2
水の状態変化が説明できる。2
物質の三態とその状態変化を説明できる。2後1
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。2
同位体について説明できる。2
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。1前14
価電子の働きについて説明できる。2
原子のイオン化について説明できる。2
代表的なイオンを化学式で表すことができる。2
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。2
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。2
イオン式とイオンの名称を説明できる。2
イオン結合について説明できる。2
共有結合について説明できる。1
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。1
金属の性質を説明できる。1
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。2
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。2
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。2後4
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。2後5
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。1前6
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。2前4
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。2前5
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。1後9
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。2後10
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。2後10
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。2後9
中和反応がどのような反応であるか説明できる。また、中和滴定の計算ができる。2前10
酸化還元反応について説明できる。2前11
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。1
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。1
水素結合について説明できる。1
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。1前14
配位数と構造について説明できる。1前14
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。1
分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。3前2,前3
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。2前3,後6,後7
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。1
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。2後9
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。2後10
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。2前9
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。2前10
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。2前12
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。2前13
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。2後1
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。2後1
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。2後2
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。2後2
無機および有機物に関する代表的な構造分析、定性、定量分析法等を理解している。1
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。1後2
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。1
物理化学平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。2後5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000001050
専門的能力400000040
分野横断的能力000001010