応用物理Ⅰ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 応用物理Ⅰ
科目番号 0056 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 力学Ⅱ(大日本図書)
担当教員 長澤 修一

到達目標

1. 力学に関わる物理量,方程式を微分・積分・ベクトルを用いて記述し,計算することができる
2. 電気に関する基礎知識を理解し,物理量を計算することができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1複雑な運動について,微分・積分・ベクトルを用いて記述し,計算することができる簡単な運動について,微分・積分・ベクトルを用いて記述し,計算することができる物理現象を微分・積分・ベクトルを用いて記述したり計算することができない.
評価項目2電気に関して,複合的な応用問題を解くことができる電気に関して,授業で扱った基本的な現象に関する問題を解くことができる.授業で扱った基本的な問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理学の基礎知識を習得する.低学年の物理で学んだ物理現象をベクトル,微分・積分を用いて記述でき,原理から順を追って考えていく能力を身につける.単に数式を丸暗記するのではなく,種々の力学の現象に適用される法則や式を理解し,導出できるようにする.電気に関する現象のうち,電荷・静電気力・電位(電圧)・電流とそれに関連する事項についてその概念と理論を理解する.
授業の進め方・方法:
これまでに学んだ数学,特に三角関数,ベクトル,微分・積分の知識が重要となる.授業では,必要に応じてこれらの一部を復習をしながら進むが,その時点で確実なものになっていなければならない.
各定期試験までの間に小テストを行うか,または課題の提出を求める.小テスト実施時は次に進むための知識のまとめのときでもあるので,このときまでに最低限必要な知識は身につけておくようにする.
数学,物理で用いる数式の丸暗記にとどまらず,その考え方や適切な表現方法を身につけるようにつとめる.数値を求める場合には,用いる値や目的量の単位にも注意を払う.
注意点:
授業態度としての問題行動(携帯電話・ゲーム機の使用,過度な私語,その他のマナー違反となる言動等)を行った場合は減点の対象とする.減点は,初回は2点,次からは,4点・8点・16点と2倍に加算し,それらを合計して減点する.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
1.位置・速度・加速度
1-1 微分の復習
微分の基本的な計算ができる.
スカラー積の定義を理解し,その計算ができる.
2週 1-2 基本ベクトルと位置ベクトル ベクトルの表記ができ,基本的な演算ができる.
3週 1-3 速度と加速度 I ベクトルの微分を用いて,位置から,速度,加速度を計算できる.積分を用いて,加速度から速度,位置を計算できる.
4週 1-4 速度と加速度 II 極座標表示を用いて,位置,速度,加速度を計算できる.
5週 2.運動の法則
2-1 運動の3法則
ニュートンの運動の3法則(慣性の法則・運動の法則・作用反作用の法則)を説明できる.
6週 2-2 運動方程式の応用 I ニュートンの運動の第2法則(運動方程式)を1つの物体に対し,微分を用いて適用し,運動を解析できる.
放物運動に対し,運動方程式を解くことで,初期条件の違いによる解を導出できる.
7週 2-3 運動方程式の応用 II ニュートンの運動の第2法則(運動方程式)を2 つの物体に対し,微分を用いて適用し,運動を解析できる.
8週 3.仕事とエネルギー
3-1 スカラー積(内積)
スカラー積(内積)を計算できる.
2ndQ
9週 3-2 仕事 I
仕事をスカラー積と積分を用いて計算できる.
10週 3-2 仕事 II 平面運動に対して仕事を積分を用いて計算できる
11週 3-3 仕事率 仕事率が計算できる.
12週 3-4 エネルギー
3-5 運動エネルギー
エネルギーの定義を説明できる.
運動方程式から,仕事と運動エネルギーの関係を導出できる.
13週 3-6 保存力とポテンシャル ポテンシャルの定義を理解し,積分を用いて計算できる.
14週 3-7 力学的エネルギー保存則
3-6 運動量保存則と力積
力学的エネルギー保存則を導出し,簡単な運動に適用できる.
15週 前期期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 試験の解説に基づいて,理解度が低い部分を理解する.
後期
3rdQ
1週 4.回転運動
4-1 ベクトル積
ベクトル積(外積)を計算できる.
2週 4-2 力のモーメントと角運動量 角運動量と力のモーメントををベクトル積で表現し,計算できる.
3週 4-3 回転の運動方程式 運動方程式から回転運動の方程式を導出できる.
4週 4-4 慣性モーメント 回転運動に関係する慣性モーメントを導出でき,回転の運動方程式に適用できる.
5週 4-5 質点系と剛体 質点系と剛体について重心を計算でき,運動方程式を表現できる.
6週 4-6 質点系と剛体の回転に関する運動方程式 質点系と剛体の回転に関する運動方程式を導出し計算できる.
7週 4-7 剛体の回転運動と回転の運動エネルギー 剛体の回転運動を解くことができる.
回転の運動エネルギーを計算できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 試験返却と解答
5.電荷と静電気力
5-1 電荷と物体の帯電
電荷の原因と電荷保存の法則が説明でき,電荷保存の法則を用いた計算ができる.
10週 5-2 導体と不導体
5-3 クーロンの法則
導体と不導体の性質を説明できる.
点電荷間にはたらく静電気力(クーロン力)をベクトルを用いて計算できる.
11週 5-4 電位と電圧 電位の定義を説明できる.
電圧の定義を説明できる.
電気力線の性質を説明できる.
12週 5-5 電気力による位置エネルギー 電気力が位置エネルギーを求めることができ,関係するエネルギー保存則を適用できる.
13週 6.電流と回路
6-1 電流の定義
電流の定義により,電流を計算できる.
14週 6-2 直流回路 直流回路における電流・電圧を計算できる.
電力,電力量を計算できる.
15週 学年末試験
16週 試験答案返却・解答解説 試験の解説に基づいて,理解度が低い部分を理解する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前3,前4,前5
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前3,前4,前5
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前4,前5
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前5,前9,前10
慣性の法則について説明できる。3前6
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前7
運動方程式を用いた計算ができる。3前6
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
運動の法則について説明できる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前11
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前11
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前13
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前14
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3前14
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前14
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前14
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3後7
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後7
力のモーメントを求めることができる。3後2,後3,後4
角運動量を求めることができる。3後2,後3,後4
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
電場・電位について説明できる。3
クーロンの法則が説明できる。3
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3
ジュール熱や電力を求めることができる。3

評価割合

試験小テスト・課題減点合計
総合評価割合80200100
基礎的能力80200100