物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0055 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 フレンドリーー物理化学(三共出版)
担当教員 阿部 勝正

到達目標

1.物理化学の基礎的事項(SI単位、熱力学特性値、温度と熱力学第零法則、熱容量、仕事、エネルギーなど)について説明できる。
2.Schrodinger方程式や不確定性原理などの量子化学の基礎的事項について説明できる。
3.原子・分子のミクロな分子運動がマクロな物理量(気体の体積、圧力、温度)にどのように関係しているか説明できる。
4.熱化学の基礎として、内部エネルギーと仕事、熱量との関係式、熱力学の第一方程式、熱力学の基本量であるエンタルピーについて説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 物理化学の基礎的事項(SI単位、熱力学特性値、温度と熱力学第零法則、熱容量、仕事、エネルギーなど)について説明できる。 教科書を見ながらであれば、物理化学の基礎的事項(SI単位、熱力学特性値、温度と熱力学第零法則、熱容量、仕事、エネルギーなど)について説明できる。 左記ができない。
評価項目2Schrodinger方程式や不確定性原理などの量子化学の基礎的事項について説明できる。教科書を見ながらであればSchrodinger方程式や不確定性原理などの量子化学の基礎的事項について説明できる。.左記ができない。
評価項目3 .原子・分子のミクロな分子運動がマクロな物理量(気体の体積、圧力、温度)にどのように関係しているか説明できる。教科書を見ながらであれば.原子・分子のミクロな分子運動がマクロな物理量(気体の体積、圧力、温度)にどのように関係しているか説明できる。左記ができない。
評価項目4熱化学の基礎として、内部エネルギーと仕事、熱量との関係式、熱力学の第一方程式、熱力学の基本量であるエンタルピーについて説明できる。教科書を見ながらであれば、熱化学の基礎として、内部エネルギーと仕事、熱量との関係式、熱力学第一方程式、熱力学の基本量であるエンタルピーについて説明できる。左記ができない。

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理化学は化学全般の基礎であり、有機化学、無機化学、分析化学などの全ての化学分野の理論的な面を担うものである。本講義では、物理化学の基礎的事項について理解すると共に、量子化学の基礎、気体の分子運動論を含む物質の状態および熱力学第一法則について基礎的知識を得ることを目的とする。
授業の進め方・方法:
物理化学は基礎的理論であり、物質の化学変化に対する一般的法則を与えるものである。法則であるからには多少とも数学的表現を用いなければならないが、出来るだけ平易に時間をかけて講義するので、授業中のノート作成や予習復習を十分に行うこと。特に、量子化学や物質の状態(気体、液体、固体)や熱力学第一法則は、化学・物質環境工学の重要な柱であるので、興味を持って学習して貰いたい。
注意点:
自分で演習問題を解くことが理解を一層強めるために極めて有効であるので、章末の演習問題を解くことを勧める。また、さらに、、原著に挑戦することも意義のあることである。授業中態度が悪い(居眠り,携帯電話の使用など)場合は減点とするので十分に注意すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 序章 物理化学を学ぶための基礎知識
0.1 物理化学を学ぶための基礎知識Ⅰ
有効数字について理解できる。微視的とらえ方から巨視的とらえ方の流れが理解できる。
2週 0.2  物理化学を学ぶための基礎知識Ⅱ SI単位、熱力学特性値ならびに基礎的用語(示量因子と示強因子)、熱と熱容量について説明できる。
3週 0.3 物理化学を学ぶための基礎知識Ⅲ 物理化学における温度と熱力学第零法則、圧力について説明できる。仕事・エネルギーについて説明できる
4週 1 原子の内部
1.1 原子の電子構造Ⅰ
量子論とはどのような学問か説明できる。電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明することができる
5週 1.2 原子の電子構造Ⅱ 光量子説、光電効果、ドブロイの物質波について説明できる。。
6週 1.3 原子の電子構造Ⅲ 不確定性原理、Bohr模型について説明できる。原子軌道について説明できる。
7週 1.5 原子の電子構造Ⅴ 電子の運動がSchrodingerの波動方程式で表されることを理解できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 試験答案返却・解答解説
1.4 原子の電子構造Ⅳ

水素型原子のSchrodinger方程式を求め、その解である波動関数が、電子の軌
道の形をあらわすことを説明できる。
10週 1.6 原子の電子構造Ⅵ パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。
11週 1.7 原子の電子構造Ⅶ 元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的性質を説明できる。
12週 1.8 原子の電子構造Ⅶ 4種類の量子数(主量子数、方位量子数、磁気量子数、電子スピン量数)について説明でき、各原子の電子配置を正確に決定することができる。
13週 1.9 原子の電子構造Ⅷ 原子の性質は、イオン化エネルギー・電子親和力・電気陰性度から理解できることを説明できる。価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。
14週 2 化合物の構造
2.1 イオン結合と共有結合
イオン結合と共有結合について説明できる。価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。
15週 前期期末試験
16週 試験答案返却・解答解説
2.2 分子軌道についてⅡ 
代表的な分子に関して、原子価結合法や分子軌道法から共有結合を説明できる。
化学結合は電子スピンを含めた波動関数を考える必要があることを理解できる。
後期
3rdQ
1週 2.3 混成軌道についてⅠ sp3, sp2, sp1混成軌道の形状と電子配置について説明できる。
2週 3 気体の性質
3.1 ミクロからマクロへ
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる
3週 3.2 理想気体の状態方程式 Boyle-Charlesの法則および理想気体の状態方程式を説明でき、これらの式を使って各種の計算ができる。。
4週 3.3 臨界現象と混合気体について 臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。混合気体の分圧の計算ができる。
5週 3.3 実在気体の状態方程式Ⅰ 理想気体の状態方程式からvan der Waalsの実在気体の状態方程式を導くことができる。
6週 3.2 実在気体の状態方程式Ⅱ van der Waalsの実在気体方程式を使って、各種気体の圧力、体積を求めることができる。
7週 3.3 混合気体の分圧 混合気体の分圧の計算ができる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 答案返却・解答解説
4 熱力学第一法則 4.1 熱や仕事について
試験問題を通じて間違った箇所を理解できる・
熱や仕事は移動するエネルギーであることを理解できる。状態量について説明できる。
10週 4.2 熱力学第一法則についてⅠ 熱力学第一法則の定義と適用方法を説明できる。定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。
11週 4.3 熱力学第一法則Ⅱ 理想気体の等温、定圧、定容および断熱変化の内部エネルギー、仕事、熱を計算することができる。
12週 4.4 熱容量について 定容熱容量Cvと定圧熱容量Cpについて説明できる。
13週 4.5 エンタルピーについてⅠ エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。
14週 4.6 エンタルピーについてⅡ 化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。エンタルピーの温度依存性を説明できる。
15週 学年末試験
16週 試験答案返却・解答解説 間違った問題の正答を求めることができる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。4前2
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。4後12
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。4後3
気体の内部エネルギーについて説明できる。4後11
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。4後10
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。2
無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4前12
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4前4
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前10
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4前14
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4前11
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前13
イオン結合と共有結合について説明できる。4前14
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4前14
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4前16
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4後1
物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4後3
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4後2
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4後5
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4後4
混合気体の分圧の計算ができる。4後7
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4後10
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4後13
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4後14
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4後14
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4後11
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4後11
化学工学SI単位への単位換算ができる。4前2

評価割合

試験小テスト課題態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合702010000100
基礎的能力5015700072
専門的能力205300028
分野横断的能力0000000