物理化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 函館工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理化学Ⅱ
科目番号 0106 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質環境工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 フレンドリー物理化学(田中潔・荒井貞夫共著)(三共出版)
担当教員 阿部 勝正

到達目標

1.化学熱力学における重要な因子であるエントロピーおよび平衡論における重要な因子であるギブズエネルギーについて説明できる。
2. モルGibbsエネルギー、化学ポテンシャル、理想溶液・混合溶液の性質、溶液の束一的性質について説明できる。
3.酸化還元反応について説明できる。電気化学反応について説明でき、関与する反応の平衡定数と関連ずけるNernstの式を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1化学熱力学における重要な因子であるエントロピーおよび平衡論における重要な因子であるギブズエネルギーについて説明できる。教科書を見ながらであれば、化学熱力学における重要な因子であるエントロピーおよび平衡論における重要な因子であるギブズエネルギーについて説明できる。 左記ができない。
評価項目2モルGibbsエネルギー、化学ポテンシャル、理想溶液・混合溶液の性質、溶液の束一的性質について説明できる。教科書を見ながらであれば、モルGibbsエネルギー、化学ポテンシャル、理想溶液・混合溶液の性質、溶液の束一的性質について説明できる。左記ができない。
評価項目3酸化還元反応について説明できる。電気化学反応について説明でき、関与する反応の平衡定数と関連ずけるNernstの式を説明できる。 教科書を見ながらであれば、酸化還元反応について説明できる。電気化学反応について説明でき、関与する反応の平衡定数と関連ずけるNernstの式を説明できる。左記ができない。

学科の到達目標項目との関係

函館高専教育目標 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理化学は化学全般の基礎であり、有機化学、無機化学、分析化学などの全ての化学分野の理論的な面を担うものである。本講義では、物理化学の極めて重要な分野である化学熱力学と平衡論、溶液の性質における基礎的知識を習得し、特に反応系への応用が実際の問題でどのように行われるかを学ぶことを目的とする。
授業の進め方・方法:
物理化学は基礎的理論であり、物質の化学変化に対する一般的法則を与えるものである。法則であるからには多少とも数学的表現を用いなければならないが、出来るだけ平易に時間をかけて講義するので、授業中のノート作成や復習を十分に行うこと。特に、化学熱力学・平衡論は、化学・物質環境工学の重要な柱であるので、興味を持って学習して貰いたい。
注意点:
自分で演習問題を解くことが理解を一層強めるために極めて有効であるので、章末の演習問題を解くことを勧める。また、原著に挑戦することも意義のあることである。
授業中態度が悪い(居眠り,携帯電話の使用など)場合は減点とするので十分に注意すること。

JABEE教育到達目標評価 定期試験100%(B-2:70%,B-1:30%

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 5 変化の方向とGibbsエネルギー
5.1 エントロピーについてⅠ
熱力学基本量として重要なエントロピーの概念について説明できる。
2週 5.2 エントロピーについてⅡ 統計力学的エントロピーを使って体積変化に伴うエントロピー変化を求めることができる。
3週 5.3 エントロピーについてⅢ 相転移、温度変化に伴うエントロピー変化を求めることができる。
4週 5.4 エントロピーについてⅣ 純物質の絶対エントロピーおよび化学反応でのエントロピー変化を計算できる。
5週 5.5 Carnotサイクル Carnotサイクルについて説明できる。
6週 5.6 熱力学第二法則 熱力学第二法則の定義と適用方法を説明できる。
7週 5.7 熱力学第三法則 熱力学第三法則の定義と適用方法を説明できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 試験答案返却・解答解説
5.8 Gibbsエネルギー
間違った問題の正答を求めることができる。
Gibbsエネルギー(標準生成自由エネルギー)の定義について説明できる。
10週 5.9 Gibbsエネルギーの計算 Gibbsエネルギー変化を用いて、平衡定数・組成を計算できる。
11週 6 物質の相平衡(⊿Gの応用1)
6.1 純物質の三態と状態変化
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。
12週 6.2 相律と状態図について 相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。
13週 6.3 気液平衡 2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる
14週 6.4 混合系における熱力学状態 気体の全圧とモル分率から混合気体中の気体の分圧を計算できる。
15週 前期期末試験
16週 試験答案返却・解答解説
6.5 Raourtの法則
間違った問題の正答を求めることができる。
混合物中の各成分の蒸気圧はRaourtの法則にしたがうことを説明できる。
後期
3rdQ
1週 6.6 Henryの法則 希薄」溶液における揮発性溶質の蒸気圧は
Henryの法則にしたがうことを説明できる。
2週 6.7 化学ポテンシャル 化学ポテンシャルは物質量の変化に伴うGibbsエネルギー変化であることを説明できる。
3週 6.8 溶液の束一的性質Ⅰ 溶液の束一的性質を説明できる。
4週 6.9 溶液の束一的性質Ⅱ 蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。
5週 7 化学平衡(⊿Gの応用2)
7.1 化学反応と平衡定数、Le Chatelierの法則
平衡定数(質量作用の法則)とルシャトリエの法則について説明できる。
6週 7.2 Gibbsエネルギー・化学ポテンシャルと化学平衡の関係 Gibbsエネルギー・化学ポテンシャルと化学平衡の関係について説明できる。
7週 7.3 平衡定数と活量について 熱力学的平衡定数と活量から実際の平衡定数を求めることができる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 答案返却・解答解説
7.4 化学平衡は温度に依存する
間違った問題の正答を求めることができる。
平衡定数の温度依存性はvant'Hoffの式で与えられることを説明できる。
10週 7.5 化学平衡は圧力に依存する 平衡定数の圧力依存性はDaltonの式で与えられることを説明できる。
11週 8 化学エネルギーと電気エネルギー
8.1 酸化還元反応と酸化数
酸化数の定義について説明できる。酸化還元反応を説明できる。
12週 8.2 Nernstの式 Nernstの式を用いて、電極反応の平衡定数を求めることができる。
13週 8.3 電子授受と化学電池 化学電池における酸化還元反応を電子の授受により説明できる。
14週 8.4 様々な化学電池 電池反応と電気分解を理解し、実用例について説明できる。
15週 学年末試験
16週 試験答案返却・解答解説 ・間違った問題の正答を求めることができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。4後5
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4前11
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4前13
束一的性質を説明できる。4後3
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。4後4
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。4後4
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。4前12
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4後5
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4後5
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4後7
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4前6,前7
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4前4
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4前3
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4前10
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4後6
平衡定数の温度依存性を計算できる。4後9
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4前1
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4後14

評価割合

試験小テスト課題態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合702010000100
基礎的能力5015700072
専門的能力205300028
分野横断的能力0000000