物質工学実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 物質工学実験Ⅱ
科目番号 0061 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 基本物理化学実験(産業図書)/プリント
担当教員 小原 寿幸,田中 孝

到達目標

1. 主な物理化学的な測定方法として、分子量の測定(Dumas法、凝固点降下法)や、物質の状態変化量を測定する溶解熱の測定、あるいは、吸着等温線やケン化反応速度などを演習し、原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的な実験プロセスを行うことができる。
2. 固体、液体、気体の無機固体材料を中心として、各実験の原理と実験プロセスを理解し実験に必要な測定装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1本講義で行う各種の実験原理を理解し、測定からデータ解析までのプロセスを自ら行うことができる。本講義で使用する実験装置の一つについて、原理及び測定からデータ解析までのプロセスをほぼ理解できている。本講義で使用する分析機器の原理及び測定からデータ解析までのプロセスを理解できていない。
評価項目2本講義で使用する各実験の実験プロセスを理解し実験に必要な測定装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察することができる。いくつかの間違いはあるが、本講義で使用する測定装置の測定条件を選定し、得られたデータから考察することができる。本講義で使用する分析機器の測定条件及び得られたデータから考察することができない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
化学と物理学との境界的な現象を定量的にとらえて、すでに法則化されているものを確認したり、さらに将来的に有効な事象の解明に役立つデータを測定するための基礎技術を学ぶと共に、今後の専門学習において適切にレポート作成ができるような基礎固めをすることを目的とする。
授業の進め方・方法:
本講義は前半に実験全体の説明や各実験方法と測定器のガイダンスを行い,その後,8グループに分かれて各テーマの実習を行う。
注意点:
未提出のレポートがある場合は不合格となるので注意すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 各種分析機器についての理論・原理について理解できる。
2週 ガイダンス)炭酸ガスの分子量測定、アセトンの蒸気圧 各種分析機器についての理論・原理について理解できる。
3週 ガイダンス)凝固点降下、溶解熱 各種分析機器についての理論・原理について理解できる。
4週 ガイダンス)吸着、反応速度 各種分析機器についての理論・原理について理解できる。
5週 ガイダンス)粘性率、溶解度 各種分析機器についての理論・原理について理解できる。
6週 実験機器説明 実験機器の操作方法を理解できる。
7週 炭酸ガスの分子量の測定 Dumas法による炭酸ガスの分子量の測定ができる。
8週 アセトンの蒸気圧の測定 等圧計によるアセトンの蒸気圧を測定し蒸発熱を測定できる
2ndQ
9週 ナフタレンの凝固点降下と分子量の推算 凝固点降下法によるベンゼンーナフタレン系の凝固点を測定しナフタレンの分子量を推算できる。
10週 無水塩化カルシウムの溶解熱の測定 水熱量計を用いて無水園かカルシウムの溶解熱を測定できる。
11週 酢酸水溶液中における活性炭への吸着等温線の測定 水熱量計を用いて無水園かカルシウムの溶解熱を測定できる。
12週 アルカリによる酢酸エチルのケン化速度の測定 酢酸エチルのケン化反応速度を測定し、二次反応速度式への適合性を調べることができる。
13週 水・エチルアルコール系の粘性率 各種エチルアルコール水溶液の比粘度を測定し、粘度計算より温度一定の粘度曲線を作成できる。
14週 安息香酸の溶解度の測定 固体の溶解度を種々の温度で測定し溶解度曲線を作成できる。
15週 再(追)実験・レポート指導 ・提出レポートに対する添削指導を行う
・不正確なデータの場合は再実験または追実験を行う
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
代表的な気体発生の実験ができる。3
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前12
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。4
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。4前5,前13
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。4前3,前10
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4前7,前8,前9
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4前8,前10,前11,前14
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。4
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合00000100100
基礎的能力000006060
専門的能力000002020
分野横断的能力000002020