分析化学

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 分析化学
科目番号 0048 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 基礎 分析化学 (新訂版) (サイエンス社)
担当教員 松永 智子

到達目標

1.定性分析および定量分析について種類・原理を説明できる。
2.様々な濃度の表記、ならびに化学平衡、化学量論に関する考え方を理解し、容量分析に必要な計算ができる。
3.各種分析法について概略を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1定性分析および定量分析について実例をあげて種類・原理を説明できる.定性分析および定量分析について種類・原理を説明できる.左記について説明できない.
評価項目2様々な濃度の表記、ならびに化学平衡、化学量論に関する考え方を理解し、容量分析の実例から必要な計算を自ら導き正しく解答できる.様々な濃度の表記、ならびに化学平衡、化学量論に関する考え方を理解し、容量分析に必要な計算ができる.左記について説明できない.
評価項目3各種分析法について実例をあげて種類・原理を説明できる.機器分析法について種類・原理を説明できる.左記について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学物質がどのような元素や化合物から構成されるかを知る目的で,分析化学では化学的方法で物質の組成を決め,化学的計測を行い,分離を行う技術の原理を学びます.授業の前半は基本となる定性・定量分析法を,後半は溶液中の物質の分離法および機器分析法と固体試料の機器分析法を学びます.全体を通して溶液の濃度計算や化学平衡などの基本的事項も学びます.
授業の進め方・方法:
実験を通じて実用的な分析技術を習得することが重要です。そのため「物質工学実験I」とリンクする形での授業になります。
注意点:
配布されたプリントや課題・試験問題はファイルに綴じて整理し、予習復習をしっかり行いましょう。学習履歴を残しながら学習を進めることで振り返りが容易になり、理解度の向上につながります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 分析の基礎/化学測定の基本概念 化学測定の基本概念を理解する
2週 定性分析/定性分析実験の解説 定性分析実験で扱う反応を収支の取れた化学反応式で表すことが出来る
3週 溶解と濃度 化学量論計算が出来る
モル濃度/パーセント濃度/百万分率/溶液希釈率/溶液の密度と比重を使った化学量論計算ができる
4週 酸と塩基 酸と塩基について理解し,簡単なpHの計算ができる
5週 化学平衡 化学平衡の概念を理解し,平衡定数式を使った濃度計算ができる.
6週 溶解度と溶解度積 溶解度積を用いて難溶性物質の溶解度を計算できる.また,共通イオン効果についても考慮できる.
7週 酸・塩基の容量分析 中和滴定を例に滴定法の概略を説明できる.
実験器具の精度について理解し,有効数字を正しく扱うことが出来る.
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 答案返却・解答説明 間違った問題の正答を求めることができる.
10週 酸化還元分析 酸化還元式を正しく導くことが出来る.
11週 容量分析計算 当量と規定度を用いて正しく容量分析計算ができる.
12週 酸と塩基の滴定とpH曲線 滴定データからpH曲線を描くことが出来る.
また.それをもとに滴定に用いる指示薬を正しく選択出来る.
13週 錯体生成分析と沈殿滴定 錯形成を理解し,EDTA滴定を正しく計算できる.
沈殿滴定の種類と概要を理解し,目的のイオン種の濃度を正しく計算できる.
14週 ランバートベール/検量線 分光光度法の概要を理解し,濃度を求める際に検量線または標準添加法を正しく用いることが出来る.
ランバートベールの法則に基づいた計算ができる.
15週 クロマトグラフィーとイオン交換 抽出分離の原理を理解出来る.
クロマトグラフィーの概略を知り,特にイオン交換法について説明できる.
16週 前期期末試験の試験答案返却・解答解説
後期
3rdQ
1週 総合演習 前期学習範囲の標準的な演習問題が解ける.
2週 総合演習 化学反応の種類について説明できる.
3週 総合演習 各種溶液の濃度・活量等の計算ができる.
4週 総合演習 各種溶液の濃度・活量等の計算ができる.
5週 総合演習 反応が化学平衡に達したときの化学種の濃度を計算できる.
6週 総合演習 反応が化学平衡に達したときの化学種の濃度を計算できる.
7週 総合演習 酸と塩基の定義と名称を説明できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 答案返却・解説 間違った問題の正答を求めることができる.
強酸と強塩基の水溶液について説明できる.
10週 総合演習 弱酸と弱塩基の水溶液について説明できる.
緩衝液を用いた際のpH変化を計算できる.
11週 総合演習 弱酸と弱塩基の水溶液について説明できる.
緩衝液を用いた際のpH変化を計算できる.
12週 総合演習 酸塩基滴定における濃度計算ができる.
13週 総合演習 沈殿滴定における濃度計算ができる.
14週 総合演習 キレート滴定における濃度計算ができる.
15週 答案返却・解説 間違った問題の正答を求めることができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。4前3
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。4前5,前7
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。4前2
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。4前2
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。4後4,後5
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。4後4,後5
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。4後4,後5
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。4後4,後5
中和反応がどのような反応であるか説明できる。4前4,前5
中和滴定の計算ができる。4前4,前5
酸化還元反応について説明できる。4前6,前7,前11
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。3
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。3
水素結合について説明できる。2
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。1前14
配位数と構造について説明できる。1前14
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。1
分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。4前3
電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。4後2,後3
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4後6,後7
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。4前10
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4後5
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4後5
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。4前5,後5
錯体の生成について説明できる。4前11
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4前5,前7
中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。4前4,前5
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。4前6,前7
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。4前11
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。3前13
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。4前13
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。4前14,後14
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。4後13
物理化学平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。3後5
化学工学SI単位への単位換算ができる。2

評価割合

試験課題合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力4020000060
専門的能力400000040
分野横断的能力0000000